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「良いバンドの条件」についての組織論的アプローチ

非ビジネスなことを大真面目に考える会、第一弾。「バンド×組織論」編です。

良いバンドってなんだろう

仕事柄、お客さんの組織なり、自分のチームなり、会う人会う人が所属している組織のことだったり、、割と人・組織について考える事が多い私ですが、この前ふと思いました。

良いバンドの条件ってなんだろう、、、。

大学生からバンドを始めた私ですが、気づけばありがたいことに、年に1回ぐらいは何かしらのLIVEに出ているぐらいバンド活動をしています。

大学生の時の学科のメンバーに始まり、SNSや、会社の軽音部で出会った人など、色々な人とバンドを組んできました。

その中で本当に最高なバンドもあれば、クソみたいにつまらないバンドもありました。

この差はなんだ?そしてこれって、普段仕事する上で考えていることから導けるんじゃないか、、?良いバンドの条件ってなんだ、、?

ということで、誰も得しない考察を書いてみます。

まずは「良いチーム」の一般論を知ろう

考察をする上で、まず、バンドを便宜上「音楽活動をするチーム」と定義します。なんか一気にかっこ悪くなりますね。笑

その上で、今回インプットとした本はこちら。

THE TEAM 5つの法則

リンモチの麻野さんの本。普通に興味があったので良い機会と思い購入。

個人的なサマリで申し訳ありませんが、今からの考察に使うので、まずはこちらを御覧ください。これを見ないと下記文だけ読んでてもわからない部分があります。

※私は毎回読了後、本を一枚でパワポ化しているのですが、この本は学びが多すぎて全体サマリ+各章ごとに一枚にしました(読書時間も入れて4時間ぐらいかかった、、笑)

ざっくり「良いチーム」とは、
1.目標設定、2.人員選定、3.意思疎通、4.意思決定、5.共感創造の5つの法則が全ていい感じに出来ているチームのことです。

なので今回のアプローチとしては、それぞれの法則をバンドに当てはめた際に、どういう感じになるかを考え、最後に良いバンドの条件と、具体事例を出して終わろうかと思います。

では、ここからが本題です。最初に結論は書きますが、是非最後まで読んでみてください。

エグゼクティブサマリー

良いバンドの条件:

1.目標設定
バンドとしてどこまでたどり着きたいのかと、それを示す指標があり、全員が共感している

2.人員選定
過去にメンバーの脱退を経験し、それぞれ違った性格や音楽の志向性を持っている人で構成されている

3.意思疎通
お互いに確認が多く、それぞれのバンドメンバーがメンバーそれぞれのモチベーションタイプを理解しており、誰でも気軽に発言出来る環境がある

4.意思決定
方法論を理解しており、影響力のあるバンドメンバーがいる

5.共感創造
バンドとしての魅力がわかっており、エンゲージメントを高める方程式が埋め込まれている

1.バンドにおける目標設定

本では、チームと目標設定についてはこう書いてあります。

チームをチームたらしめる必要条件は「共通の目的」です。小学生の登校も、「みんなで安全に登校する」というような「共通の目的」を持って初めてチームになります。「みんなで安全に登校する」という目的があるからこそ、上級生と下級生が混ざった班をつくろう、時間通りに集合しよう、上級生は下級生に気を配ろうといったチームプレイが生じ得るのです。

集団登校、集団下校とかありましたよね。あのグラウンドに集まるやつね。懐かしい。

チームのパフォーマンスは、目標設定に大きく左右されます。もしもあなたのチームが誰かから与えらえた目標をただやみくもに追いかけているだけのチームなのであれば、自分たちの目標を見つめ直して下さい。適切な目標設定がなされていなければ、メンバーのあらゆる努力が無に帰すと言っても過言ではありません。

マネージャーが「お前今月の目標これな」と言っても本人はやる気にならないやつですよね。わかります。

さて、ここで考察。バンドにおける「適切な目標設定」とは何なのでしょうか。

体験談としては、自分の中で「良いバンドだったな」と思っているバンドは、バンドメンバー全員が自分たちが演奏を楽しむことを目標にしていたような気がしています。逆に「やばかったな、、」と思っているバンドは、一部のパートだけがやりたい事をする自己中バンドであったり、プロ目指すとか言っているバンドだったり、、、と、全員が演奏を楽しむことを目標にしていなかったような気がしています。

