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環境省 原発事故前の放射能濃度(Bq/Kg)のデータを説明会で提示せず

2022年新宿御苑内にて再利用土実証実験説明会後の記者会見

筆者が一番初めにした質問だが、原発事故前の放射能濃度(Bq/Kg)の説明をされたのか?期間に関しては2000年から2010年。それから住民がどれだけ高い濃度の再生利用土を受け入れなくてはならないかを説明したのか?
それらの事を環境省新井田参事官に質問した。

新井田参事官”そういった説明は行っていない。

重ねて質問をし、原発事故前の土壌の濃度は把握されているのか?と質問した。

新井田参事官”現時点で把握はしていない。

続けて新井田参事官が説明。

新井田参事官"(環境省側の説明会の主旨として)帰還困難区域内のまだ線量の高い地域(バックグランドの空間線量率の事)で再生利用土の実証事業を行い、盛土形成する事前事後で空間線量率が変わらない事を確認しているが、除去土壌の影響がはっきりあるかないかまだわからないところがあるため、今回は線量の低い(バックグランドの空間線量率の事)で実証事業を行い、再生利用土から周辺の空間線量率が上がらない事を確認したいという説明を説明会では致しました。しかし、線量の低い場所という事については具体的に空間線量率が0.04 μSv/hであったり、0.05 μSv/hであったりという説明が無かった事ではありました。住民説明会では除染した土の中で比較的低い濃度の8,000 Bq/Kg以下の土壌を利用させて頂きますと説明致しました。その上で一番危険側の値である8,000 Bq/Kgの土壌を持ってきて、最終的に土壌を遮蔽した時の影響の話をした事と、土壌を埋設する作業員の被ばく線量が年間1mSv以下になるという説明を致しました。”

新井田参事官は土壌を埋設したあとに住民が受ける被ばく線量がどれだけあるか(埋設場所からどれだけ周辺の線量に影響があるかも含め)?作業員の被ばく線量が年間1 mSv以下であると考えられるという事を説明住民説明会ではしたのだが、筆者は果たしてそれだけが問題であるとは考えられなかった。

原発事故前の過去のデータ
原発事故前の東京都の放射性セシウム137の放射能濃度(2000年から2010年の値を環境放射線データベースから参照)

これらのデータを見る限り最大値は東京都の水田土壌が15.4 Bq/Kg、最小値は新宿区の草地の土壌が1.4 Bq/Kgであった。
新宿区だけで限ったデータを参照すると6 Bq/Kgが最大値で最小値は1.4 Bq/Kgであった。当然不検出であった検体もあった。
(Bq/Kgのデータのみ参照)

環境放射線データベースリンク以下

https://www.kankyo-hoshano.go.jp/data/database/

環境省新井田参事官の説明によると中間貯蔵施設内から受け入れる土壌の放射能濃度は具体的に決まっておらずあくまで”8,000 Bq/Kg以下”であると説明。

つまり、最大で原発事故前の新宿区の土壌の放射性セシウムの濃度の4桁高い濃度の再生利用土を受け入れなくてはならない事になる可能性がある。
新宿区の原発事故前の土壌の値の最大値6 Bq/Kg再生利用土の最大値である8,000 Bq/Kgと比較すると約”1,333倍”高い濃度の土壌を受け入れる事になる。

実際はどういった濃度の再生利用土を新宿御苑にて再生利用するかは繰り返すが決まってはいない。

しかし運用上はこういった濃度のものを持ってくる可能性があるという事にはなる。

こういった説明が欠けている事は筆者の考えとしては丁寧な説明とは考えられなかったため今後の説明会にて説明をして頂くように新井田参事官には要望をした。

筆者が違和感を覚えた事
環境省の新井田参事官は住民の方々には基準は無いが、丁寧な説明をと会見中に繰り返したが原発事故前の土壌の放射能濃度と事故後福島県で発生した除染土の濃度を説明しないことをは丁寧な説明に当たるのであろうか。

会見中中間貯蔵施設の中でも低い濃度のものを予定していると発言されていたが、8,000 Bq/Kgの土壌濃度である。

正直、事故前の新宿の最大値6 Bq/Kgから比べたら1,333倍である。低いという言葉を使った意図としてはあくまで中間貯蔵施設の中で保管している土壌の中では比較的低い濃度のものという位置づけで説明していたとしても、非常に違和感を覚えた。

果たして、説明会当日に住民及び記者に対しての会見で説明する際に、原発事故前のグローバルフォールアウト由来の放射能濃度のデータを持ち合わせていないということは、本当に環境省は事故被害に向き合っているのと言えるのだろうか?

捕捉1
現在の新宿区の放射性セシウム137の濃度が最新のデータでは300 Bq/Kgとなっている。この濃度から8,000 Bq/Kgの土壌を比較しても約27倍の濃度の再生利用土を受け入れる可能性があるという事になる。

東京都健康安全研究センター敷地内(東京都新宿区百人町)のデータリンク以下
https://monitoring.tmiph.metro.tokyo.lg.jp/radiation_geo.html

捕捉2
なお、現在放射性セシウム134に関してだが、約2 %以下になっている状況である。

捕捉3
原発事故前の土壌の放射性セシウム137の値は過去の核実験等のグローバルフォールアウト由来と考えられます。

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