【詩】点滅

ケイコー灯を買って来よう
と思うのです
このところ家の中が暗いので
ケイコー灯を付け替えてみよう
と思うのです
一週間前からケイコー管の一本が部屋の中
パッ、
パーー、パッパン
点いたり消えたり
ずうっと以前からわたしたちの結婚や生活の周囲も
パッ、
パーー、パッパン
パッ、
点いたり消えたり点いたり消えたり
ついでに頭の中も
パッ、
パーー、パッパン
パッ、
パーー、パッパン
この状況は目にも良くない頭にも悪い
これではいけない家庭の中を明るくしなければ
明るいNationalパルックCool昼光タイプに取り替えてみよう
と考えたのです
だって生きている限りはわたしだって
さやかなりとも家の中を灯したい
(と希いたいのだ)
かすかなりとも光を求めたい
(と望みたいのだ)
そう……、信じ続けたいのだ
 
(だがここにひとつ大いなる問題があるのであって、現在のわたしがケイコー管を調達する資力に欠けている男だということ)
 
いつまで続く
パッ、
パーーー、パッパン
パッ、
 
パッ、
パーーー、パッパン
パッ、
 
 
 




 
*松下電器産業がまだPanasonicに社名を変更する以前、Nationalと称していた頃に書かれた作であります。

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