見出し画像

ジンバブエ奥地での電気と電波がない生活は

暇である。暇というに限る。

この文章を書いている3日前、夜中に大雨が降っていた。そのとき、なんだかとんでもない爆発音がした。私はその時は寝ぼけていて、雷だと思ってスルーしたのだけれど(雷が近くに落ちるのはよくあることなのだ)それは近くの変電所の変圧器が爆発した音だったらしい。なんとまあとんでもないことだ! 聞くと、雨季には毎年とは行かないまでもときどきあることらしく、みんな「パカイーパ!(参ったな、的なSlang)」と言い捨ててしょぼんとしている。

今回は事態は重大で、変圧器はもう直せないので新しいものを買うしかないという。買うのも一苦労で、国内では生産していないので南アフリカなどの他の国から買うしかない。ジンバブエ(とジンバブエの電力会社)にはお金がない。どうやって買うのだろうか。みんな、こりゃ3月末まで電気はないね、などと噂している。

学校のみんなに、今さら、Welcome to Zimbabwe!と言われるのは結構面白い。停電したジンバブエが本物のジンバブエなのだという。みんな笑いに変えている。強い。

ちなみに、自分のスマホとPCの充電くらいなら、学校の校長がいる建物にソーラー蓄電システムがあるので可能。ICT教員たちと一緒にいるので、充電したいんだけど、といえばさせてもらえる立場ではある。

だがこのエリア、電気がないと、いろんな電化製品が充電できない/使えないだけでなく、電波と水がなくなる。まず電気によって動いているWifiが消える。そして、Wifiがなくなると、ここは電話の電波もほぼないので、キャリアの電波を買って使うということすらできない(首都やある程度の街であれば、LTEが通っているのでネットは買えば使えることが多い)。

また、水を地下から電気ポンプで汲み上げて水道水を出しているので、水もなくなる。週に一度出る水を2つある100ℓバケツにためて生活していたけれど、この後はどうなるんだろうか。

そして私はコンピュータ技術隊員である。主にICT関連の改善をしにきたので、電気がないと暇で暇で仕方ない。電気があればまだやることがあるけれど、電気がなければできることがない。

そして、何より、退屈である。

電波がないので誰とも連絡が取れない。ニュースなどの外界の情報が得られない。SNSを見ることができないし、動画や本、漫画をダウンロードすることができない。シンプルに、この森の中ではやることがない。特に夜、家の中は真っ暗。流石に懐中電灯はあるけれど何もやる気も起きない。寝る以外ないねと、よくルームメイトと話している。今はシェアハウスをしていて話すことも話す人もいるけれど、一人でこの中にいたらと思うと、結構地獄だなあと思う。

また、電気がないと冷蔵庫とケトルと電気コンロが動かないので、これも生活の難易度を上げる。ガスは2人で一個しかないので一食作るのも一苦労だし、何より生鮮食品の保存が効かない。スーパーや買い物できる場所が周りにないのに、これは困る。肉を買えなくなってしまったのである。書いていてイライラしてきた。なんなんだ全く!笑

暇をどうにかプラスに変換できないかと思って試行錯誤中である。
考え事をする時間はたくさんあるのでこういったnoteなどの文章を書くのは捗る。
あとは、昼間なら勉強する。ネットワークと英語の勉強道具は持っている。明るいうちに、本を読む(暗くなったら明かりがないので読めない)。飽きたら、外に出て歩いてみる。周囲の人との会話を生むのである。生徒・学生にショナ語を習うチャンスである。なんか一個ショナ語教えて!というと結構みんなノリノリで教えてくれる。

学校なので、クラブ活動があり、夕方以降ぶらぶらしているとスポーツに出くわすこともある。そういった時は混ぜてもらえることもあるので嬉しい。この前はバレーボールに参加した。ボロボロのコートに、ボールは一個しかないけれど、みんな楽しそうに上手い人も下手な人も一緒になってわちゃわちゃやっている。日本の高校の体育と同じ感じで楽しい。

夕方以降はとりあえず家の掃除をして、ご飯を作って食べて、とかしていると結構すぐに時間が経つので助かる。あとは手に入れたギターをポロポロ弾くくらいだが、その教材もネットに頼っていたので見られなくなってしまった。練習の材料となる曲のコードか何かををスクショするなりして首都でとってこなければならない。

暗くなったらもう寝るしかないのは変えられなさう。なんせ読書も勉強も暗くなったらできないし、暗くなったら外に出ないほうがいい。危ない。もう8時くらいにはすることがなくなるので、寝る。夜がとにかく長い。ここにきて、非常にたくさんの睡眠時間は確保できている気がする。

首都に行ったらホテルにはいい電波があるので、映像やら本やら、たくさんダウンロードして帰ってくるようにして、楽しみを作らねばならない。

電波がある環境でやりたいことはたくさんある。実はプライベートで手伝っている日本のウェブマーケティングがあるのでその作業がしたいし、ここの仕事も進めたい。主にはScratchの教材と、任地である学校のプレゼン用資料を作りたい。

自分が特に電波に頼っていることをひしひしと自覚している。水が一番だけれど、その次に電波がないということが一番辛い。「外界と繋がれない」ということによって、わかりやすくストレスを感じている自分がいる。デジタルデトックスなんて生やさしいものではない。デジタルデトックスは、「ちょっと連絡取れなくなるからね」という予告を大なり小なりすると思う。ちょっと想像してみてほしい。色々と用事があるのに、電波がなくなる準備をしていないのに、急に電気が使えなくなり、1週間、誰とも連絡が取れないというのはものすごいストレスなのである。

試しに「電気がない生活@ジンバブエ奥地」を記述してみたが、概要はこんな感じである。これから電気がない生活がスタートするらしいというので、少々ゾッとしている。どうにかなるものなのか、1ヶ月後の私に期待が高まる。これを乗り越えられたら、もう本当にどこでも生きていかれる気がする。

この記事が参加している募集

今こんな気分

もしよろしければサポートお願いいたします。 いただいたサポートは新たな旅の資金とさせていただき、新しいnote記事のための経費とさせていただきます。