短編:【夏の終わりの物語】
午後の車窓から入る強い日差しと、対象的に寒いぐらいに効いているエアコンで、頭の中にマーブル模様の渦巻く様子がイメージ出来る。
たとえ乗客が1車両1人だったとしても、その電車は走り続け、誰も乗らないドアは開閉し、せっかく冷えた車両を一度常温に変えてしまう。
カバンに着けたマタニティマークが揺れる。これだけ車内がガラガラなのに、優先席に座ってしまう習慣が情けない。
少し離れた場所から、その視線を感じた。
隣の車両、そのもう少し先のような気もする。しかしこの車両と同様に、隣