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また修羅場だった(ええかげんにせえ)

 今回は、まだ本が出るのか疑わしいので(いや、出ると思うが……)はっきり言い切れないが、スケジュールはまずくなかったんだ……ただ、並行作業で先行発売の本のゲラ(1作3回ぶん)と別作品の新規プロット提出があったせいもありますが、もともとのプロットがゆるかったのです。
 プロットがゆるかったのです!!!!

 言いわけとして、「プロットを3本出して、本命はこれ(指定ネタ)1本に絞って」とのことで、本命が最初から決まっていたので、ダミーとして出すほうをそれなりに整えるのに尽力して、本命なのに(いや、本命だから?)ゆるゆるになってしまったのである。
 しかも諸事情により、好きなように書いてもいい気配があったので、いつものごとく好きなように書いたら、前半の冗長も甚だしく……仕上がってから全体の三分の一を書き直したのだった。まあそんなわけでぜんぶ自分のせいです。
 あんなのを読まされた担当さんかわいそう……「******の****を読まされたようでした」って、そら、言うわ。わしも書きながらそう思ったもん。(ひどい)

 考えている内容をそのまま書ければいいけれど、本として出版する場合はどうしても「こういう話です」と大雑把にでも版元に伝えて、それでOKかNGを取りつけねばならない。今さらだけどあらかじめ話を決めておかないといけないのだ。
 しかし自分が書くときは「AとBがなんやかんやあって仲良くなる話」くらいのふわっとしたイメージしかない。部品はあれこれあるが……それを組み合わせてこういう話ですと細部まで示すとしたら、もう先に本文書いたほうがらくだわ~ってなる。プロットをつくる労力が惜しい。歳を取って体力がガタ落ちしたから。

 しかしプロットは出さねばならない。ひととして。
 プロットとはこの場合、あらすじのみでなく企画のことで、どんなテーマか舞台背景か登場人物か、そしてあらすじ! 最後はどうなるか。これくらいはどうしても必要なのだ。まあ、わしの場合はあらすじが息をしていないんだが……出だしとオチとキャラが決まってたらそのまま書けば終わる……みたいな書きかたばかりで……ここ数年……アカン……

 以前pixivに「【メイキング】ネタの原案からプロットを作る」というタイトルのメイキングがあった。これ、削除されたか非公開になったか、今は見られない。当時はとてもためになった。要するにあらすじ、お話のすじをどのようにして練るか、という手法の紹介だ。
 転載するわけにもいかないのでざっくり書く。

①1行メインテーマを決める
②書きたいシーンや必要と思われるシーン、設定を練って、ひとつずつメモをする(付箋などを利用)
③最初の1行プロットを、分割を繰り返して16行にする(と、起承転結の入れ子の起承転結までできるはず……)
④最後に、メモした内容を16行の中に組み込むとあらすじができあがる

 こんな流れであった。(何言ってるかわからなかったらすまない……もとのメイキングはもっとわかりやすかったのに……)
 今は付箋などにメモった場面を貼って位置を決めたりするみたいなのはどなたもやってはるようですが、この方法では単語帳を使っていましたわ。
 この方法、落ち着きのないわしは最初の一度しか成功しなかった。「AとBがシティーハンターみたいな話」という1行でつくった趣味の話だったが、時間がなくて、でも書きたくて、機械的に書けるようにつくったプロットで最後まで書けたので、成功体験がとても大きい。
 しかし落ち着きがないのである。だいたい③の工程でふつうにみっちりしたあらすじを書きはじめてしまうのだ。起承のあたりまでは耐えられているが、転結あたりがもうふつうにみっしりしてしまう。しかもこの方法でも「転……? 転……?」ってなるのだった。つらみ。相変わらず転は家出をして帰ってきてくれない。

 実を言うと現在提出中のプロットもこの方法でつくったけれど(ちゃんと単語帳も使った!)、思いつきからしておいしくなかったのか、明らかに(ご多忙もあろうが)担当さんが持て余している。方法じゃない、内容のせいだ。この方法はわりといいと信じている。特に1行を16分割するところが、とてもよい。ここで第三者に示すテーマが固められる。
 ここ何冊か縛りがゆるい状態でやらせてもらったので、条件が三つ以上あるとでくのぼうと化すようだ。しかももともとゆるふわ雰囲気の地味な作風で、味つけの濃いところから駆逐されるようにしてすみっこに寄ってきたのに、そのすみっこにすら濃い味つけが漂い始めている。つらみ。

 愚痴になってしまったけれど、結局のところ「おもしろいことなど何も思いつかないな……」ということだった。
 自分の書くものは最高に好きで、よき!と思っているけれど、それが第三者にとってそのようであるとは限らない みたいな感覚をいつも忘れられないのである。わしはおもしろいと思うが君はそうじゃないこともあろうて。そういうこと。
 なので「おもしろいもの」を書けるようになりたいと漠然と思いつつ、まずは好きなものを思い切り書いてみようとは思っている。仕事は別として。

 おもしろいことかどうかはわからない。それに、自分の書いた話と似たような傾向の作品がのちに出てそちらのほうが受けたりすると、あ~ わしのは届いてないな~ と強く感じる。わしの話を読んでおもしろいと感じてくれるようなひとのところまで、自著が知られないのである。
 その証拠……というほどでもないが、別名義で何年か前に出した作品に「打ち切りが残念です」と複数のレビューがついている。当時にそういうひとのところに届いていたらなあと妄想はする。

 結局のところ、本が出せても認識されて読まれないと仕事はつづかない。さらに言えば、どんな本を読むか指針のないひとが注目するのは話題になっている作品で、話題になるのは、話題にしてもらえる作品なのだ。
 自著を読んでくれるひとはいるが、読んで満足はしても「よかったよ!」と声を大にしてSNSで勧めてくれるタイプではない。おっ、書いてる本人と似た傾向ですね! まあそういうことだ。
 いい話を書いていればいつかは売れるみたいな甘いことを考えていてはいけない、宣伝をして周知されて読まれないといけない、みたいなのをよく見かけるし、その通りだと思う。
 でもべつに万人にとっていい話を書いているつもりはないし(書けているとは思えないし)、いつかは売れたいけれど、それより先に高額宝くじの一等前後賞を当てたいと思ってしまうのだった。
 宣伝はゆるゆるやっていこうと思う。その効果に期待はしていない。この世にはもっと「いい話」と制作側が自信を持って勧める作品があるのだから、多くのひとはそちらに気を取られるだろう。わしの話はわしの話が合うひとに届くことを祈るばかり。(たまにものすごい的外れなネガティブなレビューをいただくので、アラアラ……お金をかけたかはわからないけど時間を無駄にするかどうかもわからない鼻の利かなさでお気の毒に……とは思う……)(そういうこと言うから……)

 今回の修羅場は自宅でずっと立ったままライティングをしていたので、下半身の強化につながったと思いたい。
 でも修羅場あけの一泊旅行で歩き回ったら旅行のあとで二日ほど寝込みました。体力……まじで……だいじ……
 旅行は楽しかったです!!! ヘッダの写真は旅先の砂浜でねこカップを使ってつくったねこ!!!