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【フィットネスクラブでの仕事内容】現役の人は言えないから代わり私が言う

とある日、
とある場所で、
「ジムで働くのって簡単でしょ?」
「数を数えられれば誰でも出来るよね?」
という会話のやり取りが聞こえてきました。
実際の所はどうなのか
(どんな業務内容・実態なのか)
スポーツジムで約8年働いた経験がある私が
リアルな内容の記事を書いてみました。


筋トレや有酸素運動が出来るマシンジム、
複数人で集まって運動するスタジオ、
泳法や水中エクササイズが出来るプール、
風呂やサウナにロッカールーム、
こういった数多くの設備を
兼ね備える総合フィットネスクラブ。

そんな『総合フィットネスクラブ』で
働く人達のリアルな仕事内容は
当然現役の本人達が外で言える訳がないため、
元総合フィットネスクラブ社員の私が代わりに言います!
(現役スタッフじゃ言えない事もバンバン出しちゃいます)


発信目的

今回の記事執筆の目的は下記の二つです。

目的①
「フィットネスクラブで働く人は数が数えられれば誰でも出来る」
は実際どうなのかを考えてみる

目的②
今後、総合フィットネスクラブで働きたいと
考えている学生さんにリアルな現状を把握してもらう

では、早速本題に行きましょ!


シンプルに難しい

フィットネス業界に限らず
どの仕事も難しく大変ですが、
人の体に関する事ならではの難しさがあります。
具体的に説明します。

◆教科書の知識が通用しない

フィットネス業界の仕事(お客様の指導)は
学校で習うような「教科書の知識」が
ほぼ役に立ちません。
もちろん、解剖学の知識や生理学の知識、
栄養学の知識が身に付く為、
最低限の知識は頭に入ります。
しかし、あくまでも学校や教科書で学ぶ事は
『基本の暗記』であり、
お客様お一人お一人にあった
メニュー作成法やトレーニング法、
カウンセリング法、食事の組み方まではやりません。
(少なくとも私が卒業した学校ではやってません)

例えば、
「上腕二頭筋という筋肉があり、
作用は〇〇と〇〇と〇〇で
〇〇神経との関与がある。
上腕二頭筋の起始部は〇〇で停止部は〇〇。
速筋割合は〇〇で遅筋割合は〇〇。
〇〇や〇〇の種目で鍛える事ができる。
実技はこんな感じ。
さあやってみよう。」

というのが学校の授業。

しかし、同じ上腕二頭筋でも
人によって上腕二頭筋のタイプは異なります。
(※それは見れば分かるケースもあれば
遺伝子検査をしないと分からないケースもある)
持ち上げる局面に集中した方が良いのか、
降ろす局面に集中するべきなのか、
下半分で動かした方が良いのか、
逆に上半分で動かした方が良いのか。
などなど
上腕二頭筋という筋肉一つでさえこんな感じです。


ベースとなる知識を身に着け、
その身に付けた知識を足したり、
引いたり、掛けたりしながら
お客様にベストとなるアドバイスを送る必要があります。
つまり、教科書の内容が頭に入ってから
そこからやっと勉強をスタートできるって訳です。
※実際、教科書の知識が現場で役に立つ事は少ない!

◆考える要因・因子が多い

上記の内容に補足です。

『糖質制限すれば痩せる?』
『マシンの使い方は合っているはずなのに狙ってる筋肉に効かない』
『摂取カロリーはどのくらい?』
『運動前のウォーミングアップは何すればよい?』
『マシンジムとプールはどっちが良い?』
『マシンでトレーニングするのとスタジオレッスンどっちが良い?』
『体が固いから柔らかくしたい』
『スポーツパフォーマンスを上げたい』
などなどよくある質問・要望ですが、
当然「人によって違う」というのが結論です。
1から10まで人それぞれで
例えばウォーミングアップひとつとっても、
人によって変える必要があります。
その日の過ごし方や、
(座る時間が長かったのか立っている時間が長かったのか等)
何時間カバンを肩にかけていたのかなどなど。

逆にこういった質問・要望に対して
二つ返事で
「〇〇をやれば改善・解消されます」
というインストラクターやトレーナーには要注意です。


もちろん、食事法についても同様です。
仕事の内容や生活習慣、
体質、遺伝によっても食事内容を変えるのがベストです。
もっと言うと、
話し方や声のトーンなんかも相手によって変える必要があります。
豊富な知識量や経験を持ち、
かつ人に信頼され、
人を楽しませるエンターテイナーとしての能力も必要になります。

間違っても、
数を数えられれば誰でも出来るような
簡単な仕事ではありません。

◆人前に出る事が嫌い・苦手な人は大変

まず聞きたい。
君は30人、40人、50人、
場合によっては80人
こういった大勢の人たちの前で
何かのパフォーマンスを出来ますか?
または指導を出来ますか?
出来るのはせいぜい日本人1億2,000万人の
10%やらそんなもんではないですかね。
多くて20%とかそんなもん。

