すえつなと競馬 その4(競馬にしっかりハマり出す)


その3は→こちら


さあ、いよいよ天皇賞(春)の発走です。

すっかり親子3代制覇よりもホワイトストーンとの枠連(4-7)に意識を持っていかれてるボクでしたので。
2頭の姿と、そのライバルであるメジロライアンの姿を確認しながらレースを観ていました。

「来るなよー。来るなよー。ライアンは来なくていいぞー」

そして直線。


メジロマックイーンの勝ちを確信した後、大外でもがくホワイトストーンに目線をやりました。


「いやー!これはダメだ!ちくしょーー!!」


これが同じ人間なのかというくらい、トウカイテイオーの皐月賞とは全く違う楽しみ方をしているボクでしたが。

とうとう知ってしまったのです。
「競馬の楽しみ方って、色々あるんだな」と。
中学1年生なりたてのくせに。


オグリキャップやスーパークリーク、そしてトウカイテイオーの走りを純粋に応援する楽しみ方と。

メジロマックイーンとホワイトストーンの枠連を握りしめて、メジロライアンの負けを願うような楽しみ方。

これで完全に、競馬の沼にハマりました。



中学生として最初の中間テストにおける理科や数学で、小学校の頃からは考えられないような史上最低点を叩き出し、母親が本気で頭を抱える中。

ボクは競馬の勉強に没頭しました。


とは言え今のようにネットも無ければ、高い本を何冊も買えるようなお金も無い。

だから毎日スポニチの競馬面を熟読し、土日の競馬中継は録画して何度も繰り返し視聴して。
市内の図書館を巡っては、競馬に関する書籍を片っ端から借りてきて読み漁っていたのです。

面白いように頭の中にインプットされていく競馬の知識。
なぜ学校の勉強ではそれが出来なかったのかが、今でも不思議でなりません。


大外から豪快に追い込んだイブキマイカグラが打倒トウカイテイオーに名乗りを上げたNHK杯。

逃げるダイタクヘリオスを、ゴール前ギリギリでダイイチルビーが捉えた安田記念。

松永幹夫鞍上のイソノルーブルが、裸足で長丁場を逃げ切ったオークス。


この辺は本当に擦り切れるほど繰り返しビデオを観てましたので、思い入れも強いです。

そしてついに、この日がやってきました。

1991年5月26日 東京競馬場
第58回 日本ダービー

いよいよトウカイテイオーが出走するということで、もちろんワクワクしていたのですが。

何よりもダービーが『我が街・府中』で行われることが嬉しくて嬉しくて。

嬉し過ぎて自転車に跨り、とりあえず競馬場の外観だけ見に行きました。


「うわーー!すげえ!看板がある!!」


ただの看板だけでも大興奮したボクは、やっぱりこう考えます。

「せっかくだし中に入ってみたいけど、どうすればいいんだろう?」

するとなんとなく受付っぽい窓口を見つけたので、不自然なくらいに右へ左へとウロウロしながら近づきます。


そしたら「前売り券をお持ちでない方は入場できません」みたいなことが書いてあったので。

「なーんだ。そうなのか」とガッカリすると共に、なぜかちょっとホッとした自分もいたりして。
よくわからない感情で家に帰りました。

この日は『トウカイテイオーを観る』という理由で遊ぶ約束を入れませんでしたからね。

リアルタイムで観るのです。

つづく

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