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高い音楽性と低い腰

私は楽器もできなければ音符にも弱い。
歌も苦手で人前で歌えるほどじゃない。
子どもたちとカラオケに行っても一緒に楽しみたくて
ようやく意を決してボイトレを受け始めたおっさんだ。

その程度でも聴くほうではジャンルを問わず、である。
クラシックからロック、アニソン、ボカロまで
どのジャンルでも気に入った曲は少なくない。

そんな私が長年、敬愛して止まないミュージシャンがいる。

(少しばかり昔の話になりますが…)
市民会館大ホール1階席、ぽつりぽつりと空席がある。
2階席は空席のほうが多いくらいだ。
それなのにいったんステージの幕を上がると
割れんばかりの笑い声と、止まない拍手に包まれる。
81年デビューのバンド、スターダスト・レビューだ。

『高い音楽性と低い腰』とはスタレビのモットー。

ライブではその日しか味わえない音とコーラスワークにしびれ、
爆笑を誘う軽妙なMCに、同じ人とは思えない歌声に心揺さぶられる。
スタレビが初めての人だって終演後にはいっぱしのファンだ。
だから次回公演には友だちを誘ってでも空席を埋めようとするだろう。
回を重ねた熱いファンは全国各地の公演にリピート参戦する。

だが当のスターダスト・レビューはさらに上をいくのがスゴい。
アルバムツアーに全国各地を80公演それも期間一年以上だとか、
さらに夏のフェス、シングルプロモーションやら、
他のアーティストとのコラボライブなどを含めると
いつ寝ているのだろうかとこちらが心配になるほどだ。

今ではすでに還暦迎えたメンバーたちが
これほどのライブ回数をこなしても
まだ空席を作ろうとしている向きさえある。

ここのところ公演チケットも
ファンクラブ先行予約でさえ抽選になったり、
2daysでもSOLD OUTになることが目立ってきた。

スペースさえあれば当日券も出してくれるが
それでも空きのある会場では
「今日も空席以外は満席です」と笑う。
「空席はあなたのお友だちのぶんです」とも言う。

「ライブに行きたいのにSOLD OUTでは申し訳ない」
僕らのライブは空席があってこそなんだ、とまで仰るのは根本要氏。

せっかく売れたチケットであっても、
シニア(65歳以上)、ジュニア(小学生以上25歳以下)の割引として
当日に会場で申請すればキャッシュバックまでしている。
障がい者(児)+介助者も割引の対象だからもう頭が下がる。(注1)

最新アルバムの「還暦少年」をひっさげてのツアーも残り僅か。
再びではあるが、なんとか参戦できぬものかと画策している。

あぁ、やはり私もすっかり信者である。
盲信していたとしても悔いはない。



(注1)令和元年12月4日時点での内容です。
キャッシュバック等の有無は公式サイトでご確認ください。

*写真のピックは2004年のツアー時に獲得したものです。

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