ついに男性不妊症との対峙(クリニック選び、不妊原因特定)

新型コロナの蔓延から逃げるように(結局逃げられてないが・・・笑)どたばたとスペインから日本へ脱出した我々夫婦は、スペインで尻切れとんぼになってしまった私の男性不妊症の不妊治療を日本で再開することにした。今回は、そんな我々の日本での不妊治療の前半ともいえる、私の男性不妊の解析・手術をつづっていきたい。

クリニック選び

結論、我々は汐留にある「リプロダクションクリニック東京」に通うことにした(URL→http://www.reptokyo.jp/)。

何度でも繰り返したいのだけど、不妊治療は本当にお金がかかる。最初から最後までの費用については別記事で詳細も含めてまとめたいが、1回目の胚移植でラッキーにも受精できた我々ですら、上記のクリニックで120万円かかった(もちろん、東京都の不妊治療助成制度で多少のサポートは出るが)。基本、ブランドものとか車とかに全く興味のない私にとっては(妻と負担を分け分けしたとはいえ)人生最大の買い物だった。

備考:2022年度から不妊治療はそのステージ・治療内容によって保険対象となりますね。菅政権にて詳細を詰めているようです。

そんなお金のかかる不妊治療なのだから、最先端の技術や設備があって、親身になってくれて信頼のできる先生がいて・・・という病院を探したいところだ。

こういう時、一番ありがたいのは、身辺で信頼できそうな人が通ったことがある病院が聞ければ良いのだが、不妊治療はまだまだこの社会(とりわけ日本)では必要以上にプライベートなものになっていて、相談できる相手もなかなかいないのが現実なのである。

ところがどっこい、この令和の時代にはとても意識の高い芸能人の方々がその不妊治療の経験をシェアしてくれていた。我々はその中で、本当に数少ない男性不妊症を乗り越えた方々の記事を読み漁り、芸人のキンタロー。さんの体験談(旦那さんが無精子症)から上記の「リプロダクションクリニック東京」にたどりついたのである。本当に情報がないので、「とりあえず行ってみっか」というノリで決めたのだ。そういえば、私はスペインのビジネススクールの文化祭(各国が持ち芸を披露して騒ぐイベント)で、日本人の友人とともにAKB48のフライングゲットを踊ったのだが、キンタロー。さんの持ち芸もそれだったな。今考えれば不思議な縁を勝手に感じている笑

余談だが、芸能人の中で男性不妊の体験談をシェアしている方は、他にダイヤモンド☆ユカイさん(無精子症)がいる。北九州の「セントマザー産婦人科」というクリニックで治療をしたようだ。

詳細は他記事でまた改めるが、私としてはリプロダクションクリニック東京で不妊治療に取り組んで良かったと思う。医師の方の知見、患者への接し方(きちんと説明してくれるかどうか、質問に答えてくれるか)、汐留という立地など、何も問題はない。

後述する私の男性不妊症の手術はクリニックCEOの石川 智基先生にして頂いたのだが、めちゃくちゃ早口の関西弁のトーンでやや最初は戸惑った(笑)ものの、原因の診断も一瞬、手術・手術後のケアも全く滞りなく行って頂いた。男性不妊症に特化した書籍も出版されている、間違いなく男性不妊症の第一人者である(のちに男性不妊症に関する他の本を読んでも、この石川先生がたびたび言及されていたりする)。

書籍「男性不妊症」 石川 智基

スペイン~日本での精子パフォーマンス(?)レビュー!

クリニックを決め、妻と私双方に初期的な検査が実施される(スペインでやっていたけど、もう一度最初からという話になった)。

妻側は血液検査から始まり、子宮内のエコー検査や卵管検査と体の中を見ていく検査がなされる。

男である私は血液検査と精子検査のみ。既に原因が私にあるのが明らかなので、こんな簡単な検査のみで妻に対してはなんだかバツが悪い。。。

さて、私はスペインにいた2020年2月くらいから、たびたび精子検査をしてきては自分の精子のダメっぷりにガッカリする、という成人男子であればウンザリするようなサイクルを繰り返してきた。振り返りのためにちょっと結果をまとめてみよう。

画像1

もっと頻繁に検査してた気がするが、精子検査結果で残ってるのが上記分しかなく、ご容赦頂きたい。

私の場合、問題は2つで、「精子濃度が極端に低い」「運動率が低い」だった。

男性不妊で、精子が全くいない状態が最も重症で、その状態が「静止無力症」とよばれる。

次いで、代表的な症例として精子の数が少ないのが「乏精子症」、精子はあるにはあるが動いている精子が少ないのが「精子無力症」とよばれるが、私の場合はこの2つが両方とも該当したようだ。