つまり、私の中での適切な目標設定は、「演奏を楽しむこと」だったんですね。補足すると、J-POPのコピーを演奏する、かな笑

プロ目指している人だと、それぞれ目標は、「武道館に立つ」「◯枚CDを売る」みたいな感じなんでしょうか。

いずれにせよ、バンドとしてどこまでたどり着きたいのかと、それを示す指標があり、それに全員が共感している事が大事であるということです。

2.バンドにおける人員選定

本では、人員選定をするまえに、まず自分たちのチームがどういったチームなのかについて理解することが重要であると書いてあります。

チームのタイプを分類する1つ目の軸は「環境の変化度合い」です。「環境変化度合い」が大きい、小さいで分類します。そして、2つ目の軸は「人材の連携度合い」です。「人材の連携度合い」が大きい、小さいで分類します。この2軸の掛け算で4つのタイプのチームに分類できます。

麻野さん天才かよ。

チームにおける人員選定は、どのタイプかによってアクションが変わるので、まずこれを考えてみます。

バンドは、おそらくサッカー型ではないでしょうか。

各パートごとの連携が非常に重要ですし、どんな音楽が好まれるのか・何を経由して音楽を聞くか、という時代背景、すなわち環境の変化度合いが高いと思います。

※どうでも良いですが、アプリの開発チームとバンドが求められるアクションが同じって面白いですね。笑

さて、サッカー型は以下の特徴を持っています。
・環境の変化度合いが高いため、メンバー選びは出口にこだわる
・人材の連携度合いが高いため、異なるタイプを揃える

つまり、流動性が高く、多様性のあるチームが求められるということになります。

バンドでいうと、スタイルが確立されるまでに脱退したメンバーがいて、今のメンバーはそれぞれ違った性格や音楽の志向性を持っている人で構成されている、という条件になるかと思います。

3.バンドにおける意思疎通

3-1.ルールの4W1H
意思疎通を効果的にするためにチームにはまずルールが必要です。本にはこう書いてあります。

ルールの細かさは一定以上を超えると効果が下がってしまいます。ある程度まではルールを設定し、ある程度以上はコミュニケーションで担保する、というのがチームにおけるメンバー同士の効果的・効率的な連携におけるポイントです。

それぞれのルールをサッカー型のバンドに当てはめてみます。

・設定粒度:中間(多くもなく少なくもない)
・権限規定:中間(演奏曲はメンバーでも決めるしリーダーも決める)
・責任範囲:チーム成果に責任を負う(曲の完成度に全員が責任を持つ)
・評価対象:中間(全体の完成度でも途中のかっこよさでも評価する)
・確認頻度:確認が多い(入り方、終わり方、進行、長さ、テンポ、、)

3-2.相互理解

効果的なコミュニケーションをとるためには相互理解は必須です。

「どうせ、しょせん、やっぱり」というチームに根付くネガティブな感情を排除するためには、それぞれのメンバーが「自分は理解されている」と感じることが効果的です。逆に言うと、「どうせ、しょせん、やっぱり、この人たちは自分のことを分かってくれていない」というチームメンバーたちとは効果的なコミュニケーションを取ることができません。

バンドを組んだら、まずモチベーショングラフを用いてお互いの理解を深めましょう。その上で、それぞれのモチベーションタイプを見極め、適切な褒め言葉を選びましょう。

・アタックタイプ:「めっちゃ売れたい」
→そのフレーズ弾けるの凄いね!と褒める

・レシーブタイプ:「曲構成やコード進行でもめたくない、、」
→音カス埋めてくれてありがとう!と褒める

・シンキングタイプ:「ここのコードを7thにしたらどうなるのだろうか」
→そっちのほうが正しいね!と褒める

・レシーブタイプ:「1番はアルペジオで2番はバッキングっしょ!」
→それ面白い!と褒める

3-3.心理的安全性の担保

発言の場づくりは非常に重要。曲作りもアイデアが命です。

チームの問題やメンバーのアイデアがテーブルの上にあがりさえすれば、多くの問題が解決されていくにもかかわらず、場に対するネガティブな感情がそれを妨げてしまっているのです。

心理的安全性を重視した組織運営を行っているのがあのGoogle大先生。ちょっとマニアックですが、専門的な内容を理解したい人はこちらをどうぞ。

心理的安全性の4つのポイントを踏まえると、バンドではこういうやりとりにすべきなのです。

・「こんなフレーズも知らないの?」→「あのフレーズ教えて!」
・「これも弾けないの?」→「俺も弾けなかったから間違えて大丈夫!」
・「今のコード必要?」→「どんどん試してみて!」
・「そのリフは違くない?」→「そういうリフもありかも!」

4.バンドにおける意思決定

色々考えても、最後には必ず意思決定をします。

チームで意思決定をする際には、議論や検討を始める前にどの意思決定方法を用いるかを決める、ということが非常に重要です。その上で、用いた意思決定方法のメリット・デメリットを十分に理解し、そのデメリットを出来る限り減らせるような働きかけをすることが大切です。

