中谷進の「どうされました?」24/01/08
日向坂46が人狼をやる配信を観ました。
人狼(じんろう)というゲームがありまして、ヒトコトで言えば「嘘をついている人を話し合いで見つける」ゲームなのだけど、これが日向坂46というアイドルグループのメンバー内で、今なぜか流行っている。
やったことがある人ならわかると思うけど、人狼はそれなりに人数と時間が必要で、気軽にできるゲームではない。が、この人たちはライブのリハーサルのスキマなどちょっとでも空き時間があれば人狼を始める。
アイドルがかつて持っていた神秘性・超人性が剥がされ、舞台裏の努力も含めて人生まるごとをエンタメ化された現代アイドルの彼女たちにとって、大っぴらに嘘をつく行為は、自分がやっても同僚メンバーにやられても新鮮な驚きがあるのかもしれない。
でもまぁ、そんなの関係なく楽しいんだろうなと思う。
特に印象的だったのはこの人かな。
こういう立ちふるまいをしてくれる人って、集団には必ず必要だと改めて思わされた。バランス感覚、全体を見ている感じ。
場が深刻になってくると「緊張で顎の震えが止まらない」とおどけて和ませたり。いつものことではあるけど、この配信中もよく笑っていた。
だからなのか、派手な動きをしない限りほとんど誰からも疑われない。それどころか演技力もあるので大胆な嘘をついてもナチュラルだし、しかも論理が破綻していない。
空気読みをするタイプだと思うので集団に馴染むのに時間がかかるかもしれないけど、その集団がこの人を認めてくれば、替えの効かない存在になる。
最近になってグループ内での存在感が増しているように感じるのは、何よりファンが森本茉莉という個性に慣れてきた証拠なのかもしれないと思う。
人狼はそれなりに人口に膾炙したゲームなので、目の肥えたお客さんも多い。「なんで〇〇に投票しないの?」「〇〇が人外なの気づかないのか」など、ありがたいご指摘が配信中のコメント欄に溢れていた。
たくさんの人が見ている前で人狼をやるのはリスクが大きい。
プレイヤーがそうしたコメントを重く受け止めてしまうリスクだ。
ご意見番たちの肩を持つ気はないが、こういう人たちの多くは、自分の声を相手に届けようと思っているわけではない。
自分が思ったことを「つぶやき」として自分の周りの狭い範囲だけに響かせようとしているだけで、それが出演者の目に入ってしまうなんて想定していない(だから愚かである)。
自分たちの発言がどこまでの射程を持っているのか、改めて自覚的になるべきだ。悪意のない悪口(ヤジ)と、悪意のある悪口(アンチコメ)は、インターネット上では平等に扱われてしまう。
「そんなつもりで言ったんじゃない」がいつでも信じてもらえるわけではないのは、人狼経験者ならよくわかるはずだ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?