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毎日描いて発表する、の人たち。

累計170万部を突破してなお、勢いがとどまることを知らないマンガ『君たちはどう生きるか』。その漫画家である羽賀翔一さんがまだ売れていなかった頃のエピソードを見つけた。

 今コルクでは羽賀翔一さんを育成していますが、彼には「今日のコルク」という1ページマンガをほぼ毎日描いてもらって、ネットで発表していました。コルク社内で起きるちょっとした事件や発見をマンガにしてもらったのです。
 新人がいきなり中編のおもしろい読み切りを描くのは、かなり難しいことです。かといって、数ヶ月ずっと作品を描かずに、物語を考えてばかりでも成長しません。
 1ページの中に、どれだけ濃い情報を詰めることができるか。観察力とともに情報を詰める表現力の訓練もできます。その後、中編のマンガを描くようになると、今までよりもずっと情報の入っている物語を作れるようになるでしょう。
出典:『ぼくらの仮説が世界をつくる』( 佐渡島庸平 )

いまでは時の人となった羽賀さんも毎日描く人だったとは驚いた。

そのとき、『ぶさにゃん』や『必死すぎるネコ』などを出版している猫写真家の沖昌之さんとお話したとき、同じようなことをおっしゃっていたのを思い出した。彼は会社勤めをしていた当時から、毎日まいにち近所のネコを撮って、インスタグラムで3枚の写真を発表することをじぶんと約束して、守り続けたそうだ。

そんなおふたりに共通するのはこの3つ。

① ボリュームを決めて、
② 毎日描いて、
③ ネット上で発表する

とりわけポイントは、③の「ネット上で発表する」ではないかと思う。もちろん、プロのマンガ家や写真家、小説家やエッセイストは毎日まいにち描いている・書いている人も多い。しかし、彼らはネット上で発表するわけではない。( 場合がほとんどだ )

しかし、今回のおふたりは描いてネットで発表する。これがいまっぽい。ネットの登場によって、じっくり描いて、原稿を出版社に持ち込んで・・・としなくても、世の中に届けて、読者に読んでもらえるようになった。

最近では、『こぐまのケーキ屋さん』という四コママンガが、拡散に次ぐ拡散でなんと11万リツイート&26万イイネ(2017年12月時点)がつき、さらには投稿6日目にしていきなりの書籍化発表という流れになったのだ。( カメントツさんもまた、毎日描いて発表するの人であった )

だから、毎日のように描いては発表することで技術を磨き、活躍するネットクリエイターがこれからもきっと増えるはずである。

個人的に注目している漫画家さんのなかにも毎日のように描いて発表する人たちがいる。まずは、ぼくのこんな似顔絵を描いてくれたつのだふむさんだ。

毎日マンガ「ヘソニモ」という連載をやっている。彼のツイッターでその作品は読むことができる。

もうひとりが、矢島商会さんだ。このnoteで「今日のくまちゃん」を連載している。

いつの日にか、彼らもまたマンガ家としてデビューするのではないかと思っている。

こうして原稿を書きながら、もちろんじっくりと時間をかけて中編・長編に取り組むのもありだが、毎日描いて・書いて、人前に出せるボリュームを決めて発表するという方法もありだと思った。

日に日に、観察力とともに表現力が高まり、その人の文体も形づくられていくはずだから。

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ぼくの場合は、「もう少しじっくりと何かを書いてみるべきかなー」なんてことを思いました。今日もまた毎日のように書いていて。

有料マガジン記事も書いています。今回は、定期マガジン読者限定です。

『「好きなものを好き」と「いいものをいい」と口に出そう。書こう。』
→ https://sueyoshihiroomi.com/n/n04d0e0115d23

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