試しに、「演奏する曲を意思決定する」を合議(KT法)でやってみましょう。

Step1.選択基準をあげる:
・ターゲット(40歳男性)への認知度
・Voの声質との合致度
・演奏難易度

Step2.優先順位を付ける:
1.ターゲット(40歳男性)への認知度
2.演奏難易度
3.Voの声質との合致度

Step3.選択肢を出す
①THE YELLOW MONKEY(1:◎、2:◯、3:◯)
②X JAPAN(1:◯、2:×、3:×)
③あいみょん(1:×、2:△、3:×)
→①に決定!!
※主観入っています笑

別パターンとして、「演奏する曲を意思決定する」を独裁でやる場合の独裁者の条件を考えてみます。

<独裁者の条件(バンド編)>
・専門性:めちゃくちゃ上手い
・返報性:技術面や音響面を教えてくれる
・魅力性:革ジャケと楽器が似合う
・厳格性:練習中は本気で当たってくる
・一貫性:とにかくロックしか弾かない

合議や多数決で決める場合は方法論、独裁する場合は適切な意思決定者に沿う事が重要です。

5.バンドにおける共感創造

「このバンドで居続けたい」と思うバンドを創れるかは長く活動する上で非常に大事です。

もしもあなたのチームが「何に共感して、メンバーたちはチームで活動しているのか?」が不明確なのであれば、エンゲージメントを高める軸を明確にして下さい。これから新たにチームに加わるメンバーに、チームとしてメンバーに提供できる魅力と、提供できない魅力がハッキリと語れるようになれば合格です。

体験談として、今も続けている「良いチームだなぁ」と思っているバンドに当てはめて考えてみます。

チームの魅力(共感創造の4P)のうち、最も高いもの:People型(人材型)

Will:観客が盛り上がるライブをすることにより、自分たちも楽しむ
Can:観客ペルソナに沿った曲選択をする
Must:貢献が出来なければバンド活動以外で会えなくなる(と思っている)


【付録】世の中にある「良いバンド」の具体事例

主観入りますが、やっぱりこのバンドでしょう。

そう、安全地帯です。

法則に一つ一つ当てはめていきます。

1.目標設定

Voの玉置浩二はSONGSでこう語っています。

3年間合宿して、曲をたくさん作ってやろうぜと、どうせやるなら。十何歳のときに女人禁制。3年間暮らせなかったら、そんな一緒にやれないよってことで。でもそれがこう3年一緒にやって、まあ今30年だからね。デビューして。

バンドとしての方向性、メンバーの共感、ばっちりです。

2.人員選定

意外と知られていませんが、初期の安全地帯は脱退と加入を繰り返しています。そして2度の長期活動中止になったのも、メンバーそれぞれの個々の活動が活発化したからと言われています。流動性と多様性もばっちりです。

ちなみに、3年間閉じこもって合宿をした、旭川にある「ミュージカル・ファーマーズ・プロダクション」という手作りの音楽スタジオは今、元メンバーの宮下さんが経営するレストランになっているそうです。いい話。

3.意思疎通

ライブ動画や打ち上げ動画を見ればわかりますが、演奏に関しては相当確認点が多いです。また、メンバー全員が同級生や同郷であり、学生時代に出会い、3年間同じ屋根の下で生活していています。お互いの理解度は相当高く、発言に気を使うことは全く無いでしょう。素晴らしい。

4.意思決定

玉置浩二という圧倒的存在感と影響力のあるメンバーを抱えている一方で、メンバーの意思をもとに、いくつかの選択肢の中から、休止を意思決定しています。方法論の理解も、独裁者の条件もばっちりです。

5.共感創造

これは正直外からではわからないです。ただ、色々な動画見ていると、共感創造の4Pのうち、People型のような気がします。

――ところで、安全地帯は2017年で結成35周年とのこと。長く活動されてきた秘訣みたいなものは?
【矢萩】よく聞かれますけど、まったく分からないです(笑)。彼(武沢)と玉置は中学校の同級生ですし、僕とドラムの田中は、6歳のころからの幼なじみで。1個1個までは覚えてないけど、もちろんケンカもありましたし。
【武沢】若いときは、酒を飲んでるうちに、気がついたらつかみ合いになっていたとか(笑)。

引用元:ORICON NEWS

Will:観客が盛り上がるライブをすることにより、自分たちも楽しむ
Can:アイデア出し(玉置)と技術的なフォロー(他メンバー)で役割を分ける
Must:昔のことにこだわっていると、今よりいい音楽は作れなくなる

まとめにかえて

何をするにも良いチームが大事であり、良いチームには法則があり、良いチームはメンバー全員を幸せに出来ることがわかりました。自分もチームを組成するときは、5つの法則に照らし合わせて、良いチームの創造に取り組みたいと思います。

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