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雪の結晶の数と夜空の星の数と、どっちが多いんだろう

 とある冬の夜のことです。街を急ぎ足で歩いていた、うら若き乙女の頭の中に、ふと、ひとつの疑問が浮かびました。そして、ちょうど電話越しに会話していた友人に向かって、その疑問を投げかけました。
 この空を舞っている雪の結晶の数と、夜空に輝く星の数、どっちが多いんだろう——




 こんにちは、丁_スエキチです。

 調べてみました。(ロマンもクソもない)


1.星の数


 まず、地球から肉眼で観測可能な星、つまり-1等星から6等星までの恒星の数は、手元にあった理科年表2020の「恒星の数と分布」の項目によると、およそ8.6×10^3個です。これは律儀に数えれば求められる値ですね。
 次に、太陽系の所属する銀河系に含まれる恒星の数はおよそ10^11個です。これは、太陽から最も近い距離にある恒星(ケンタウルスα星)との距離が約4光年であるため、恒星は銀河系内で4^3立法光年に1個くらいの割合であると仮定でき、銀河系が10^13立法光年と見積もられているので、まあ恒星はだいたい10^11個になるよね、というわけです。観測の結果もそれくらいらしいです。この辺の話は下に示したサイトに詳しく書いています。

 また、宇宙には銀河系が2兆個あるらしいので、宇宙全体では、恒星は10^23個くらいあるんじゃないかと思います。アボガドロ定数と同じくらいのオーダーなので、12gの炭素に存在する炭素原子の数とだいたい同じくらいあるというわけですね。喩えてみたけどかえって分かりにくいですね。


2.雪の結晶の数

 こちらの論文で、地球全域で一年間に降る雪の結晶の数を求めているのですが、10^25個くらい降っているとのことです。
 しかし、地球規模ですし、年がら年もひっきりなしで雪が降っているような地域も含んでいますし、東京の「あ、雪……!」的なベタなドラマには似合わないので、東京23区内で1 cmの積雪が起こった際に降る雪の結晶の数を計算してみたいと思います。
 とりあえず、先程の論文によると、雪の結晶1つあたりの重量は正規分布に従っており、その平均値は0.024 mgです。

 また、こちらのサイトによると、雪の重さは新雪や根雪によって異なっており、新雪の重さは50 kg/m^3〜150 kg/m^3であるため、とりあえず間をとって100 kg/m^3と仮定します。
 さて、東京23区の面積は627.6 km^2です。23区内の全体に一様に1 cmの降雪があったと仮定すると、雪の体積はおよそ6.3×10^6 m^3となり、総重量は約6.3×10^11 gとなります。この値を、雪の結晶1個あたりの重量である2.4×10^-5 gで割ると、2.6×10^16個という結果になりました。

 ただ、一瞬で1 cmの雪が積もるわけではないですから、空を見上げたその瞬間に2.6×10^16個の雪の結晶全部があるわけではないでしょう。
 というわけで空を見上げた時の雪の結晶の数を求めます。仮に、一晩12時間で等しいペースで雪が降り、積もったとします。

 こちらの論文曰く、雪の結晶の落下速度は最大でも120 cm/秒くらいですね。雪を降らせる乱層雲は低いものだと上空1 kmにいるらしいので、落下には800秒以上かかると考えられます。12時間を800秒で割ると54、さっき求めた2.6×10^16個を54で割ってあげて、4.8×10^14個、という結果になりました。


3.まとめ

全宇宙の恒星の数: 10^23
この銀河系の恒星の数: 10^11
地球から肉眼で見える星の数: 8.6×10^3

1年に地球で降る雪の結晶の数: 10^25
東京23区で1 cm積雪した際の雪の結晶の数: 2.6×10^16
(スエキチ推定)
同条件のとき、空に舞っている雪の結晶の数: 4.8×10^14(スエキチ推定)

 太陽系のある銀河系に存在する星の数よりも、(せいぜい東京で積もる程度に雪が降ったときの)雪の結晶の数の方が多いようです。
 今後「雪の結晶の数と星の数、どっちが多いんだろう?」と尋ねられることがあったら、是非「雪の方が10^3くらい多いよ」と早口で答えてあげましょう。「ロマンもクソもねぇなお前!」とツッコミが返ってくること間違いありません。


4.余談

 今回のテーマである「雪の結晶の数と星の数とどっちが多いんだろう?」という話は、12/11に開催された、二人組声優ユニットGothic×Luckの無観客ライブ「オリオンの輝き」の冒頭の演出に登場したものです。
 Gothic×Luck(通称・ゴクラク)の2人(八木ましろ菅まどか)はTVアニメ・ゲーム・舞台等で「けものフレンズ」に出演している若手声優2名であり、アニメ2期のエンディングテーマを歌っています。
 カタカケフウチョウ・カンザシフウチョウという、光を99.9%以上吸収する宵闇の如き漆黒の羽を持ち、リズミカルで特徴的な求愛ダンスを踊るやべー鳥の役をやっているので、「愛」とか「星」をテーマにした曲が多い印象があります。ちなみにフウチョウは別名「極楽鳥」です。だからゴクラクなんですね~。こういう言葉遊びが好き。
 とにもかくにも曲がそれはそれはもう本当に最高で凄く良いので、だまされたと思ってとりあえず下のCDアルバムのダイジェストを聴いてください。僕のオススメは「月と太陽」です。

 ね、良い曲でしょ?!?! みなさんもCDを買って、アルバム第二弾が出るのを心待ちにしましょう。CD出ろ。CD出せ。
 

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