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「FLIGHT RECORDER」&ムーンライダーズ、そして「ミュージック・ステディ」研究その2。

 1983年には新譜としてムーンライダーズのアルバムは出なかったのですが、その後の彼らの(バンドと個人の)活動の布石が次々と打たれた年なのです。

 前年である1982年12月には沢田研二さん『ミスキャスト』(ポリドール)が発表されています。このアルバムは全曲井上陽水さん作で、白井良明さんがサウンド・プロデュースを手掛けた初期の作品ですね。
沢田研二さんのレコーディング・セッションに白井さんは既に参加していますが、それは伊藤銀次さんがプロデュースしたシングル「渚のラブレター」(ポリドール)などでエキゾティックスに移行する前後にエキストラ・メンバーとしてギターを弾いているのです。
この時期の白井さんは伊藤銀次さんのセッションに参加することが多く、PANTAさん「レーザー・ショック」(ビクター)、アン・ルイスさん「ラ・セゾン」(ビクター)などが有名なところでしょうか。

・伊藤銀次さん「伊藤銀次自伝 MY LIFE,POP LIFE」(シンコー・ミュージック)。銀次さんのセッション・メンバーのエピソードに白井良明さんと岡田徹さんが登場してます。


 そして、6月1日、PARCO SPACE  PART3でのイベント「モダーン・コレクション」に噂の一族(実際のライヴでは鈴木慶一と噂の一族と発表された模様、ライヴ前の雑誌「宝島」のコラムでは噂の一族とだけ公表された)という形で、後に水族館オーケストラと名乗るメンバーに近い編成で登場。(『陽気な若き水族館員たち』の紙ジャケット盤TKCA-72866~徳間ジャパンより、古澤清人さんのライナーから引用しました。個人的に古澤さんはムーンライダーズ~水族館系研究の第一人者だと思っております)

・かしぶち哲郎さんと矢野顕子さんの対談&鈴木さえ子さんと鈴木慶一さんの対談が掲載された「ミュージック・ステディ7号」(ステディ出版)。

 この号の「ON THE ROAD AGAIN」という特集ではVOICE、ポータブル・ロック、リアル・フィッシュが取り上げられていますし、鈴木慶一さんインタビューではオムニバス・アルバムを発表する予定を語っています(但し、この時点ではMio Fouではなく、鈴木博文さんソロの予定だった模様)。

ちなみに「ON THE ROAD AGAIN」で取り上げられた他のバンドは東京ブラボー、サニィ久保田とクリスタル・ヴァカンス、スクリーン、くじら(記事では鯨と表記)、グリム・スキップとその後のシーン(所謂東京サウンド~メトロ・サウンド)につながるバンドが選ばれていますね。
この記事にはインディーズ・レーベル・リスト(この時点でインディーズと表現したステディの早さに驚きます)やライヴ・ハウス/イベント・スペース・リストの連絡先(住所及び電話番号)が掲載されています。
で、締めが菅岳彦さん(ムーンライダーズ周辺記事の重鎮で、アストロ・チンプスの一員)と市川清師さん(ミュージック・ステディの当時の編集長)の対談でした。

 そして、6月21日にはかしぶち哲郎さんの初のソロ・アルバム『リラのホテル』(ポニーキャニオン)が発表されます。
矢野顕子さんが全面参加しているこのアルバム、正式クレジットはかしぶち哲郎featuring矢野顕子となっていますね。
先に述べた「ミュージック・ステディ7号」以外にも「バラエティ1983年8月号」(角川書店)や「Olive 1983年7/18号」(平凡出版)などの取材を受けています。

・「バラエティ 1983年8月号」(角川書店)。連載対談「K 1の胸キュンシリーズ」にかしぶち哲郎さん&矢野顕子さんで登場。
画像をタップしていただければ、連載についてのGO→ST通信電子版の「K1の“胸キュン”シリーズ」の記事に行くことができます。

・「Olive 1983年 7/19号」(平凡出版)。特集「ワタシたちの共通言語は=ミュージックです」にかしぶちさん&矢野さん、鈴木慶一さんが登場。

 このアルバムははちみつぱい時代の名曲「春の庭」やあがた森魚さんがアルバム『日本少年』で発表していた「リラのホテル」(当時はセルフ・カヴァーとは呼んでなかった記憶があります)に、当時書いたという「ひまわり」や「フレンド」などの名曲目白押しな作品です。
矢野顕子さん以外にもベースで細野晴臣さん、ボーカルに大貫妙子さん、アコースティック・ギターで白井良明さん、ストリングス・アレンジで坂本龍一さんが参加しています。
「ミュージック・ステディ7号」によりますと、矢野顕子さんは「かしぶちくんがソロLP作る時は、もうお茶くみでも何でもやるからって何年も言ってたの」という発言を残しています。(後にサエキけんぞうさん司会の番組「ソリトン」のムーンライダーズ特集の回でこの発言を引用していました)

ムーンライダーズ関連でこのアルバムが一番好きという方は少なくないのではないでしょうか。私も決して古びないエバーグリーンでエイジレスなアルバムだと思っております。
ちなみにこのアルバム、一度ポニーキャニオン(オリジナル盤の発売元)からCD化の情報が流れ、具体的な規格番号も割り当てられました。(確か「CDジャーナル」に掲載されたはずです)
結局は発売されなかったのですが。

 このアルバムの発売記念コンサートが渋谷公会堂で行われて、雑誌「Soundoll」にレポートが掲載され、坂本龍一さんがパーソナリティーを勤めた「サウンド・ストリート」でその一部が放送されています。
ムーンライダーズがかしぶちさんのバックを担当していて、ラジオの前で興奮していた記憶があります。

 
 またまた長くなってしまったので、ここでひと休みさせてください。1983年の途中までしか行ってませんが。。
明日には鈴木さえ子さん『毎日がクリスマスだったら』から『陽気な若き水族館員たち』くらいまでですかね。あくまでも予定ですが。

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ではまたー。

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