見出し画像

散歩なのか、美術鑑賞なのか、わからんやつが好きなんよ

2024年5月12日、たまに暴風が吹き荒れる強風曇天の日。
半袖で出かけたら、自分と屈強な筋肉マン以外みんな長袖だった。

掃除機で掃除している時に、不意に思い立って、庭園美術館で開催されていた「旧朝香宮邸を読み解く A to Z」に行きたいと思った。
掃除の時のひらめきこそ、本当の「不意」だと思う。

なんで思い出したのか覚えていないが、掃除機を片方の腕で抱えつつ、ネットでチケット予約しようとしたら、午後の分しか残っていなかった。
午後15時からの回を予約して、掃除を再開した。

なんだかんだ、展覧会の存在どころか開催日も知っていたものの、これもなんだかんだやっていたら最終日になっていた。
美術館や博物館によく行くのに、割と「あ、あの展覧会忘れてたわ」となっていかなかったりする時がある。

庭園美術館には、バスで行くことが多い。
前日に購入したアンヌ・ソヴァニャルグの「ドゥルーズと芸術」を持って、目的地に着くまで読書だ…!と思っていたのに読み始めて15分で爆睡した。

一行読むたびに「なんて??」となって2~3回読み返していたため、全然読み進めるペースが上がらなかった。
正直にいうと、p.9~p.11しか読みきれなかった…己の力不足を痛感した。


庭園美術館は日曜最終日ということで、非常に混雑していた。
カップル・夫婦5割、友達ときている人3割、ひとりで来てる人2割という感じ。

入り口でQRコード見せている横で、紙のチケット見せている人がいて「え!今回の紙チケットおしゃれじゃん!!」となった。
後から調べたら招待券だったご様子。
普通のチケットのデザインと何が違うのか気になるところ。


庭園美術館は何度か来ているものの、何度来てもこの美しい建物は飽きない。
アール・デコの名建築なので、幾何学のリズムがあちこちに散りばめられていて面白い。
個人的にアール・デコはリズム感を感じられるデザインなので、建物全体が音楽っぽい感じがする。

正面玄関ガラスレリーフ扉を見たり、オセロみたいな天井の装飾を見たり、展示室内をあっちこっちをウロウロとしていた。
ある程度ウロウロした後で、アンリ・ラパンの香水塔を見ていた時に、その台座の足元に雑草が生えているのを見つけた。

本館[旧朝香宮邸 次室] 須田悦弘 《雑草》 2024年

「え!須田さんの彫刻あるのか…?!」と思って、作品リストを血眼で見ていたら、後ろにいた別のお客さんが「雑草生えてる」と独り言を言った。

この絶妙なタイミングが個人的にエモいの最高潮だった。
確かに《雑草》ではあるのだが、まさかそんな作家の狙いがドンピシャで反映されたタイミングに出会えた瞬間にテンションがMAXになってしまった。
勢いよく振り返ったので、お客さんに意味のない恐怖を与えただけだったかもしれないが、本当は握手したかった。

須田さんの作品は、香水塔以外の場所にも複数のところに展示されており、個人的には違和感と常識の間を狙った感じの浴室の展示が非常によかった。
「こんなとこに昼顔生えるんか??」と一瞬思わせる力強さがいい。

本館[旧朝香宮邸 第一浴室] 須田悦弘 《コヒルガオ》 2024年

須田さんの彫刻を追いかけつつ、建築のあちこちも見たかったので「目が、目が足りん…!」となっていた。

特に邸内の照明器具はデザインが豊富で、全ての部屋の照明がなんか独特。
特に大客室の《ブカレスト》が個人的推し。
よくよく見ると鈴蘭のような、チューリップのような彫刻が先端についていたり…
何の植物モチーフなんだろ…気になる…

本館[旧朝香宮邸 大客室] ルネ・ラリック《ブカレスト》 1933年

見切り発車で展覧会に行ったので、もちろん事前情報を何も入れなかった。なので、後から特別公開部屋があったことを知り、「え、もっと舐め回すように見ればよかった…」となった。

普段は公開されていない3Fのウインターガーデン(温室)は、定員9名のお部屋だったので、30分ほど並んだ。

本館[旧朝香宮邸 温室] ウインターガーデン 

入室してみると、温室らしく太陽の光がたくさん入るような部屋だった。
当日は曇りの日だったものの、逆に柔らかめの日の光が入り込んでいて非常に雰囲気がよかった。
今回は曇天だったので、今度はちょっと天気のいい初夏の日とかに行ってみたい気持ちもある。



建物内を全て巡り、入り口近くのロッカーに預けていた荷物を回収してミュージアムショップに行こうとしたら、有料チケットエリアだった…
展覧会見たからちゃんとチケット購入しているけど、「ミュージアムショップ行きたいんでもう一回入れてください」っていう勇気がなくて諦めた。
前の時は有料エリアじゃなかった気がするんやけど、どうなんやろ…勘違いかな…

ミュージアムショップに行けなかったことと、展覧会で意外と体力を消耗したので見える範囲の庭園を鑑賞した。
新芽が非常に美しく、緑のグラデーションがいろいろあって目に優しかった。
新芽の青臭い匂いというか、初夏の森っぽい匂いがすごいした。

個人的にはこうゆう森っぽい感じとか、爽やか〜って感じの雰囲気と匂いが好きなんだけど、わかる人いるかな?
いたら同志だね。


帰り道もバスで帰ったのだが、もう一回読書しようと思って本を開き、2行ぐらい読んだら爆睡していた。
歩き回ったので、体力を奪われていたらしい。
デバフ状態で読書したのが良くなかったと思う。
とはいえ、日本人の特殊能力、「降りるバス停・駅の直前で目が覚める」を発動できたのでよかった。

美術館や博物館で歩き回った後でも、難しい哲学書読めるだけの体力をつけるのが当面の目標ですね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?