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なぜお笑い芸人は住宅ローンを組もうとするのか?

最近、テレビ番組の中でお笑い芸人がマイホームを買った、と発言するシーンを前より多く見かけるのは気のせいではないはず。一例をあげると

パンサー尾形氏
スリムクラブ内間氏
ザブングル加藤氏
AMEMIYA氏

お笑い芸人自身も語っているが、お笑い芸人の住宅ローンはかなり降りにくいらしい。属性で言えばフリーター以下か、それ以下とも聞く。煌びやかな世界で活躍し、多くを稼いでいるにもかかわらず、なぜなのか。多くの人は理解しているとは思うが簡単に整理してみる。

「返済できるかどうか」という信頼性

住宅ローンがおりやすい職業の代表といえば「固定給の会社員」である。一方、不動産売買仲介といった、自分の売り上げがもろに給料に反映するいわゆる「歩合制」の人は、売り上げがたたなければ給料もその分でない。つまり、ローン返済の信頼度が低くなる。固定給であれば、仕事でよほどのへましたり、悪さをしない限り、給料がさがったり、解雇になることはない。(もちろん会社にはよるが)そういった意味では、フリーランス、自営業も歩合制と同じようなものだ。仕事の量によって、売り上げがかわり、それが自分の生活に直結する。  

以前、私が勤めていた工務店と付き合いのあった大工で、マイホームを購入した人が何人かいたが、やはりかなり大変だという話はたくさん聞いたことがある。私が勤めていた工務店と付き合いのある大工はほとんどが一人親方、つまりはフリーランスであり、個人事業主であった。うけた仕事を早く終わらせて、次の現場に行く。請けた仕事を終わらせることで売り上げをあげられる。だらだらと9時から18時まで仕事をしていれば、決まった給料がはいる、といった世界ではないのだ。直で仕事をうけるという性質上、それら一人親方の収入は、一般的なサラリーマンよりも高い人がほとんどであった。なかには年収1000万を超えるスーパー大工も何人かいた。
しかし、それは元請けである工務店の仕事ありきの話であり、工務店の仕事がなくなれば、大工の仕事もなくなる可能性もある。さらに、体が資本の仕事なので、怪我や病気にかかり、仕事ができなくなれば、一気に収入減となる。なんともリスクはあるが、一般的な職業よりは稼げる、それが大工という仕事かと思われる。

お笑い芸人は現金一括で買うべき

話をお笑い芸人に戻す。お笑い芸人は基本的に個人事業主らしい。たくさんテレビにでて、あらゆるメディアで活躍すれば、その分売り上げになり、収入となる。活躍できなければ、もちろん収入もない。そして、活躍できる芸人というのは一握りだ。吉本所属の芸人は6000人以上いるらしい。その中で我々が知っているのは何人程だろうか。

仮に、運良く、とある芸人が、とあるきっかけによりブレイクをしたとしても、それがずっと長続きするとは限らない。翌年には飽きられ、仕事がなくなっている可能性が非常に高い。芸能界は新陳代謝が激しい世界だ。また、単に、芸人であれば面白ければ、俳優であれば格好良くて、演技がうまければ、成功し続けるとは限らない。不祥事を起こせば、いっきに仕事がなくなるどころか、スポンサーから損害賠償請求までされる始末だ。基本的には生涯賃金の前借り、と思ったほうが良い。どうしても自分の家がほしければ、「現金一括」で買えるのが原則で、なおかつ、その後も暮らしていける貯蓄があるべきである。なぜなら、明日仕事なくなる可能性があるからだ。

次は「なぜ芸人が住宅ローンを組めたのか?」という点だ。ここからは私の完全なる推測である。

①奥様が正社員。

旦那の仕事がなくなっても、奥様1馬力でやっていけるほどの収入をもつ正社員かもしれない。

②歩合制ではなく、給料制。

前述の通り、ほとんどの芸能人は歩合制のようだが、給料制も存在するようだ。売れていないときは歩合制だったが、売れたら給料制に切り替えられた、と嘆く芸能人がいた記憶はある。一度爆発的に売れれば、その後数十年間売れなくとも同じ給料を払い続ける、というプロダクションからの提案もあるのかもしれない。そうなれば、普通の一般企業の正社員と変わらない気がする。

③十分な貯蓄があり、即日返済できる資金力がある。

十分な貯蓄があり、キャッシュで自宅を購入できたとしても、一気に貯蓄がなくなると不安である。芸人の中には、金利を払ってでも、一気に貯蓄がなくなるのを恐れ、ローンを組む人もいると思う。雨上がり決死隊の蛍原氏は住宅ローンを組んで自宅を購入したらしいが、ローンを抱えている状態が嫌だったようで、翌年全額返済したらしい。銀行からしたら、貯蓄が十分にあれば、仮に毎月の支払いが滞ったとしても、心配することはないだろう。

まとめ

私は一般的なサラリーマンなので、芸能界の給料事情なんて知る由もないので的外れかもしれないが、もしこの私の推測通りの給料事情なのだとしたら、家を買うこと、なんて恐ろしくてできないと思う。現に、スリムクラブ内間氏はとある不祥事により仕事が激減し、ローン返済がきついらしい。

今の時代、「所有」することにこだわる人は昔より少なくなってきた。車もレンタカーやカーシェアリングもあるし、家も賃貸で十分。CD、DVDも買わず、サブスクリプションで済む。自分の立ち位置をしっかり把握したうえで、先入観に囚われたこだわりを排除することが大事かと思う。

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