「体の管理が好き」
「健康管理のサポートをしたい」
「トレーニングが好き」
「インストラクターやトレーナーに必要な知識が豊富」
いくらこういった武器があっても
結局、人前で話が出来ない
または会話力が無いとかなり大変です。
フィットネスクラブで働く以上、
少なくとも5名前後のグループを相手に
話しをする事は絶対ありますし、
場合によっては、
40名~60名といった方々へ話しをする必要もあります。
あるあるですが、
トレーニングが好きで、
筋肉に関してだけやたら詳しい
みたいな人もたまにいますが、
残念ながらお客さんウケは良くないと思います。。。
つまり、
ただトレーニングが出来る・得意
ではトレーナーやインストラクターにはなれないという事です。
※当たり前ですが(笑)

ちなみに、、、
基本大勢の前に出て何かをする時は
テンションを上げる必要があります。
(必ずそうとは限らないけど)
仕事やプライベートで何か嫌な事があり、
精神的に病んでいる時でも
お客さんの前にいけば
いつものキャラクターになる必要があるんです(泣)
当日に恋人にフラれようが、
不幸が起きようが、
ひどい二日酔いだろうが
テンションを上げる必要がある。
これは人前に出る仕事の辛い事第1位かもですね。


業務内容及び量

総合フィットネスクラブの業務は
どんな事をするのか。
「運動や食事のアドバイスをしているイメージ」
と言う事をよく言われますが、
実はかなり業務量は多いんです。

◆事業内容が多い

主に業務(セクション)は3~5つに分かれます。
・フィットネス業務
・プール業務
・テニス業務
・ゴルフ業務
・受付業務

それぞれがそれぞれの持ち場で業務を遂行します。
全てに共通するのは
お客さんの接客(指導・対応全般)
お客さんの管理(入会者・退会者・休会者等の管理)
各設備の管理(マシンや水質等の点検業務)
各KPI・KGI管理
管理職は上記の業務に加え、
スタッフ管理、研修、クラブ運営業務、会議等
マネジメント全般も。
(私はマネジメント業務の方が楽しかったですね)

管理職の場合は多少変わりますが、
基本は各セクションでの指導対応がメインになり、
その合間に入会者の情報整理、
退会者への電話掛け、
その他数値関係を含むマネジメント業務をこなします。
※具体的な1日の流れは別途説明

◆担当業務の掛け持ち

基本は一つのセクション業務を担当しますが、
複数のセクションを掛け持つフィットネスクラブもあります。
(※フィットネススタッフがたまにプール監視業務をやる
程度なら掛け持ちとは言いませんが)

実際によくある業務の長れ

”スタジオレッスン実施後すぐプールに移動し
子どもスイミングの入水
2時間~3時間プールに入り、
その後5分後にパーソナルトレーニング。
移動やら着替えやらで髪を乾かす時間も無い。
(※接客的にどうなのという話はここでは置いといて)
パーソナルトレーニングが終わったと思ったら
今度は大人泳法のレッスン。
プールとマシンジムを行ったり来たり。
(※体温がおかしくなる)
そのうえ受付業務もやる。
いくつもあるセクション(事業)の内容を理解・把握し対応”


◆受付業務

全国民に知ってほしい!
総合フィットネスクラブの受付スタッフは
本当にみんな天才!!!

先程、
「フィットネスクラブにはいくつかのセクションがある」
と説明しましたが、
そのセクション全て、
まとめて受付窓口となっている所がほとんどなんです。
つまり、
フィットネス目当てのお客さん
プール目当てのお客さん(子ども・大人共に)
テニス目当てのお客さん
ゴルフ目当てのお客さん
これら全ての詳細を把握し
対応している訳です。
もちろん、
各セクションごとに
高頻度でイベントの開催もありますから、
その都度、突発的な対応もします。

総合フィットネスクラブが
上手く回っているのは
受付スタッフのお陰と言っても過言ではないです!

◆分単位のシフト

ここでリアルな勤務状況を。。。
私の絶頂期のシフトはこんな感じ⇓

出社

各数値分析・管理(KPI管理)

会議60分~90分

会議終了の15分後スタジオレッスン

1本目終了の15分後、2本目のスタジオレッスン

走って移動して1分でシャワーを浴び
その15分後パーソナルトレーニング×2本

4階から1階までの階段をダッシュで降りて
3分後子どもスイミングスクール入水×2時間~4時間

スイミングスクールの後処理
(出席管理や進級管理など)

