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sugaのショートストーリーたち

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気まぐれに書いた短い小説です
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#ショートストーリー

Good-by|ショートストーリー

彼女は"少し"変わった女の子だった。 話したことはなかったけれど、いつも大きな眼鏡とヘッ…

suga
2年前
8

ささやきの森|ショートストーリー

深い深いどこまでも続いているような森を、 ぼくは歩いていた。 深呼吸をすると木や土や雨の…

suga
2年前
5

パパの靴|ショートストーリー

日曜日の朝早く、私はそっとベッドを抜け出し玄関でパパの革靴を履く。ひそやかに行われるその…

suga
2年前
6

サンドイッチ屋の黙想|ショートストーリー

パンにバターとマスタードを塗る。 レタスを挟む、トマトにハム、チーズにマヨネーズ。 そして…

suga
2年前
12

『ショートストーリー』で一息どうぞ。

涼しい家の中からまだまだ暑い窓の外を眺める日々が続いている。 こんな日の夜はなにか冷えた…

suga
3年前
14

風変わりな隣人|ショートストーリー

最近、隣に引っ越してきた奴の顔付きはなんだか少しだけ風変わりだ。 そもそもこのアパートに…

suga
3年前
14

ふたつの絆創膏|ショートストーリー

雨は昨夜から降り続いていた。 濡れていたタイルに足を取られた私は、おおよそ何十年ぶりに、それはそれは盛大に転んで両膝小僧を擦りむいた。 あたりに人はおらず、持っていたビニール傘も前方1メートルくらい先まで飛んでいってしまった。 あっ!と思った時にはもう、足と腰に鈍い痛みが走り、思わず「痛っ…」と声が出てしまった。 あぁ、泣きたい、今すぐ泣き出してしまいたい。 膝小僧が、心臓の鼓動と連動するようにじわじわと痛む。俯いて雨に打たれながら、消えてしまいたいような、どうしようもな

once upon a time|ショートストーリー

何処からか、あたたかな風の音がする。 目を開けるとそこは一面の黄金色の草原だった。 寄り…

suga
3年前
10

異国の風|ショートストーリー

麻のシャツは風通しが良く、この国で過ごすにはとても重宝していた。 執筆活動の最中、気分で…

suga
3年前
19

のこされた言伝|ショートストーリー

その森には驚くほど大きな足跡が残されている。 大体、わたしの体くらいだろうか、寝そべると…

suga
3年前
10

深夜の手紙|ショートストーリー

気がつくと最寄駅で飛び起きた、急いで鞄を持って電車を降りようとした瞬間。 目の前で扉が閉…

suga
4年前
2

魔術師の庭|ショートストーリー

ガラスに覆われたその植物園は、街外れにある。 中に入ると、草木と土のかおりが全身を包み込…

suga
3年前
9

永日の朝|ショートストーリー

それはとても静かな冬の朝でした。 辺りはほんのりと青く白い雪で覆われ、木々も鳥もとても静…

suga
4年前
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ティコの星|ショートストーリー

夢を見ていた。幼い頃の夢だ。 僕はあの人とブランコを漕いでいる。 ギイと音を立てて鳴るブランコは、すこしばかり錆びついている。 生まれつき顔に大きな痣があった僕は、転校した先でなかなか友達が出来ずにいた。 髪が長い年上のあの人は、公園でいつもサイダーを飲んでおり。僕は両親の帰りが遅い日、いつも家の前の丘にある公園で彼女と話していた。 「やぁ」 「こんばんは。」 「また君か、友達はどうした。」 「僕は怖がられるから。」 「そうかなぁ。」 「そうなんです。」 彼女は不思議な人