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東大生だって、苦しんだ。〜浪人の意味〜

本日は、私の浪人時代についてご紹介し、まず「浪人するとはどういうことなのか」を明らかにします。

そして「浪人しないためにはどういう行動をとるべきか」を明確化し、最後に惜しくも「浪人が決まった場合のアドバイス」について述べようと思います。


それではいきましょう。



〜浪人するとはどういうことか〜

まず、「大学に行かない」という決断をし、浪人することを選んだ場合、大抵の人は予備校に通うことになります。予備校に行くとどんな生活スタイルになるのでしょうか?

私は駿台仙台校の東大演習コース(名前は合ってないかも)に通っていましたが、平日のスケジュールは以下のようなものでした。

8:30〜8:50                 登校 (単語帳などを読む)

9:00〜9:50     1限

10:00〜10:50    2限

11:00〜11:50     3限

12:00〜12:50    4限

12:50〜13:40    昼休み

13:40〜14:30    5限

14:40〜15:30    6限

15:40〜16:30    7限

16:40〜17:30    8限

17:30〜21:00    自習室で勉強

22:00         帰宅

これは大学生の今になって考えると拷問レベルのキツさです。

平日は17:30〜21:00の自主室での勉強において、その日の復習と次の日の予習をやらなければならない訳ですが、これは時間的にほぼ不可能です。

そのため、講師の話を聞いてチンプンカンプンにならないよう、最低限予習だけはなんとか済ませ、週末に復習するルーティーンをとっていました。

これに加え、仙台校では毎週土曜日に「センター対策」と称した予想問題演習が行われ、まともに自分の時間が取れるのは土曜の午後と日曜のみ

(実際のところ、土日は模試が多いため、まともに予習できないこともありました)

このようなスケジュールを回し、月に1,2回の模試、季節講習等を受講しながら浪人生は日々を過ごしていくことになります。


このような生活の中、浪人生は常に「また落ちるかもしれない」という恐怖と戦い続けなければなりません。恐怖心からくるイライラやストレス、伸びない成績、現役生の追い上げ、そして「浪人生」という居心地の悪さ。

自分で選んだ道でありながら自分でその道を信じ切ることができないもどかしさは、今でも脳裏に焼き付いています。

これらのプレッシャーがのしかかる中、大学生になり飲み会で異性とイチャイチャする同級生を尻目に、来る受験の日まで休むことなく勉学に励まなくてはならないのです。


私の場合、現役時代から勉強に励んできたという自負もあり、4月,5月あたりは落ちたことが悔しくてしょうがなかったのを覚えています。

なんで自分より努力してない奴が第一志望受かって幸せそうにしてるんだよ。

そう思いながら、街ゆく人の笑顔で溢れる仙台の風景を見て憂鬱になっていたものでした。


浪人して成績が上がるのは3分の1と言われます。残りの3分の2のうち半分は現状維持、もう半分は下がります。

それを理解した上で浪人し、雨の日も風の日も勉強し、大学合格だけを夢見てひたすらに努力を重ねる。

この覚悟を持っている人であっても、現実はその心をいとも簡単に折ろうとします。

そして一部の人はそれに耐えかね、自堕落になったり急に授業に来なくなったりします。

浪人とは、自ら引き起こした「不合格」という結果を1年かけて償っていく苦行のようなものなのです。

更に、浪人は金もかかります。季節講習を含めれば、1年で100万円以上かかるはずです。自らの力不足の尻拭いとして多額のお金を払ってくれる親に対して、大変な申し訳なさを抱えながら日々を生きていく。

これが浪人のリアルなのです。



では、浪人しないためにどうすればいいのでしょうか?どういう行動をとればいいのでしょうか?

