きいろちゃんの短歌まとめ 04
4枚切り食パンのようにふわふわないぬを抱きしめ赦されたい夜
息をする寝ている猫が息をする窓越しの我は日傘をさしたり
ぽつぽつと雨粒そらではじけれどオオサンショウウオはしづかにねむる
昨日まで柴犬だったサバねこがわおんと鳴いて陽炎ゆらぐ
ささやかな手土産探しているうちに自分のおやつばかり増えゆく
他人です私の彼氏は小龍包くらい上手に食べれる人です
どうせなら殺してあげるべきだった世界が二人きりのあいだに
何度でも赦し合うのが愛だから買い置きのビール飲みきったりする
ああこれは死にたい時に嗅ぐ用の猫のおならを詰めた瓶だよ
お手紙の折り方講座 飛行機に折られた言葉は攻撃的です
わたくしの頸を締めあげる君の手の筋がきれいでこのまま死にたい
こんなにも世界に本が溢れても私を描いた物語はなく
ミニチュアのきみとぼくを詰め込んだドールハウスを破壊する猫
あと少し生きてみますねあの本の下巻くらいは読んどきたいし
ありふれたババアになってる予定だったなんだよ三十路って全然これから
こうやって触れ合うことを特別から当たり前にしていこうと君
遅くまで教室残って待っていた誰かが世界を壊してくれるの
経血が身体にずっしり澱んでて白いダリアが無性に食べたい
お手軽に繋がれるから淋しくて文通くらいが程よい人類
どこまでが正常なのか知らぬまま「普通の人」を探し旅立つ
次々と暴かれていく嘘たちよ残ったものは「君が好き」だけ
このメモは5秒後に消滅する返事はテレパシーで送るように
学校のプールで飼ってるペンギンが クリームソーダをご所望だとか
「あの声は、」と鳥の名教われど君の声ばかり聞いて忘れる
メンヘラで馬鹿で可愛いあの子がいい秀才なんて何も得ない
もう彼に未練はないけどジャムの蓋を軽々開ける腕だけ欲しい
君からの暗号を解きたどり着いた加茂水族館でクラゲがふわり
これまでの全ての男を知りながら窓際で佇むくまのコタロウ
青色のカレーではしゃぐわたくしとしずかにスライムにデコるきみ
たいせつな願い事したと含羞(はにか)んだきみが指した先に人工衛星
自分じゃなく誰かのことを短冊に書いちゃう優しいあなたが好きです
スカートの頼りなさを知った日に攻撃的な香水を買う
異人さんぼくを連れ出せ赤い靴履くよ可愛くなるよ、お願い
銀河系ぜんぶネイルに纏わせてかみさまに会う かみさまになる
ピザ買った切らずに食べるかぶりつく怠惰、強欲、暴食のあくま
すみません本日分のやさしさは予約分で完売しました
生きろ。眠り起きて排泄しときどきうたなどうそぶき生きろ
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短歌用のInstagramつくりました
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