人は教えてくれた*加筆修正しました
「お、ラッキー!」
駐車場には車が1台。いつも地元民でにぎわう眼科がめずらしくすいていた。中へ入ると、待合室に車の持ち主らしき男性がひとり。受付には誰もいなかった。しばらく待っても、誰も出てこない。受付奥にある視力や眼圧を測定する検査室にも人影がない。様子がおかしいことに気付いたとき、
「中にいるよ!」
と声がした。振り返ると、待合室のソファに座っていたおじいさんが微笑んでいた。
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「すみませーん!」
奥まで聞こえるように、発声を意識し、大きめの声で呼びかける。しかし、応答はなし。ならば!と、さらに大きな声を出そうとしたとき、奥の方から見慣れた女性スタッフがやってきて、こう言われた。
「今日休診日なんです」
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木曜日。そうか、ふつうに休みだ。恥ずかしくなって
「すみません、出直します。」
会釈をし、足早に去った。扉を出るとき、ふと気になって振り返ると、たしかにおじいさんは、待合室のソファにごく自然と座っていた。
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「プレミアム会員を解約したいんですが・・」
帰り道、とあるCD・DVDレンタルショップへ寄った。
「あの〜、お客様、ちょうど今日が月額料のお支払い日で、いま解約すると1ヶ月分無駄になってしまいますが、よろしかったでしょうか?」
…なんて日だ。とことんついてない。
「すみません、出直します」
といって「破戒」と「バーフバリ伝説誕生」を借りて後にした。
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今朝、眼科へ出直すと、ソファに座り切れないほどの人・人・人。混雑率108%。「そうそう、コレコレ」いつもの光景を前に、どういうわけかニヤッとしてしまった。受付にいたのは昨日の女性スタッフ。診察券を渡すとき「あれ?昨日...」というような目をされていた。
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