例えば2020年2月26日の結果では、精子濃度が0.06百万個/mlで、直進運動率と非直進運動率(くるくる回ったり、後ろにいっちゃうような動きを指すらしい。わが子?ながら情けないが少し可愛らしい。)をあわせた運動率が16.67%。

WHO(世界保健機関)が発表している、自然妊娠できたカップルの男性側の基準値は、精子濃度が15百万個/mlで、運動率が40%。一般的には、これらの基準値を下回ると乏精子症や精子無力症と診断されるようだ。

さて、2020年3月2日~4月16日の間のデータが欠落していて申し訳ないが、確か日本で最初に精子検査を行ったのが3月25日頃。結果はスペインで行った3月2日の結果とほぼ同じで、「精子はなくもないが、かなり少ない」という結果だったはず。

ついに男性不妊の原因判明、手術へ

ここからは男性器とか自慰行為の描写が入るので、苦手な方はブラウザバックを推奨したい。

精子検査、と一言で言っているが、この検査をあまりご存じない方のためにプロセスを簡単にご案内すると、まず患者は「メンズルーム」と呼ばれるおよそ半畳くらいの狭い個室に入る。漫画喫茶のリクライニングルームを想像してもらえれば良い。そこには中途半端にレトロな20年くらい前のアダルトビデオやエロ雑誌がおいてあり、マスターベーション(わかりやすくオナニーといってもいい)ができる環境が一応整っている(どうでもよいが、私は備え付けのそれらは使わず「自前で持ち込み」させて頂いた)。

精液を入れるカプセルというか試験管のようなものを専用窓口で受け取り、あとは颯爽とメンズルームに入り「採取」する。その後専用窓口に精液が入ったカプセルというか試験管を返却し、待合室で待つこと30分~1時間、分析が終わり、結果数値が記載された紙を渡されて、担当医師から所見の説明を受ける、という流れである。

確か私は、上述のクリニックCEOの石川先生から説明を受けた。

(石)「やっぱりだいぶ少ないですねー、運動率も悪いし。これでは自然妊娠は絶対無理。人工授精もまず無理ですね。体外受精ならいけるかもしれませんが少なすぎますね」

(私)「そうですか・・・(オワッタ。。。)」

(石)「うーん、ちょっと見させてください」

(私)「えっ」

確か銭湯とかにある低めの椅子のようなものが診察室にあり、そこに下半身丸出しで仁王立ちにさせられる私。いきなりむき出しになったあそこに空調の風がつめたい。

正面から、右から左から我が息子をじっと見つめる先生。初めてすぎる経験のため、どうしていいかわからず診察室の白い壁に視線を置いておく。おもむろに、左の陰嚢の表面(というよりお尻に近い方の裏側の表面)を触り、あーなるほど的なことをつぶやく。

(石)「原因がわかりました。精索静脈瘤です。男性不妊の原因の7割とか言われるんですよね。要はお腹から左の陰嚢に行く静脈にこぶができちゃって、陰嚢の血流が悪くなって温度が上がってしまうんですよ。精子は高温に弱いもんで、精子の数や質が悪くなっちゃうんですね」

(私)「えっ。あっ、この木の根っこみたいなやつですか(そういや高校生くらいからあったな・・・)」

(石)「そうですそうです。ウネウネっとね。ええ、みんなこんな感じですよ(何がこんな感じなのかはいまだにわからない笑)。大丈夫です。日帰り手術で治せます」

こんなわけで、あっさり男性不妊の原因が解明されてしまった。1週間後の手術の予約を取り、戸惑いつつもなんとなくほっとした気持ちで帰路につく。

精索静脈瘤の手術は、おへそのちょっと下を3cmほど切り、こぶの原因になっている静脈を切って他の静脈とつなぎ合わせる、というものだ。勿論麻酔を使うので術中は痛みはなく、30分~1時間ほどで終わるらしい。もちろん恐怖もあるが、これまでは顕微授精すらもできなさそうなポンコツ精子だった状態から一歩前進できるわけである。

次回は手術当日のことらへんを書こうと思う。一歩前進できるわけである、と書くと落ち着いて手術に臨んだ風であるが、なにせ私は健康診断の採血ですらも気絶したことがあるほどのヘタレである。手術直前はそれなりにテンパり、手足から血の気がひいたが妻が優しく介護してくれた。34歳にもなって本当に情けないがおかげさまで乗り切ることができた。そのあたりはまた次回!



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