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証券外務員 試験対策:投資信託及び投資法人に関する業務

こんにちは弁護士のスガオです。

証券外務員の試験対策用に投資信託及び投資法人に関する業務について解説する動画を作成しました。


証券外務員の試験対策としては問題演習を繰り返すことが重要となりますが、 1回目の問題演習は分からない言葉が多く、ハードルが高いです。
まずは、この動画をみて、この分野の問題演習にチャレンジしてみください。

この動画の音声はVOICEVOXで作成しました。
以下の内容は動画の内容を文字お越ししたものとなります。



この分野のポイント

投資信託の分野について説明します。
この分野のポイントは、
委託者指図型投資証券の仕組み、すなわち、各関係者の主な業務、義務を押さえることです。

投資信託とは

それでは、まず、投資信託とは何かということから説明します。
投資信託とは、たくさんの投資家からお金を集めて、それを一つにまとめ、
そのまとめたお金から様々な投資対象に投資し、
そのリターンを出資した投資家で分けるという金融商品です。

ポイントとしては、投資先は運用の専門家が決めるということです。
投資家が投資対象を決めることはできません。
投資家としては、出資をするだけで、あとは基本的にお任せということになります。
運用の専門家を信じて、自分の資金を託することから投資信託といいます。

このようにたくさんの人からお金をあつめ、そのお金を投資するなどして得たリターンを分配する仕組みや、
そのお金の集まり自体のことをファンドといったりします。
投資信託はファンドの1種ということになります。

投資信託の種類

つぎに投資信託の種類について説明します。
投資信託には様々な種類がありますので、代表的なものを2つ説明します。
ここでは、どのような観点での分類なのかということを押さえることが重要です。

ファンド自体に法人格があるかどうかの分類

まず、ファンド自体、すなわち、お金の集まり自体に法人格があるかどうかの分類について説明します。
ファンド自体に法人格があるものを会社型投資信託といいます。
法人格をもっているのは「投資法人」という株式会社のような存在です。
他方、ファンド自体に法人格がないものを契約型投資信託といいます。
契約型投資信託については委託者指図型投資信託と委託者非指図型投資信託の二つに分類されますが、
委託者非指図型投資信託についてはあまり利用されていません。
試験との関係では、委託者指図型投資信託を押さえることが重要です。

主たる投資対象の違いによる分類

次に、主たる投資対象の違いによる分類について説明します。
投資信託とは、1つのまとめたお金から、さまざまな投資対象に投資する金融商品となりますので、
どのような投資対象に投資するのかということは重要な分類になります。
「主たる」とは、集めたお金の2分の1を超えて投資するものであるとざっくりと理解してください。

「主たる投資対象」については、

  • 有価証券や有価証券デリバティブ取引にかかる権利を主たる投資対象とする分類

  • 不動産や不動産に関連する権利を主たる投資対象とする分類

というものがあるということを押さえてください。

なお、「有価証券や有価証券関連デリバティブ取引にかかる権利」のことを以下では単に有価証券といいます。
また、「不動産や不動産に関連する権利」のことを以下では単に不動産といいます。

先ほど契約型投資信託と会社型投資信託について説明しました。
契約型投資信託でも、会社型投資信託でも、有価証券や不動産を主たる投資対象とすることができますが、
実務的には、有価証券を主たる投資対象とする場合は、契約型投資信託が、
不動産を主たる投資対象とする場合には、会社型投資信託を利用します。

有価証券を主たる投資対象とする契約型投資信託を証券投資信託といい、
不動産を主たる投資対象とする場合の投資法人を不動産投資法人といいます。

なお、契約型投資信託において、有価証券を主たる投資対象とする場合には、委託者指図型にする必要があります。
委託者非指図型では、有価証券を主たる投資対象とすることができません。

さらに、証券投資信託については、株式を投資対象とするかどうかで、
株式投資信託と公社債投資信託という二つに分類されます。
公社債投資信託は株式を一切投資対象としないものです。
証券投資信託のうち、少しでも株式に投資していれば株式投資信託となります。

