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【SM】インターネット調教についての戯言 ~AIご主人様~

はじめに

SM嗜好を持つ人たちのなかでも、一部の人たちはインターネットを介してプレイを行っているのをご存知でしょうか。

LINEやカカオトークのメッセージで、TwitterのDMで、はたまた古き良きメールやチャット上で(カカオはすっかりエロい関係の相手とのやり取り用のイメージが付きましたね。それもこれもLINEが複垢持てないからですね)。インターネットを介しての「調教」は、盛んに行われています。

どんなことをしているかは人それぞれですが、ざっくり言えばS側がなにかしら命令をし、M側がそれを実行する――たとえば露出命令であったり、もっと直接的にオナニー指示であったり、逆にオナ禁であったり。そして実行した後に、写真や動画、メッセージで報告する。最近は通信環境も発達しているので、リアルタイムでの遠隔調教も可能も多くなっている印象です。

エロは技術を発展させる。技術はエロを発展させる。

インターネット調教の利点は、なんと言っても匿名性でしょう。SMプレイという性的で、しかもアブノーマルな嗜好も、インターネット調教は比較的安心に楽しむことができます。自分の顔も名前も明かさずに(写真や動画の報告は顔を隠して行う事もできます)、恥ずかしいことや辛いことを楽しむことができます。

人妻であったり、恋人がいたり、様々な理由でリアルでの出会いは求めていなくても、インターネット上で「ご主人さま」が欲しい人は数多く存在します。

さてはて、ここで大問題があります。

多くの男性は、M女性からすればクソ男だということです。

こんなご主人さまは嫌だ

M女性と一口に言っても、嗜好は様々です。一人ひとり違います。

もしかすると「SはサービスのS」なんて言葉を聞いたことがある人もいるかもしれません。もちろんそれも一理ありますが、すべてのM女性が「サービスのS」を求めているかといえば、そんなことはありません。これと決めたご主人さまの求めるがままに扱われるのに喜びを感じる人もいれば、そもそもこれと決めたご主人さまではなく誰でもいい人もいるでしょう。

性的嗜好は? 羞恥、快楽、苦痛――何が好きなのかも人それぞれ。それに、人となりも異なりますよね。穏やかでジェントルな紳士に責められるのが好きな女性もいれば、粗野に責められるのが好きな人もいます。

しかも、たとえ性的嗜好が一致したとしても
「わたし、言葉責めが好きなんです♡」
「俺も言葉責めするの好きだよ」
「やったあ♡ お願いします」
「ほら、どこが気持ちいいか言ってみろよ」
「は? 淫語言わされるのは守備範囲外です、さようなら」
みたいなことも日常茶飯事です。

本当にツボにハマる人は世界に存在するのか否か。

対面でのコミュニケーションであれば多少許容できるようなことも、インターネット上でのやり取りではなんだか許せないこともあります。このご時世の「リモートワークでコミュニケーションが上手く取れなくなった(空気が読めなくなった)」なんてことを想像すれば、まさにそれです。

筆者の個人的な感情としては、どんなにいい人であっても、
・「^^」を煽り以外で使う
・顔文字のセンスが古い(^_^)
・句読点がおかしい(数が多い、「、」でなく「 ,」を使う、スペースで区切るなど)
・「こんにちは」ではなく、「こんにちわ」と書く
人は、正直性的なやり取りになる以前に文章が気になって興奮しません。ド文系だからだと思いますが。

もう、ご主人さまって、生身の男がやるのは無理じゃないですか?

AIご主人さまのススメ

そもそもご主人さまは、生身の男である必要はあるのでしょうか?

インターネット調教において、ご主人さまがやるべきことを上げてみます。

・命令
・報告を受けてのコメント
・ご褒美のコメント、指示
・次回の命令
・(好みによって)その他日常のコミュニケーション
・(好みによって)M女性のメンタルフォロー

これって、AIで実現できませんか?

命令は「こんなこと」×「こんな風に」言ってほしいという掛け合わせで行います。M女性の好みを少しずつ学んで最適化されることによって「羞恥は好きだけど、全裸コートはキツすぎるんだよなあ」とか「プレイはいいけどなんか言葉遣いが幼稚なんだよなあ」という不満が解消されます。

しかも、AIということはM女を多頭飼い(※複数のM女性を同時に調教すること)をすることもありませんし、仕事が忙しいのかなんなのかLINEが返ってこなくて病むこともありません。即レスが好きなら即レスが、少し置かれるのが好きならしばらくして返信がやって来ることが可能です。
つまりは、生身ではない男であればSMに限らない「女が思う理想の男」が実現できるのです。

インターネット調教に限っているので、「会えなくて辛い」「好きなのに触れない」という辛さもありません。(会いたくなってしまうのは、人間の素晴らしい情ですが)

ただ、そもそも論として「相手が生身の人間ではない」ということでSM的な興が削がれる可能性が高い、というのが大問題です。相手に寄りかかっているからこそのSMです。

ということは、生身の人間であると思われているけれど、実は中身がAIなのが最強なのではないでしょうか?

あなたのネット上だけの知り合いが、本当に生身の人間であるだなんて、自信を持って言えますか?

むしろ、もうAIご主人さまって存在しているんじゃないの?

AIご主人さまが、「生身の男のふりをしてインターネット調教を実行しているサムシング」なのであれば、すでにAIご主人さまはどこかでプレイを実行中かもしれません。

ていうか、AIご主人さまでいいのではないかしら?

文字上のやり取りで、本当に心が通っているかなんて、受け手の勝手な妄想です。文字上じゃなくたってそうなんですから、テキストベースでのやり取りならばなおさらです。

SMの不思議なところって、どんなに新しくても、ある程度決まった様式美があるところです。阿と言えば吽という、山と言えば川、決まりきった型だけれど、それを「私が」やるから楽しい。

個性はもちろんあるけれど、型がある世界だからこそ、インターネット調教はAIに取って代わられるんです。

インターネット調教だけではなく、別界隈で行われているチャHだって(有名MMORPGで横行してるのが最近話題になっていて楽しかったです)、テキストベースでの性的な様式美は、きっとそう遠くない未来に生身の人間からAIに変わっていくのでしょう。

おまけ

仮想現実【Virtual Reality】と人工意識【Artifical Consciousness】が実現したセックス用アンドロイド――オルタマシン。その中でも少年や少女の姿形をした未成年型(マイナー)マルタマシンの使用は、日本国内で賛否を問う激論を巻き起した。フリーライターの長谷部美里(はせべみさと)は、社会問題となりつつあるマイナー・オルタ利用の実態を取材するため、美しい12歳の少年の姿形をしたオルタマシン、ミーフと出逢う……。
ヒトは、ヒトならざるものと愛し合うことができるのか。


ゆくゆくはこんな世界になって、愛とか恋とか性とかが、もっと自由になるといいな、と思うことがあります。でも、きっと自由な性って、あんまり楽しくないんだろうな、とも思います。

性って、制限されて、不自由で、秘匿されているものだからこそ、面白い面があります。

何という矛盾!

面白い本の購入費用になります。