「のび太の地球交響楽」がすごく良かった話
ご注意
映画のネタバレを含みます
当方、音楽には詳しくないので間違ったこと書いているかもしれません
アラフォーですがドラえもんへの熱量強めです
全部私の主観です。専門的知識などはありません
何がよかったのか
「音楽の歴史」についてのオープニング
多くの子どもに親しみのある「リコーダー」をキーアイテムに選んだ
「音楽の殿堂」にいるロボットに日本人の瀧廉太郎モデルのキャラクターがいた
しずかちゃんに打楽器をあてた
敵キャラがひとりの悪人ではなく、病原体のようなもの
「宇宙で音が響くこと」の理由づけ
お馴染みの道具が活躍
エンタテイメントは不要不急ではない
「音楽の歴史」についてのオープニング
映画のオープニングで流れる映像が、古代〜現代までの音楽の歴史を駆け足で、しかしとても楽しく紹介してくれます。
私自身、音楽が好きで毎日聞いています。
人間の生活と共に常にそこにあった「音楽」。
それを題材にした映画の導入としてあんなにワクワクするものがありましょうか!
多くの子どもに親しみのある「リコーダー」をキーアイテムに選んだ
「オーケストラ」。
高尚なもの?
お金持ちの趣味?
音楽の授業?
「身近には感じない」というのが庶民育ちの私の素直な感想です。
高額で演奏が難しい楽器がでてきても、憧れはしても現実的ではありません。
しかしここで主人公のび太くんが使い、活躍するのはほとんどの人が小学校で使ったことのある「リコーダー」。
大人は懐かしいなあと思いながら、子どもは身近な楽器の登場にワクワクするかもしれません。
それに、慣れ親しみすぎてありきたりに思えるその楽器に、実は3万7千年もの歴史があった!なんて興奮しますよね(私はしました)
「音楽の殿堂」にいるロボットに日本人の瀧廉太郎モデルのキャラクターがいた
こういった作品、私のイメージですがだいたい登場するのは海外の有名音楽家モチーフのキャラクターですよね。
「そういうもの」と思っていましたが、一発で瀧廉太郎とわかるキャラクターが出てきたときは嬉しさや興奮がありました。
私の娘も「お母さん、瀧廉太郎だよ!」と喜んでおりました。
他にも、ベートーヴェン、ワーグナー、モーツァルト、バッハなどこれも子どもたちの教科書に載っている面々で、先述のリコーダー同様「普段の授業がもっと楽しくなる」子どもたちへの贈り物のように思えました。
私は音楽は聴くのは好きですが、授業はてんでダメな子どもでしたので、そういう子どもが少しでも「楽しい」と授業中に思えたら嬉しいです。
しずかちゃんに打楽器をあてた
打楽器、大体男の子キャラにやらせそうですよね。ジャイアンとか。
そうはしなかった。
私は「女の子らしいもの」をしずかちゃんにあてなかった製作陣に優しさを感じたのでした。
そもそもテレビアニメシリーズのしずかちゃんはバイオリンを習っていますが、音色が非常に個性的。
それを映画で克服してしまったら子どもだって思うんですよ。
「映画で上手になったじゃん」って。
そこにも干渉しない、いい選択肢だと思いました。
敵キャラがひとりの悪人ではなく、病原体のようなもの
平和に暮らしていた人たちがあるひ故郷を追われる。
その原因は「厄災」と呼ばれるアメーバのような生き物、ノイズ。
ノイズはとても非力に見えますが、数が増えると星を飲み込むほどの恐ろしい生き物?になります。
ノイズに世界征服のような明確な目的はなく、ただ星を捕食するためにやってくる、まさに「厄災」。
それが私には新しく感じ、かつコロナウイルスという「厄災」に見舞われている人類を重ねました。
私たちは非力ですが、手を洗う、うがいをするなどの小さな積み重ねでどうにかこの災いを終わらせようと日々努めています。
コロナ禍で頑張ってきた人たちへの労いや、これからも頑張ろうね!みたいなメッセージを感じました。
「宇宙で音が響くこと」の理由づけ
これがすごかった。
先述のノイズは音楽を嫌う生き物。
その対策に宇宙空間で音楽を響かせることができる「殿堂」を彼らは作ります。
しかし、壊されてしまうんです。
そこでどうなったか。
ここほんと最高なので細かくは書きません。
どうかどうか観てほしい。
ここにも日常の音楽への愛が込められています。
私はこの演出が本当に好きです。
お馴染みの道具が活躍
見終わってから知ったのですが「空の理想郷」と同じ監督さんだそうですね。
個人的なことは存じ上げないのですが、監督さん、ドラえもんめっちゃ好きですよね???
