令和2年度特定復興再生拠点区域外における 線量低減措置等の効果実証事業 (内閣府委託事業):飯舘村曲田地区 (開示請求文書含む)
2021年1月21日 内閣府原子力被災者生活支援チーム参事官補佐太田氏に実証事業の内容を電話質問にて確認
飯館村曲田地区(復興再生拠点区域外であり、機関困難区域である場所)において個人宅5軒が2021年11月時点ですべて解体され、砕石をおおよそ10㎝程敷いて線量低減が行われた。砕石をする前と後でその敷地内の空間線量率を測定し、その記録を内閣府原子力被災者生活支援チームが保持。
解体時に発生した解体家屋の廃棄物は元請けの大成建設及び下請けである斉藤運輸興行やその他の関連業者が処分をしたと思われるという回答であった。最終的にどこの業者がどこに処分したかはお答えできないという事であった。
令和2年度特定復興再生拠点区域外における 線量低減措置等の効果実証事業 (開示請求文書)
情報開示請求文書に線量低減措置に伴って発生した廃棄物は廃掃法に則り、集積・分別し、運搬・処分した。という記載がある。
(ハイライト及び赤色の下線は筆者が加筆)
仮に特措法(放射性物質汚染対処特措法)に基づき除染実施計画の下に解体家屋が解体された場合ならば、※1対策地域内の仮設焼却施設に解体家屋の可燃性の物は運ばれそこで焼却し、10万Bq/Kg以下の焼却灰は旧エコテック及びクリーンセンターふたばで処分する事になっている。そして、10万Bq/Kg超えの焼却灰は中間貯蔵施設へ搬入となっている。
しかし、この線量低減の実証事業は環境省の汚染対処特措法に基づかない事業になるため対策地域内の仮設焼却施設には持って行かず、産廃業者が廃掃法に基づいて処分することになっているという記載があるが、どういった産廃業者がどこにどういった状態で処分したかは内閣府原子力被災者生活支援チーム参事官補佐太田氏が示せないという回答であったため不明である。
実際解体家屋で発生した可燃性の物を焼却して減容したかどうかも不明ではある。
砕石の線量低減について
”作業環境の線量低減に及ぼす砕石敷均しの遮蔽効果が明確に観測された”と記載があるが具体的に10 ㎝程砕石したという記載は情報開示請求文書には見当たらなかった。
それから、重要な点になるが、線量低減の実証事業は土壌を削り取って線量を下げる除染ではない事から、砕石した場所の下には福島第一原発事故由来の放射性物質が沈着している土壌が存在している事になる。
(2021年4月26日 内閣府原子力被災者生活支援チーム 参事官補佐太田氏より電話取材にて確認。)
(ハイライト及び赤色や紫色の下線や矢印は筆者が加筆)
支援チームが帰還困難区域内で除染なしで線量低減だけした場合にどの程度空間線量率になるかの線量低減率の早見表を作成しデータ化していた
早見表を作成してはいるが具体的な数値はすべて黒塗りで見ることができない。
(ハイライト及び赤色の下線は筆者が加筆)
福島地方環境事務所にて同様の開示請求を行なったが、線量値に黒塗りは一切無かった
太田参事官補佐によれば他の省庁で同様の開示を行ったからと言ってこちらがやるとは限らないと明言。
福島地方環境事務所に開示請求した公文書のリンク
https://docs.google.com/document/d/1ePubfSNeYGqTVYepnwSRzBQCaH7Zv6Ir4NYH1KRCgcs/edit?usp=drivesdk
令和2年度特定復興再生拠点区域外における 線量低減措置等の効果実証事業 (内閣府委託事業):飯舘村曲田地区 開示請求文書全文リンク以下↓
※1 対策地域
”汚染廃棄物対策地域とは
放射性物質汚染対処特措法に基づき、環境大臣が、国がその地域内にある廃棄物の収集・運搬・保管及び処分を実施する必要があると指定した地域です。福島県楢葉町、富岡町、大熊町、双葉町、浪江町、葛尾村及び飯舘村の全域並びに南相馬市、川俣町及び川内村の区域のうち当時警戒区域及び計画的避難区域であった区域が対象です。
2022年3月31日に田村市において汚染廃棄物対策地域の指定を解除しました。”
対策地域の地図(画像と対策地域説明文は環境省websiteより)
http://shiteihaiki.env.go.jp/radiological_contaminated_waste/regional_measures/
情報開示請求文書の疑問点又は問題点1
建物の解体前と解体後の空間線量率の具体的な値はすべて不開示であった。
土壌サンプリングの詳細調査やダスト濃度測定等を行っているがすべて値は不開示
情報開示請求文書の疑問点又は問題点2
無人ヘリによる具体的な線量値はすべて不開示
情報開示請求文書の疑問点又は問題点3
作業員の具体的な被ばく線量値がすべて黒塗りで不開示。
それから”本事業対象エリアで行動した作業員は被ばく線量が概ね0.00~0.03μSv/min、相対的に被ばく量が高くなった作業員は被ばく線量が概ね0.03~0.05μSv/minであった。”ある程度作業別の被ばく線量は分かったが、具体的な線量が黒塗りという状況であった。
情報開示請求文書の疑問点又は問題点4
敷地内の空間線量率はすべて黒塗り。それから土壌放射能濃度の具体的な値は黒塗りあくまで50万Bq/Kg以下であった事しかわからない。
”区域内の詳細な線量率マップをベースとして”とあるが、環境省が特定復興再生拠点区域内で作成した歩行サーベイの様なマップを使うのではないかと考えられる。
(令和4年 4月 8日 双葉町放射線量等検証委員会
検証結果報告書より)
スマホに専用のロガーアプリをインストールし、線量マップをベースにして今後除染せずに避難指示解除をすると考えられる場所での被ばく線量管理をしようという意向を示していると考えられる。
運用側(自治体等)のメリット・デメリットが書かれている。
”放射線不安への対応において、データ活用が可能
ビッグデータの取得・分析により自治体での対策や国への働きかけが可能
My線量マップを基に市町村単位の線量マップの自動生成と提供が可能
住民に対する被ばく線量の管理とサポートが容易に可能”と記載がある。
この文章を読む限りでは国に対して自治体側が被ばく線量データを譲渡出来る仕組みになっていると考えられる。
それから、デメリットの部分に住民への理解に向けた説明会等の開催が必要と記載がある。デメリット部分に明記している理由がいまいちはっきりしないが説明会で住民側から反発がかなり来る事を想定しているのではないかと考えられる。
線量低減に関わる工事単価がすべて黒塗りである。
ここにも”廃棄物を円滑に処分するため、予め、廃棄物処理法に従って”と記載がある。除染実施計画に基づいた作業では無い事から汚染対処特措法が適用されない。
”森林からの放射線影響を考慮した低減効果を基に計画の策定が必要である”と記載がある。森林から仮に土も腐葉土落ち葉も取り除かないで線量低減というのは森の中に土嚢を被せるか、砕石をして線量低減を考えているのかどうかは推測でしかないが、何を考慮にしていくのかが不透明である。
”住民及び関係自治体等への説明””土地活用者は事業開始前の早い時期に調整を開始することが重要である。”住民側を説得するのに時間が掛かるという事を考えているのだろうかと、実際の理由ははっきりとしない。
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