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大AI時代に表計算ソフトのススメ

こんにちは!

最近はChat-GPTやら、生成系AIやら、「エーアイ」という単語を聞かない日はないほど、盛り上がってます。

こんなニュースが物議を醸して、画像の世界ではもはや実物とAIの区別がつかないレベルまできました。


少し前には、MicrosoftのCopilotが凄まじいなんて話も盛り上がりました。


娯楽から仕事まで、すぐにでも「AIがない世界なんて考えられない」という状態がきそうです。


そんな大AI時代にも関わらず、僕はあえて「表計算ソフト使い倒してみぃ!」と、オススメします。

そもそも最新テックやプログラミングに明るくない男の戯言のような気もしますが、逆に言えば最先端に付いていけなくても、古き良き表計算から学べる事も沢山あるよーて話をしていきます。


先に結論

「表計算ソフトは、あなたの市場価値を高める」


それでは、本文いってみましょう!

今回は、めっちゃ長いです!笑
暇な人だけお読み下さい。


Excelと出会って世界が変わった話

このタイミングで時代錯誤な「表計算ソフト推し」をしている位なので、当の本人はExcelと出会い、文字通り人生が変わりました。

僕が本格的にExcelを使うようになったのは、大学時代のバイト先「東進ハイスクール」でした。

その時の先輩スタッフが東工大の院生で、Excelで麻雀ゲームを作るという猛者。

当時はExcelを「sumとかなんか式入れると計算してくれる」位にしか認識していなかったので、「Excelでゲームってどういう事?」と衝撃を受けたものです。

当時の同僚にはたまたま物好きが多く、教室の席次表や校舎オリジナルの英単語テスト等を、勝手にExcelで作りながら遊んでいました。

(DVD授業で時間毎の席予約制のため、DVD貸し出しと席予約データから、校舎の実態に合わせて席次表が出るのは画期的だったのです!)

そんな感じで、バイト先で遊びの延長でExcelの沼にハマり、大学時代を過ごしました。


その後、社会人になって驚きました。みんな驚くほどExcelが使いこなせないのに、社内データのほとんどはExcelだったのです。

1〜2年目からめちゃくちゃ重宝されました。課のデータの取りまとめをしたり、入力フォームと店頭のポップ印刷用のデータを組み合わせ、気付いたら全国フォーマットになっていたり…

コミュニケーションスキルが高いわけでもなく、社交性もないし、営業も強くない。何においても平均やや下の自分が作る物が、こんなにも評価されるのか!とシンプルに嬉しく楽しかったです。


そんなこんなで本社に行った後、転機は上司からの丸投げ宿題でした。

当時、販売対策として全国云千人の美容部員が1〜2ヶ月、高い目標を掲げるコンクールを定期実施していました。

若干マンネリ化してきたその施策に対し、上司のオーダーは「得意のExcelで良い感じのフィードバック作れ!毎日社長含め幹部にメール送って社内のマインドシェア上げっぞ!!」という感じ。

0→1が苦手な自分ですが、無から芸術的なExcelを作る事だけはヨダレもので、毎日嬉々として遅くまで残ってExcelと睨めっこしてました。

手段の目的化、時間をかけたら本末転倒と分かりつつ、その時の仕事は「業務を効率化するため」のものではなく

「なんだこれ!というExcelで全社員を魅了し、施策に巻き込む事」

を目的に、超細部にまでこだわりました。

結果、機能として好評だったのが

  • 美容部員だけでなく、支社や支店のランキングも出した

  • 自支社や自部門を選択して管轄の美容部員だけ抽出、進捗確認できるようにした

  • 美容部員の社員番号を入れると、各項目の進捗と支社や全国での順位が分かるシートを作り、可愛いイラスト付きでペラ1印刷できるようにした

この3点です。個人的には結構大きなイノベーションで。

従来は、データが入力されている無機質なシステムを見に行くか、たまに会議で出てくる「それをサマったイケてないパワポ」で見る。位しか確認方法がありませんでした。

そこで僕が仕掛けたのは

  • 【キーマンの当事者意識】→上司のオーダーである「経営陣含めた幹部の巻き込み」のために、美容部員でなく”彼ら”の実績としてランキングを可視化した

  • 【全レイヤーの巻き込み】→自分が欲しいデータを確認するには大元のシステムを見に行くしかなかったのを、1つのExcel上で好きな切り口で分析や進捗チェックできるようにした