ものすごく「いつもの道具たち」への愛を感じるんです。
「空の理想郷」でもそうでした。
正直、長年親しんだ大山のぶよさんではないドラえもんを受け入れることができずにいました。
それが「空の理想郷」で一変しました。
私はそのくらい、この監督さんの作るドラえもんが好きです。
ドラえもん、これからもよろしくね。
エンタテイメントは不要不急ではない
この作品にはいろんな「音楽」が出てきます。
学校の授業で演奏するもの、人気歌手の歌、おじいちゃんがラジオ聴きながら歌う演歌。
それだけではなく日々の生活の中で聞く掃除機の音、野菜を切る包丁の音、いろんな人がよく耳にする生活音も「音楽」として描写され、音楽だよねこれも!と気づかせてくれました。
コロナ禍当初、音楽だけでなくさまざまなエンタテイメントが「不要不急」とされ、たくさんの公演が中止になりました。
それは仕方のないことだったと考えます。
まだ全容の見えない病原体に対し、私たちはそうするしかありませんでした。
悲しかったのは、公演中止を嘆くファンや演奏者などに向けられた「そのくらい我慢しろ」という意見です。
エンタテイメントが無くなったことが直接の死因になる人はほぼいないと思います。
でも確実に心が萎れていきます。
人間の歴史のすぐそばには常にエンタテイメントがありました。
私たちには心があり、エンタテイメントは必要不可欠です。心に元気がなくなれば体も弱ります。
音楽は人間に必要なものだと表現してくれて、私はとても嬉しかったです。
最初には書いてなかったけどほんとにネタバレになるから気にする人は読まないでください
この辺でいいでしょうか。ここからは興奮しまくりポイントなのでさらに文章がやばいです。
物語のキーマンとなる女の子(宇宙人)には双子の妹がいました。
その種族に生まれた最後の子どもの片割れであったその子は、赤子のうちに似ている生命体のいる地球に避難させられます。
大切な「縦笛」と共に。
その子は当時(4万年ほどまえ)の人類に育てられます。
縦笛を吹いていると人間の青年がそれを真似て白鳥の骨で縦笛を作りました。
それは、物語冒頭に出てきたものと同じ種類のようでした。
「人類の進化に宇宙人が関係していたのでは?」なんて話がよく出ますが、ここに繋がるのか!!と大興奮でした。
その白鳥の骨の縦笛は国立科学博物館にあるそうです。
何回か行ったのできっと見ているはずですが覚えておりませんでした。
私は博物館、美術館が大好きなんですね。
去年、国立科学博物館のクラウドファンディングが話題になりました。
私も微力ながら協力しました。
悲しいですね。
博物館に、文化に国がお金を出さない。
教育は国の宝であり、一番投資すべき分野と考えています。
人類の歴史や、過去の動植物を見ることはとても楽しいです。
知識があればもっと楽しいでしょうが無くても楽しいです。
子どもたちはぜひ足を運んで、何か一つでも自分の心に残るものを見つけられたらと思います。
博士や専門家にならなくたっていいんです。
何か一つでもいいから、好きなものを、心の栄養になるものを見つけるきっかけが博物館や美術館にはあると思います。
かはく大好き!!!
話はドラえもんに戻りまして。
この「人類」、4万年まえ、ヨーロッパということや外見的特徴からおそらくネアンデルタール人なんですね。
ご存知の通り彼らは滅んだ種族ですが、完全に滅んだわけではなくホモサピエンスと混血したものもいて、特にヨーロッパの人たちにはその遺伝子が多く残っているそうです。
「滅んだ」2つの種族の歴史が、文化が、私たちにまで流れている。
そこにも興奮しました。
4万年まえの笛が子孫に受け継がれているのは無理あるやろと思いましたが、そこは歴史ロマンということにしておこうと思います。
いいじゃないの。夢があって。
監督さん、人間が好きですか?
「好きなんだろうな」と思いながら「空の理想郷」と「地球交響楽」を見ました。
人間の文化や、日々の営みを愛している人の作品だなって私は感じました。
つまりすごく好きです。
私はアラフォーのオタクなんですが、いろんな作品を見ては好きな作品に紐づけて楽しんでいます。
今回は
僕の地球を守って
思い出すだけで鼻の奥がツンとする
マクロス
みんな!抱きしめて!銀河の!果てまでーーーー!
FF8
のび太くんが宇宙空間をただよい、音が響かないので叫んでも誰にも届かない。あの絶望感は凄まじかったです。リノアがアルティミシアに操られてイデアを解放したのち、宇宙空間に投げ出されたことを思い出しました。あそこすごく怖かったんですわ。。。ラグナロクがあってよかった。
を思い出しました。
パクリ!といっているわけではなく、たくさんの素敵な物語を見て聞いて、そこからさらに生まれる新たな物語を私はまた愛したいと思います。
いやほんとありがとうございました!
最高でした!
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