それは、高校1年生から志望校と自分の実力とのギャップを把握し、合格までに必要なアクションを徹底的に具体化することです。

できるだけ早めに志望校を決定し、自分の強み(=得意科目)と弱み(=苦手科目)を把握します。

志望校はやりたいことが明確であればそれを勉強できる大学がいいですが、途中でやりたいことが変わったりする場合もあるでしょう。

なので、高校生のうちは「なるべく偏差値の高い大学に行く」という選択も大いにアリだと思います。

(偏差値の高い大学に行っても人生の保証などなく、やりたいことを主体的に見つける努力をしなければ後々本当に後悔することになりますが。)

そして、強み、弱みそれぞれについて、各教科の各分野において第一志望で求められるレベルを早急に把握し、存在するギャップを埋めるためのプランを練ります。

基礎でつまづいているところがあれば、問題集なりを利用したり教員や友人に聞くなどして理解する。

逆にある程度理解できている分野はそこそこにして、よりレベルの高い勉強にシフトする。

結局、この地道な作業を繰り返すことでしか実力は向上しないのです。


とはいえ、特に地方の現役生(理系)は理科の進度が遅かったり、十分な演習時間がとれないという場合もあるでしょう。

そういう場合、学校の進度を無視して進めるのも大いにアリだと思います。


実際、私の友人の東大生は、この方法で現役合格した人が多いです。

地方の場合、教師の質にバラツキがあり、良質な授業(=東大レベルにまで対応可能な授業)が行われていない場合も往々にしてあります。

そういう授業の理解に時間を割くのは得策ではないし、自分で勉強することで得られる発見もあります。

わからなければ、教師に聞けばいいのです。教師は使い倒すものであり、それは高校生の権利と言ってもいいと思っています。

そういう風に、自分が「理解しながら進んでいる」と思える適切な参考書なり問題集を使って勉強を進めた方が効率的なこともあり得るのです。


つまり、「何に時間をかけるか」を常に意識せよということです。受験生の至上命題は「第一志望に合格すること」であり、それ以上でも以下でもありません。

特に精神的に負荷のかかる受験勉強では、常にやるべき作業を明確にし、「何を目指すのか」をハッキリさせることでメリハリがつき、しっかり集中できるのです。

「無駄に悩まない」技術とマインドを習得することも浪人回避のためには重要です。



さて、最後に「浪人が決まってしまった」人へ。

浪人したということは、行ける大学が1つもなかった人か、滑り止めに行かなかった人でしょう。

前者の場合、まずは高望みして自滅してしまった、あるいは求められる水準に達するための努力を貫徹できなかったことは恥じるべきです。

単に努力不足と言うのなら、受験という人生における重大な決断を誤り、自分のみならず家族まで巻き添えにする自らの心の弱さを心の底から反省し、心に刻み付けること。

その上で、それでもあなたをサポートしてくれる家族に心の底から頭を下げ、吐いても死んでも絶対に第一志望に合格すること。

それだけが、自分も、家族も裏切らない唯一の手段です。


滑り止めに行かなかった場合も、まずは滑り止めを受けさせてくれ、その上で浪人を応援してくれる家族に最大限の感謝を表すこと。

そして自分の敗因を感情に囚われず、冷静に分析し、そこでの学びを絶対に合格へとつなげること。

落ちてからしばらくは放心状態で勉強も手につかないとは思います。その気持ちは私も痛いほどわかり、現役時は東大に落ちてから3日間は何も食べられず、何も手につきませんでした。

しかし、浪人するという決断をした以上、その瞬間からあなたは1つ下の代との競争開始を宣言したことになるのです。

自分で参加した戦いなら、絶対に勝ってお世話になっている人を安心させること。そして、自分の未来は自分で切り開くこと。


この覚悟を最後まで持てるかどうかで、1年後に笑うか、泣くかが決まります。


浪人は確かに辛く、過酷です。

おそらく、人生で初めて「自分の人生の責任を自分で取る」イベントとなるでしょう。

しかし、「最後まで頑張った上での」浪人は100%悪ではありません。

自分が勉強に没頭できるということがいかに幸せか、そして自分を応援してくれる人がいて、それに答えるチャンスがあるということがどれだけ有り難いか。

そういうことを人一倍実感するであろう体験が、浪人なのです。


弱い自分に打ち勝ち、必ず合格してくださいね。


それは本当に、誰のためでもなく、あなたのために。

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