委託者指図型投資信託について

次に、委託者指図型の投資信託について説明します。
ここでは委託者指図型投資信託における各関係者の主な業務、義務を押さえることが重要です。
関係者としては、委託者、受託者、受益者、販売会社がいます。

公益財団法人 日本証券経済研究所「図説 日本の証券市場 2022年版」より引用

受益者について

まずは、受益者について説明します。
受益者とは投資家のこととなります。
受益者である投資家の役割としては、投資信託を取得するためにお金を払うということです。
集めたお金を株式などに投資して運用するのは委託者の役割となりますので、
受益者たる投資家は委託者の運用について指示することはできません。
つまり、お金は出すが口は出さない存在が受益者となります。

お金を出すのが役割である受益者が、お金を受け取る場面が3つあります。
それは、

  1. 分配金を受け取る場合

  2. 換金する場合

  3. 償還される場合

です。
分配金とは、株式の配当のようなものです。
また、換金についてですが、換金の方法は2つあります。
解約する方法と、販売会社に買い取ってもらう方法です。
そして、償還とは、投資信託の運用期間が終わった場合などに、
投資していた株式などを売却してお金にかえるなどして清算した後に、償還金というお金を受け取ることをいいます。
換金も償還もそれがなされた時点で投資家は受益者ではなくなります。

委託者について

続いて、委託者の役割について説明します。
委託者の最も重要な役割は、受益者が出資したお金でどの株式をどれだけ買うのかといったことを決めることです。
ただし、受益者が出資したお金やそのお金で買った株式などのことを投資信託財産というのですが、
投資信託財産を管理保管するのは受託者の役割となります。
そのため、厳密には、委託者が行うのは投資信託財産の運用の指図となります。
また、ある会社の株式を保有していると、その会社に対して議決権を行使することができます。
投資対象となった株式について、どのように議決権を行使するのかを決めるのも委託者の役割となりますが、
株式についても管理保管しているのは受託者となりますので、
委託者が行うのは議決権の行使の「指図」となります。
このように委託者は受益者から集めたお金の運用を行います。
このような業務は、誰でもできるものではありません。
委託者となるためには、運用の専門家として、投資運用業の登録が必要です。
また、委託者は受益者のお金を運用していることから、
受益者に対する忠実義務や、善管注意義務という法的義務を負っています。

受託者について

続いて、受託者の役割について説明します。
投資信託財産を管理保管するのが受託者の重要な役割となります。
受託者は信託投資財産の名義人となります。
名義人になることの意味について、株式の場合について具体的に言いますと、
ある会社の株式が投資信託財産となっている場合、
その会社の株主名簿には、受託者の名称が記載されています。
そのため、議決権の行使自体を行うのは受託者となります。
ただし、前述のとおり、議決権の行使の指図は委託者が行うこととなります。

販売会社について

続いて、販売会社の役割について説明します。
販売会社は投資信託を投資家に販売します。
委託者自身が投資信託を販売することもできますが、
ほとんどの場合は販売会社を通じて投資信託の販売がなされます。
投資信託を販売するには、第一種金融商品取引業の登録が必要となりますので、証券会社が販売を行います。
また、投資信託の販売にあたっては、目論見書の交付義務などの金融商品取引法上の義務などを負います。

投資法人について

最後に、投資法人について簡単に説明します。


公益財団法人 日本証券経済研究所「図説 日本の証券市場 2022年版」より引用

前述のように、投資家から集めたお金の集まり自体に法人格があるのが会社型投資信託であり、
法人格を有する主体を投資法人といいます。
投資法人は株式会社ではありませんが、株式会社と似ている点があります。
それは、投資法人の内部において、投資主総会、役員会、執行役員、監督役員といった機関が設置されている点です。
投資法人に出資する投資家は「投資主」となりますが、
これは株式会社でいうところの株主のようなものです。
他方、株式会社と異なる点ですが、
投資法人は、資産運用のための器としての機能しかありません。
そのため、投資法人では、
資産運用業務、資産保管業務、その他の一般事務について外部委託することが義務付けられております。

さいごに

以上が、投資信託の分野についての説明です。
この分野では、委託者指図型投資証券の仕組み、すなわち、各関係者の主な業務、義務を押さえることがポイントとなります。

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