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知らなかった…いや、そもそも知ろうとしていなかった。『萩尾望都と竹宮惠子』を読んで

先日、こちらを読みました。

中川 右介さんの『萩尾望都と竹宮惠子 大泉サロンの少女マンガ革命』という本です。

タイトル通り、人気漫画家である萩尾さんと竹宮さんの作品・半生についての内容で。

・当時の漫画事情
・2人の学生時代
・各出版社ごとのカラーや事情
・『トキワ荘』と並ぶほど有名な『大泉サロン』
・その後のご活躍

などについて、他の文献も引用しながら書かれています。


二十年来の萩尾さんファンではあるものの、彼女の漫画家としての経歴・作品の背景を全然知らない自分に愕然としました。

いや、むしろ私は「敢えて知ろうとしていなかった」のかもしれません。


孤独な子ども時代を支えてくれた美しい漫画の数々。

母の兄の持ち物だった古い漫画を、親の目を盗んでは読んでいました。

そのままの形で1人静かに楽しみたくて、何度も読み返して物語に没頭したり、真似して絵を描いてみたり。

一世を風靡した有名漫画家とは言え1995年〜2000年頃にはさすがに流行っておらず、周りにファンが1人もいなかったことも影響していました。


それが2016年、なんと40年ぶりに連載再開。
宝塚でも上演されるなど、再び萩尾望都ブームが一部で沸き起こります。

複雑な思いになりながらも、2019年には松屋銀座で開かれた原画展を訪ねてみました。

展示会内は60代前後の女性でごった返しており、「世間的に萩尾さんがいかに人気のある漫画家なのか」を改めて思い知らされました。


そうこうしているうちに「周りにも大勢のファンがいること」を次第に認められるようになり…

スペシャル番組『100分de名著 萩尾望都』も視聴。

非常に興味深い話し合いがなされ、「自分が萩尾作品になぜ惹かれるのか」が少し分かった気もしました。


そうして読んだ今回の本では、

・日本の現代史における漫画の位置付け
・手塚治虫の大流行時代、流行し始めた漫画たち
・様々な雑誌の創刊と廃刊
・女性が漫画家になることの難しさ
・才能同士のぶつかり合い、出版社の思惑

などの話を見ることができました。

文化や芸術というものは、政治や世の中の流れと一緒に学ぶからこそ有意義なもの
との以前からの思いが、余計強まる結果に。

ただ、大泉サロンでの事情については本人達の言葉も読んでみようと思います。

竹宮さんの漫画も、
その時代の他の漫画も、
手塚治虫の未読の漫画も、
もっともっと色々読んでみたい。

35歳を過ぎ人生の残り時間を意識するようになって、最近は
「何に時間を使いたいのか?」
をよく考えるように
なりました。

年を重ねれば、できなくなることも増える。
少しでも後悔を減らせるよう、やりたいことをやっていきます。


今回の本はこちら。

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