東京には行かない

過去を回想する。
無駄なことだとは分かっている。
でも回想してしまう。

過去への執着。
それは分かっている。
でも、どうしても回想してしまう。

楽しい回想ではない。
とは言っても暗い過去、というほどは重たくはない。

「あのとき何であんなことをしてしまったんだろう。」
「あのとき何であんなことを言ってしまったんだろう。」
「あのとき何で同じ過ちを繰り返してしまったんだろう。」

そんなことを、回想している。

そして思う。
「あのとき俺はすっげーアホやったなーって。」

結論は出た。
つまり、あのとき(という時点で)アホだったから、アホな言動をアウトプットしてしまったのだ。

結論は出た。
それなのに、まだ心は納得いかない。
そして気づいた。

「そもそも俺ってアホなんじゃね?」

自分の中で納得がいった。腑に落ちた。
そう、あのとき(という時点で)アホだったから、アホな言動をしたのではなく、もともとアホだったからアホな言動をしたのだ。

アホだったらそれを素直に認めればまだ可愛い。
でも僕はなんとなくそれがかっこ悪くて、恥ずかしくて、頭の良いフリを今までしてきた。
演技をしてきたのである。
物心がついてからずっとである。

下に見られたくない。
負けたくない。
認めてもらいたい。
そんな思いが根底にあった。

それでも勉強ではトップになれなかった。
というかなるための本気の努力をしていなかった。
何故なら努力が報われないことが怖かったから。
本気で目指してもそれが報われなかったら、どうしよう?
そんな感じで中途半端。
なんとも都合のいい話である。

そんな私の成績ももちろん中途半端。
(辛うじて中の上くらいだった。)

そんな私は本に逃げ込んだ。
少し難しそうなタイトルの本を机の上に置いていた。
同級生が「何読んでるの〜?」と聞いてきたら正直「しめた!」って思ってた。
僕は皆さんとは勉強のベクトルが違うんですよ、僕は本当の学問を志すんだ、って。
そんな風に本気で思ってた笑。

あ〜アホだ。マジで。
思い返すと赤面ものだ。
恥ずかしぃ〜〜〜〜!

国公立の大学受験には失敗。
滑り止めで受かった大阪の私立の大学に進学した。
(恩師、友人など出会いに恵まれたので結果として本当に良かったと心から思っている)

大学でもいろいろと失敗。
大学が費用を負担してくれる交換留学の候補生に合格したのはいいが。
留学までの門であるオールイングリッシュの授業に全然ついていけなかった。
ある日、学校から呼び出され、「菅原、アウト〜!」
目の前が真っ暗になった。

その他も数え切れないくらい失敗多数。
(周りの友人が証人になってくれると思う笑)

失敗すればするほど、下にみられたくないという思いは強くなっていった。
そして仮面をかぶった。
仮面をいくつもかぶったのでどれが本当の顔か自分でも分からなくなった。

自分がアホだって気づいたとき。
アホだって強く自覚したとき。
仮面が外れる思いがした。

仮面の下の素顔の額には思いっきりマジックで「アホ」と書かれていた笑。
でもマスクの重さ、息苦しさから開放された気がして、心は楽になった。

それが最近の出来事。

もともとアホだからいいじゃん。
アホだからせめて今までの幾多の自分の経験則から、回避できる失敗は回避しよう。
アホだからせめて明るく。
アホだからせめて注意深く。

でもまた頭のいいフリをしてしまうときがあるんだろうな。
何故なら、私はアホだから。

そしてアホでいいのかも。
たぶん。
関西弁で「アホ」は褒め言葉。

東京なら逆の意味になる。

・・・。
東京にはいかないようにしとこ・・・。

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