クソ!どこだ、箱!
ときたま、ぼくの家では神隠しが起きる。
しばらくプレイしていない携帯ゲーム機。
いつぞや感動した小説。
機種変前のデータが入った旧Iphone。
「今、必要だ!」
そんな時に限って神隠しは起こる。
今日、ぼくの家でゲームソフトの空箱が神隠しにあった。
ことの発端は夕方ごろに遡る。
暇を持て余し、ブックオフで古本を物色していた時のことだ。
ぼくはゲームソフトの買取チラシに目を奪われた。
ポケットモンスターソード(買取価格3,500円)
大乱闘スマッシュブラザーズSPECIAL(買取価格5,000円)
家に眠っているゲームソフトが高価買取対象になっていたのだ。
嘘だろ…。
ポケモンは2年前、スマブラは3年前のゲームソフトだぞ。
これが本当なら買値の半額以上を回収できるじゃないか。
よし!善は急げだ。
すぐゲームソフトを取りに帰って査定してもらいに行こう!
意気揚々と家に帰ったぼくはすぐに頭を抱えることになる。
「………あれ、ポケモンの箱がないんやけど…。」
調べてみると、買取で箱がないのは致命的だそうで、大幅に買い叩かれることが予想されるとのこと…。
「クソ!どこだ、箱!」
あちこち探した。
至るところをひっくり返し、探した。
絶対ないであろうところも探した。
でも、ない。
ポケモンは発売日に新品で買ったものだ。
箱だってキレイだ。
諦めきれない。
2時間は経っただろうか。
諦めかけたぼくは、最後に視点を変えてみる方法を試すことにした。
視点を変えれば、別次元にある異世界へ干渉できるのではないかと考えたのだ。
まず、怪しい場所に行き、体勢をかがめ、ほふく前進の姿勢で世界を見た。
蟻の目というやつだ。
………ダメだ、見つからない。
もしかすると、ぼくは見当違いの場所を探しているのか?
椅子の上に立ち、背伸びをして、できるだけ高いところから世界を見た。
鷹の目というやつだ。
やっぱり見つからな………ん?あれは…?
最後にいつ見たのか思い出せない卒業アルバムに埋もれるポケモンの箱を発見した!
興奮とともに疑問が吹き出した。
いや、なんでやねん。
何で卒アルの下敷きになってんねん。
当時、どういう心境でそこにポケモンの箱を置いたんや?
理解できんぞ、その時の自分。
かくして、ぼくは鷹の目を駆使して異世界を覗くことで、神隠しにあったポケモンの箱を無事発見することに成功した。
なぜこんな事件が起きてしまったのか?
真相は闇の中だ。
今回の事件はどこの家庭でも起こりうる。
どんな平和な家庭でも、少し気を抜けば最後。
ぼくたちの大切なものは忽然と姿を消すことになる。
本当に不思議でならない。
今回は無事発見できたが、次はどうなるか分からない。
気をつけねば。
さあ、明日はポケモンを査定してもらいに行こう!
また箱が姿を消してしまう前に。
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