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掌編SS

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#小説

夢との狭間で / SS

夢との狭間で / SS

しばらく固まっていた。何が起きたのか思考が追いつかない。今見ていたのはありえない光景…あれは、夢…?

次第に目に映る光景はいつもの見慣れた自室の天井だった。そうか、夢を見ていたのか。ここでやっと意識がはっきりしてきた。それでもなお、さっきまで見ていた光景が脳裏にしつこく焼きついている。絶対に、ありえないというのに。

今はもうない、あるはずのない温もりを求めて、私は大きなベッドの隣へと手のひらを

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眠れない夜に / ss

眠れない夜に / ss

時計は23:45。もうすぐ今日が終わる。
先週の疲れが抜けきらない月曜日の夜、早く寝てしまおうと布団に入ったはいいもののなかなか寝付けずにいた。

真っ暗な部屋の中でお気に入りのベッドに体を沈める。
そっと目を閉じる。
耳に届くのはサーキュレーターの低いうなり声と、スマホから小さく流れるお気に入りの歌。
サーキュレーターの風が投げ出した腕を時おり優しく撫でていく。

9月も中旬にさしかかれば朝晩は

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