1階から4階まで階段をダッシュ移動
スタッフ研修1時間程度

最後にKPI管理や会議資料作りやらで数字とにらめっこ

冗談では無く本気で館内を走り回る感じですね。

子どもスイミングレッスンでの
早朝レッスンがある時は、
朝7:30に出社し、
終わりは日付が変わる事もたまにあります。

◆プライベート時間の犠牲
どの職業も多少なりとも
プライベートの時間を削って仕事をしますよね。
フィットネスクラブで働くスタッフの場合はどうなのか。

それぞれに必要な知識のアップデートをします。
講義に参加をしたり、
自力(独学)で勉強したりと、
そこは当然やってますが、
フィットネスクラブで働くスタッフ、
もっと言うとスタジオレッスンを担当している
スタッフはそんなもんじゃないんです!!!
(※数を数えられれば出来るとか言ってる奴、良く聞け!)
レッスンの種類にもよりますが、
仮に60分間のレッスンを実施する場合、
単純に60分間分の動きを覚える必要があるんです。
60分のレッスンが2本あれば
当然120分の内容を記憶する必要があります。
そこに費やすプライベートの時間は相当なものです。
人によっては
「通常の業務+レッスン4本×週に4日」
なんてスタッフもいます。
こうなってくると
プライベートの時間なんてほぼ無いに等しい。。。
やってる本人達からすると
もう慣れて麻痺してますが、
週に数本のレッスンしかやっていなかった
怠け者の私ですらかなりのストレスでした。
事実、
日々の移動(車も電車も自転車も)時間の全てをその記憶に費やし、
旅行先でもそのツールを持参し
ひたすら記憶に時間を使う人もいます。
プライベートの時間のほとどんどで
レッスンで使う音楽を聴いているみたいな。。。
まさに地獄。。。
(※ぶっちゃけ私は超ストレスでしたが、たぶん皆好きでやってる。)

また、レッスン内容を記憶しないパターンもあります。
60分間のレッスンの内容を毎回毎回
1から自分で考えていくパータン。
これもまたしんどいです。
当然、休憩中なんかは皆そのレッスンの準備で
休憩なんかしていない。
そう、
レッスンを一度担当してしまうと
休憩なんて概念は無くなります。
(毎日の様にレッスンがある人は)
(皆は好きでやってるから楽しいんだと思う)

◆真冬の早朝プール

毎年真冬12月~2月
早朝7:45
水温30度

この状況でのプール入水。
シンプルに寒い!
指先つま先感覚無い。。。
そんな感じですね。
しかもフィットネストレーナーとして入社したにも関わらず
真冬の早朝にプールに入る。
これがまた精神的にくるんですよ。
当時は怒りさえありましたね。

◆保護者絡み

どこに行っても厄介な保護者っていますよねー

以上です。
察して下さい。


お客さん関係


フィットネスクラブもサービス業であり接客業です。
それもお客さんとの距離感が非常に近い接客業。

◆顔と名前の一致

通常、総合フィットネスクラブには少なくて500名、
多くて5,000名ほどの会員さんが在籍しています。
在籍している会員の皆様の顔と名前を覚えるのは
不可能に近いですが、
自分が出社する時間に利用されているお客様の顔と
名前くらいは覚える必要があります。
具体的には、
クラブの規模にもよりますが、
ざっと100~200名くらいですかね。
稀にお客さんから親しい感じで話しかけられて、
「誰だっけ」となる事もありました。

※似てる人もいますので
〇〇さんかと思って呼んだら名前が違ったみたいな(笑)

◆プライベートでの外出

休日、出先でお客さんに会う事があります。
気心しれたお客さんなら良いですが、
顔は知ってるけど話は事は無い
みたな場合だと、
声を掛けるべきか気付かないふりをするべきか、
そんな事もしばしば。
プライベートの外出時にも気が抜けません。
不特定多数の方との接点が多くなると大変です。


番外編

番外編です。
ちょっと意外な所ですが、
総合フィットネスクラブは
オープン準備と締め作業が大変。。。
浴槽に敷いていあるシートの撤去作業、
プール一面のシート撤去作業、
床のブラッシング、
マシンジムなら全マシンのチェック
(ざっと80台~100台あります)
夏場なら朝から汗だく。
冬場なら朝から凍える。
特に夜の閉め作業は大変です。
80台~100台あるマシンの清掃
(マシンの足元部分まで全て拭き掃除)
でまず足腰にダメージがきます(笑)
スタジオのドデカい鏡の清掃、
プール一面のシート引き(これがかなり辛い)、
風呂場の清掃、
ロッカールームの清掃、
などなどこれを30分~45分程度の時間で
こなす必要があります。

複数の会社・業界のオープン作業と
閉め作業を経験しましたが、
総合フィットネスクラブの作業量は
ダントツで多く、大変です。

一つの箱の中に様々な
施設が入り混じっているからこその大変さですね。


インストラクターやトレーナーを目指すなら

インストラクターやトレーナーを目指すなら
現役のインストラクターやトレーナーから
話しを聞くのが一番で、
もっと言うと、
その目指す職に近い会社でバイトをするのが
一番の近道です。
学校のメリットはもちろん多少ありますが、
学校に1年間通うなら
その職で3か月バイトした方が
覚えも早いし
現場で使える情報・知識・経験が身に付きます。


まとめ

このダラダラ、長々とした記事を
最後まで読んでくださったあなた!
最高です!
ありがとうございます!

基本楽な仕事なんてないし、
楽してお金を稼ぐなんてもっと無理。
(労働者である以上は)

今回は、様々ある職業の中で
総合フィットネスクラブ
というかなりピンポイントに絞った内容でした。
あなたの職業はどんな楽しい事、
苦しい事がありますか?

是非コメントで!








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