  • 【会話の誘発】現場を動かすため、そのまま美容部員に渡して会話のネタになるペラ1を、見た目の可愛さから印刷設定までこだわった

こんな感じで、ただExcelの表を作ったと言うよりは、Excelを通じて全社の意識・行動改革を図った。

と今振り返るとカッコよく言えますが、当時は「若造がExcelだけで全社員をハッとさせてやるぞー」という中2みたいなモチベーションでした笑

この話は、本文の最後に挙げる2つの「Excelから学べる事」を、まさに実体験として学んだ事例です。

忙しい方は、ここから最後まで読み飛ばして下さい。


そして時代は飛び、現職のスタートアップ。
ここでもExcelで鍛えた思考力とExcelそのもののスキルは役立ちました。

入社時はホワイトボード管理だった所から、SFAなんて言葉聞いた事ない状態からHubspotの導入・設計、分析→活用を想定したデータ項目の決定、入力ルール、そしてそれらを簡単に可視化するスプレッドシートの作成etc

金も人手も足りない10名規模のスタートアップにおいては、設計・分析・可視化を完結できるメンバーが1人いると、意思決定と戦略を大きく外さない。

つまり、最も多い会社の早期撤退を防ぎうるスキルだと実感できました。



こうして振り返ると、僕のキャリアと市場価値は、Excelによって築かれたと言っても過言ではありません。


なぜ表計算ソフトか?

というわけで、記憶を辿っていたら思い出に浸ってしまい、日記みたいな内容になってしまいました笑

大袈裟に言えば、Excel1つでキャリアを形成してきたという話ですが。一芸を身に付けるなら「なぜ表計算ソフトか?」には明確な解があります。


それは浸透と習熟の非対称性です。
Excelは、多くの世の中で圧倒的に使われているにも関わらず、超初歩レイヤーの割合がめちゃくちゃ多いのです。

この浸透度と習熟度のGAPが、市場価値を高めてくれます。

これが「コード書けます」や「webマーケできます」となると、今でこそ人口は増えましたが、とはいえ専門職として見られます。

他の能力を加えた場合、「◯◯もできるエンジニア」となり、市場価値は爆上がりしますが、あくまでエンジニアが主語なので、専門スキルで戦えるレベルが必要です。

今のAI活用はまだ、個人の生産性を爆上げするのに留まるフェーズではないでしょうか。

「やべー今から会社全体に適用しよう!」「Chat-GPTのコンサルで食っていけるじゃん!」という人や会社は、まだまだ一握りのアーリーアダプターの認識です。(全然違くてラガードしてたらすみません泣)


ここで表計算ソフトに話を戻すと、もはやインフラに近い状態ですが、コーディングと違い、ほとんどのビジネスパーソンに活用を求められます。

最低限使いこなせなければ、どこ行っても仕事にならない。

そして、コミュニケーションスキルや、営業力、資料作成力に比べ、スキルレベルの分布が偏っている。(気がする)


ちょっとExcelが人より使えるようになるだけで、市場価値の上がり幅が大きいし、汎用性が高い。

つまり、他の能力と掛け合わせた時に、「◯◯もできるExcelのプロ」とはならず、「Excelがめっちゃ使える◯◯」と、あくまで付帯スキルになるわけです。

そのため、逆にマクロをゴリゴリ組めるとか、一生Excelだけやって飯を食う。みたいなのは厳しいと思います。

そこまでいったらツールやプログラミングに代替されます。エンジニアのような専門職にはなり得ません。ニーズがそこまでないです。


表計算ソフト熟練が生きるのは、もっとライトで身近な所です。

仕事していると、こんなシーンめちゃくちゃありませんか?

