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【映画記録】「哀れなるものたち」が良すぎてビビっている

水曜日に映画を見て、原作小説をポチって、パンフを買い忘れたので買って、今日渋谷パルコと渋谷特別展も見てきました。あまりのことでビビっています。

個人的に「予告編はネタバレの宝庫」という信念があるので、本当に期待している作品は情報をシャットダウンしまくっています。「哀れなるものたち」もそうで、個人的にヨルゴス・ランティモスの「ロブスター」「聖なる鹿殺し」がも〜〜〜好きで、とりあえず多分好きだと思うので、予告編もチラシも何も見ないで映画館に行ったわけですが、これが大正解。

わたしたちは「青いドレスにロングヘアの女」を見ると「あ、不思議の国アリスだ!」と思ってしまう呪いにかかっているのですが、哀れなるものたちもひとりの女(少女と言ってもいいでしょう、性質上)がふしぎの国ならぬ各国を旅し、自分を確立していくという流れは、アリス的と言ってもいいとおもいます。
ただ、アリスは現実の川辺から不思議の国に旅立ったのですが、本作の主人公ベラは「不思議の国」から「現実」へ冒険するのです。

ということで、ネタバレに考慮せず乾燥と考えたことを書いていきます。

・奇妙でグロテスクで愛おしいゴッドの世界

主人公のベラは、妊娠し自殺してしまった女の脳を取り出し、そこに胎児の脳を移植して蘇生されたという、大人の女の肉体と赤ん坊の知能を持って産まれ……産まれ直しました(?)。そんな彼女を作ったのはゴッドという天才外科医で、ベラとゴッドの住む家には彼が作成したアヒルのあたまに犬の胴体みたいな奇妙な生き物がたくさん住んでいます。
そんな家にマックスという男がベラの成長を記録するためにやってきます。彼と交流を重ね、婚約に至るベラですが、彼女はもっと外の世界を見るためにダンカンという男と逃避行(ゴッドとマックス公認)のたびに出るのでした……。

映画の冒頭、モノクロで描かれるゴッドの家に「えっ、このままモノクロでいくのか?」とそれだけでワクワクしたのですが、ダンカンとの旅でリスボンを訪れた際に一気に世界が色づき、画面がカラーになったのがやっぱりいいですよね。
そしてリスボンの街の美しさ!映像や衣装の素敵さも相まって、一気にベラの冒険に魅入られていきました。

・性的快感の発見と知的快感(があっても性的快感が大事であること)

ゴッドの家にいるときに、自慰の快感を知ったベラ。彼女には性的行為が「非常識な恥ずかしいこと」という考えもなく、無邪気にお手伝いさんやマックスの性器に手を伸ばします。気持ちいことは気持ちいいですからね。
自慰の快感から、ダンカンとの逃避行で性交の快感を知ったベラは、それはも〜〜〜やりまくります。リスボンのホテルで、連れ出された船の中で、ダンカンとの「熱烈ジャンプ」を繰り返し、彼との性交を語ります。そんな中で出会ったのがマーサという老婦人とハリーという黒人男性と出会います。
マーサは他の常識的な大人たちと違い、ベラのダンカンとの性行為の話も当たり前に聞き、彼女からの「ハリーとセックスとしているの?」みたいなあまりに非常識な質問も嫌な顔ひとつせずに当たり前に回答をします。マーサとハリーからベラは、本を読むことを学びます。

これを読んで気づいたんですが、たしかにベラはここから本を手放さなくなります。ダンカンとの「熱烈ジャンプ」も減っていきます。
そしてハリーによって世界には貧しい人がいることを知り、彼らに金を寄付しようとして(できない)無一文になり、フランスで船を降ろされ彼女は娼婦として生活を始めます。

本を読むことで、話すことで、体験することで、ベラは考え続けます。そうして、ただすることが気持ちいい、だった性的快感も変わっていきます。娼婦として初めてダンカン以外の男と挿入行為を体験し、彼女は比較して彼の性交がよかった、とダンカンに告げます。ここもかなり印象的なシーンです。

何も知らずに、歩き方にも違和感があったベラ。アイスが食べたいと泣き喚いたベラ。それが気付けば娼婦仲間と社会主義の集会に向かっている。夢中で画面を見ながら、ふと映画の序盤を思い出せばひえぇ、そうだった……と思うのです。

自分の肉体は自分のものであること。考えてみれば当たり前のことを、ベラは当たり前だからそう言います。でもちゃんと考えているのでいろんなこともわかります。物語後半、ゴッドの家に戻りマックスと再会した際「婚約どうするの?わたしは娼婦だったし、そういうことで男の所有欲はなくなるものでしょう?」みたいなことを言います(あれ、ダンカンとでしたっけ?こういう台詞はあったはず……)。

マーサと出会って以降、娼館のシーンはあからさまな性的描写の量は減っていないけれど、描かれる性的快感の量が減っていて、その分ベラが本を読んでいるのですよね。娼婦仲間に舐めてもらいながら本を読んでいるシーンも、なんか好きなんですよね……。よくないですか?特別でもない日常みたいで……。

・話も映像も衣装も良すぎて、とりあえず何を言っていいかわからない

そして映像と衣装ですよ!!なんですか、もう、全シーン可愛いんですけど。可愛いんですけどお話も見たいし、衣装もバンバン変わるし、もう頭がずっとフル回転。

見てくれ!!!かわいい。
これは渋谷西武1Fの展示です。もう全部可愛い。最高。肩がすんごいパフスリーブ?みたいなドレスほちい!!着たい!!!それでハチャメチャダンスしたい!!!

パルコのほうがスペースも展示も大きくてよかったので、渋谷に行く人は映画を観ていても観てなくても除いてほしいやつです。でもARのやつはよくわかんなかったな……あれ要るかな……。

※さっき見視聴だった「女王陛下のお気に入り」観たんですが、こっちもハチャメチャダンスシーンがあって笑いそうになりました。哀れなるものたちでもあったぞ?

最後に愚痴

原作小説も読みたくて、速攻ポチったんです。
最近、Amazonくんは不正利用がひどいらしいのでクレカの登録削除して使用を控えていている都合で、楽天ブックスで買ったんですが、お取り寄せになっていて全然届きません。
おまえ!!!!本屋!!!!!!日本企業!!!!!!だからみんなAmazon使うんじゃろ!!!!!!!!!もうキャンセルしてAmazonでかい直そうかな…………はあ…………。

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