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オオカミがとぶひ?

今日は、雨傘が飛んでいきそうな強い風。じいじ丸と柊ちゃんは、傘を諦めて、濡れてしまいました。寒くないし、考え方次第では気持ちがいい。柊ちゃんは、ひっくりかえった雨傘がくらげみたいと笑っていた。

そんな感じで歩いていたら、2年ほど前の雨の思い出が出てきた。突然に。でも、その記憶は、「僕が覚えていたい」と思っていた記憶だったんだろう。過去にも何度か強い雨の日に思い出していた。

2年前だから、柊ちゃんは2歳くらい。やっとお話ができるくらいかな。大きな雨粒が横殴りでタクシーの窓にぶつかっていて、うるさいくらい。そのとき、僕たちは、タクシーで柊ちゃんの家に向かっていた。そして、柊ちゃんが窓の外を見ながら、ひとりごとを言っている。「びゅうびゅう、びゅうびゅう、風が吹いている」。なんだろうと僕は思った。「だってオオカミがかけまわっているから」と続いた。

「もしかしてオオカミがとぶひ?」と聞くと、コクンとうなづいた。豪雨の中の朗読的なしゃべり。そのときの2歳の柊ちゃんは大人びて見えた。また、聞きたいなと思ったけど、柊ちゃんのなかから自然と出てきた、つぶやきは2度と聞くことはできない。

それから、僕は、ミロコマチコ さんの「オオカミがとぶひ?」が、それまでも好きだったが、特別に好きな絵本になった。だから、友だちの子どもが2歳くらいになると、この絵本を贈るようにしている。僕が出会った最高のシーンが、僕の友だちにも訪れるといいなと思って。



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