  • ツール入れるほどじゃないけど、Excelでどうやんだこれー

  • めちゃくちゃ変化域が広いけど、多少はフォーマット化したい

  • 単発だけどゴリっと分析したい


メインロールを持っている人が、付帯スキルでこれらをサッと解決できる事が、高い価値になるのだと思います。

これが、僕が時代錯誤でも表計算ソフト熟練をオススメする理由です。

最後に、表計算ソフトをやり込むと生まれる、副次的なメリットについて語って締めます。


構造化力と具体化力

表計算ソフトの良い所は、ただの計算・分析だけでなく、文字通り「表」要素がある所です。

つまり「見栄え」ですね。

この概念を持つツールだからこそ、構造化力が鍛えられます。

Excelを使い込んでくると、大体は「データを貼り付ける所」「それらを元に可変で加工を加える所」「アウトプットする所」の3構造に落ち着きます。

料理で言えば、「材料」「調理法」「盛り付け」です。更に言えば、「どのようなルールの下で調理に幅を持たせるか?」が腕の見せ所です。

クックパッドで、このまんま作れば美味しいですよー!というレシピより、アレンジの余白があった方が作り甲斐があるし、比較が出来ます。

表計算ソフトに話を戻しますが、この「比較」こそ分析の真髄です。

ただデータを見やすく加工するだけでは、分析とは呼べません。


複数パターンの比較を前提とし、その比較を1つのフォーマット上で可能にする事こそ、表計算ソフトの真骨頂だと思っています。

どんなアウトプットがほしく、かつ見やすくて、結論を出すためにはどんな加工・比較が必要か?これらをデザインしていく作業は、猛烈に構造化力を鍛えてくれます。

物事を論理的な考えたり、雑多な情報を整理し優先順位を決めるなど、いろいろなシーンに役立つ力です。


そして最後に具体化力。
Excelをイジっていると、前述のように「見栄えの良いアウトプット」の沼にハマるのは、誰もが通る道でしょう。

しかし、これが重要です。
最終的に、こういうフォント・色・表にする事で、xxを理解しやすくなる。

プレゼン資料に使うために、こういうアウトプットにする。あのページでこの分析結果を見せ、aaというメッセージを伝える事で、きっと役員の承認がおりるだろう。

このように、表計算ソフトのアウトプットには、具体的な目的やシーンがある事が多いです。

そのため、最後の具体を想像し、逆算しながら0ベースでExcelを創る訓練を続けると、「具体化し切らない状態」が気持ち悪く感じるようになります。

この思考が生きるのが、会議と指示です。
世の中には、方向性だけ決めて、次の瞬間から動き出せない会議・指示がむちゃんこ多いです。

実はこれを放置する事こそが、日本人がいつまで経っても生産性が低い理由だと、割と本気で思っています。


具体化せねば、人は動きません。

具体化力はどんなビジネスシーンでも武器になります。それが嫌でも身につく表計算ソフト、ぜひdigってみてはいかがでしょうか?



図表一切なしで、とんでもない長文を書いてしまいました。こんなマニアックな長文、誰に需要があるんだ笑

もし「Excel触るの面白いですー」て学生や若手がいたら、これを読んでもらおうと思います。きっとその興味がその人の市場価値をグンと上げてくれるので。


と言いつつ、10年後にこのExcelスキルは「AI活用スキル」に取って代わられているかもしれません。

できれば今の市場価値を上げてくれる事と、10年後に効く訓練と、どちらもしたいですね。

これを最後まで読んでくれたあなたは、ぜひ一緒に表計算ソフトの旅と、AI活用の旅に出掛けましょ〜

ではまた。

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