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道楽ブログでいいじゃないか。

こんなにも申し込みにくい月刊誌に久しぶりに出合った。URLをクリックして、名前や住所をさらりと記入して、クレジットカードで購読料を支払う。はい、おしまい。いまの時代、ものの1、2分で購読申し込みが完了するものがほとんどだろう。

そんななか、こんなにも時代に逆行している雑誌があるとは…。こんなふうにして、まずは申し込み用紙を送ってもらう手筈を整えている。

ちなみに、このなかには折りたたまれた返信用封筒が同封されている。さらにはこれから、82円切手2枚を買うために寒空の下コンビニへと出かける予定だ。これをポストに投函して、購読料支払用紙が届くのを首を長くして待つ。

そこまでしてでも読みたい衝動に駆られた雑誌が、スタジオジブリが発刊する『熱風』である。記事に登場するのも、宮崎駿氏や高畑勲氏といったジブリに縁のある人たちはもちろん、現・外務大臣の河野太郎氏や、新国立競技場のデザインを担当した建築家の隈研吾氏、『ONE PIECE』作者の尾田栄一郎氏や映画評論家の町山智浩氏など著名な方々が名を連ねる魅力的な雑誌であるにも関わらず、今日の今日までその存在を知らなかった。

ちなみに『熱風』を知ったのは、この記事のおかげだ。( 竹村さん、シェアありがとうございます )

ジブリ鈴木敏夫Pに訊く編集者の極意──「いまのメディアから何も起きないのは、何かを起こしたくない人が作っているから」

『熱風』が楽しみなことはもちろん、この記事の内容がもぅ…ね。すでに3回は読み直した。ぼくのこの記事を読み終わったあとに、ジブリ鈴木敏夫Pの記事も読んでほしい。( というのは冗談で、どちらからでもいいので、この記事は絶対に読んでみてほしいです。笑 )

独断と偏見で、胸に響いたポイントと感想をまとめてみるとしよう。

『熱風』をスタートさせるとき、宮崎駿さんに断りを入れなかったという鈴木さん。しばらくすると、宮崎駿さんが怒鳴り込んできた。「こんなの作ってないで、ちゃんと仕事やってよ」と。かなり本気で怒っていたそうだ。
しかし数ヶ月後、宮崎駿さんがまたやって来て、「わかったよ! 熱風は鈴木さんの道楽なんだろ?」と言ったという。そして、「俺(宮崎氏)もいろいろな道楽があるから、それと同じだね」と言うから、「まあ、そんなもんですね」と(笑)。

胸がすく思いになった。

「ぼくのこのブログも、道楽じゃないか」と。

本業に差し支えが出る可能性だってある。なんなら、やらないほうがビジネス的には効率的かもしれない。収入も上がるかもしれない。でも、なぜだかずっとやり続けてきた。その理由みたいなものが、鈴木敏夫さんと宮崎駿さんのやり取りから見えてきたのだ。( 喉に刺さった魚の小骨が取れたような爽快感と安堵感を味わった )

道楽と表現するわけが、鈴木さんのこのことばに表れているように感じる。

「いいか悪いか」という判断よりね、「好きか嫌いか」で何事も決めたいんです。僕はそう思います。ましてやね、「売ろう」と考えるのはつまらない。

同時に、こうも明言されている。

こちら側から「増やそう」という考えはないですよ。「部数が出りゃいい」というものじゃないもの。

綺麗事のようにも感じる。本業のアニメが大ヒットしているジブリだから言えるんですよね、と。でもそれは一応のお話で、ぼくの心の奥深くにある部分が共振なのか共鳴なのかしているのがわかる。「それだよね」と。つよく。

そして、そんな雑誌ならではの運営方法にもビリビリきた。対談インタビューの一部を引用させていただきたい。

TAITAI:
 たとえば自分が興味を持ったものや人に対して、メディアという建前があれば、取材と称して会いに行けるじゃないですか。

鈴木氏:
 それはメディアのいちばんいけないところだと思うんです。名刺一枚で誰にでも会えるなんて、それは嘘。「熱風」を通じて、ある人に会いたいなんて僕は思わないもの。それはつまらないですよ。

TAITAI:
 では鈴木さんが興味を持たれた方がいて、接点がないときはどういうアプローチをされるんですか?

田居氏:
 鈴木さんは、あまりそうやって動いたりはしませんね。“自然に会う機会を待つ”という感じでしょうか。

吉川:
 鈴木さんがたとえば何かの本を読んで「次はこの人にインタビューしようよ」と決めているのかなと思っていたら、想像していたのとはちょっと違うんですね。

鈴木氏:
 逆なんですよ。自分の知っている人に出てもらっているんです。読む人に伝えたいことがあるなら、出ている相手を知っていなきゃいけないと僕は思うんですけれどね。
 今月(2018年1号)の「熱風」で、斉藤惇【※】さんに出てもらっていますけれど、この人も僕の昔からの知り合いなんです。つまり自分の知り合いを広く紹介しているという(笑)。

このブログでも対談コンテンツを定期的にお届けしていきたいと考えていた。そのときにはやはり、話題の人や人気がある人のところに行ったほうがいい、という意識が頭の片隅にあった。いや、大部分を占めていたかもしれない。そうしたほうが、たくさんの人に読んでもらえるだろう、人気ブログになるだろうと。

しかし、そんな思い込みのガラスみたいなものをあっさりと割られてしまった。とんかちで軽々とパリーンと。そのガラスは曇って汚れがあったのだろう、いまは視界がクリアになった感じがする。

ということで、これからも、このブログは道楽ブログであり続けます。いや、これからはより一層、道楽ブログの道を極めてゆこうと思う所存でございます。

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すこし面倒な作業をしてでも、『熱風』、読む価値があるんじゃないかなぁと思います。ピンときた方は、一緒に読みましょ。

『熱風』定期購読のご案内 → http://www.ghibli.jp/shuppan/np/007495/

さて、3日連続つづいている有料マガジン読者だけにお届けしている楽屋裏的な音声レター。今日の話題は、「ものすごーく嬉しかったお話」です。いやはや、ほんとに嬉しかった。内容は、以下でw

と、一応、待つことの大切さ的なこともお話しています。さらりと聞けますので、隙間時間などにぜひどうぞ。

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