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エレキギター改造のススメ(Squier TELE編)

2016年3月、中古楽器を買い漁っていた際にヤフオクで落札したSquire TELE(テレキャスター)に塗装剥げがあることを見つけた。

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その時、Twitterやニコニコ動画で見かけていたギター改造に憧れていた私は、色を塗り直しパーツを組み換えるエレキギターの改造に踏み切ったのだった。

そもそもエレキギターの改造とは

エレキギターは、木材、金属、いくつかの電気部品から出来ている。そのため、エレキギターの改造は、DIYの木材加工と車やバイクの改造を足して2で割ったようなものになっている。色を塗り直すのは前者、パーツを組み替えるのは後者に近い。

エレキギターという楽器は、極端に言えば「弓のように貼った弦の鳴った音をマイクで拾う」ものであるため、構造自体は車やバイクと比較すれば単純である。そのためか、ちょっとした修理やパーツの交換は自分でやってしまう人も多い。
それでいて、エレキギターは楽器でありながら非常にアイコニックなものである。構造が単純なことから形や色の自由度も高いため、ドラえもんの形をしたギターや、模造刀が仕込まれているギターなんかもある。改造であれば、既製品の塗装を塗り直したり、形を作り変えたりすることも頑張れば可能だ。

この2つを極める所まで行くと、ギターの完全自作まで行き当たる。
2018年の大ヒット映画『ボヘミアン・ラプソティ』で日本国内に3度目のブームを巻き起こしたロックバンドQUEENのギタリスト、ブライアン・メイは彼の父親と2年の歳月をかけて制作した完全自作のギター「レッド・スペシャル」を愛用している。

また、完全自作までは行かないまでも、リサイクルショップで様々な理由からジャンク品となってしまったギターを安価で購入し、修理・改造することを趣味とするジャンクギター愛好家も存在する。

ニッチながらも、エレキギターを楽しむ方法の1つが改造である、と分かっていただければ幸いである。

エレキギター特有の塗装問題にぶち当たる

そんな志を持って取り組んだギター改造であるが、塗装がとにかく面倒だった。

普通のDIYであれば、上から新たに塗り直しても良いのだが、エレキギターには「塗装は薄い方が音が良い」という信仰が存在する。実際どうなのかは正直よく分からない。
その結果、「塗装を剥ぎ取ってその上から塗り直す」という工程が必要になるのだが、まず塗装の落とし方が分からない。
インターネットで調べた結果、アイロンで塗装に熱を入れてヘラでこそぎ落とすことは分かったのだが、注意点も分からず力任せにやった結果、塗装の下にある木まで削ってしまった。
その凹みを直すためにヤスリをかけるのだが、人力でヤスリをかけるにはギターは大きすぎる。

初めてやることが多すぎて、その度に問題にぶち当たったのだった。

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なんとか塗装を剥ぎ取り、これから塗装をするとなった時に「塗装をするための場所がない」「塗装した後に乾かす場所がない」「そもそも上手く行ったかどうか判断する基準がない」と手探りになり、その度にモチベーションをゴリゴリ削られていく。

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その結果、ギターを落札してから、塗装が完了するまで1年の月日が流れたのだった……。

パーツ選びは楽しさとお金のトレードオフ

心が折れそうになりながらも塗装をやり終え、取り替えるパーツの選定に入った。

エレキギターのパーツは、音や演奏のしやすさといった実用性に関わる部分もある一方、見た目も変わるもの、見た目の変化以外に変わりがないものもあり幅が広い。この辺りは上述の車やバイク、ミニ四駆に近いかもしれない。
楽器の通販サイトやAmazon、実店舗では秋葉原に千石電商という異様にパーツの取り揃えが良いお店があり、必要なものや値段を比較してパーツを揃えました。

あまり高いものは使わなかったものの、あれも変えたいこれも変えたいと小物を買ううちに購入額は積み上がっていったが、楽しいから途中から数えるのはやめた。趣味に使ったお金を数えるのは心臓に悪いのでやめよう。

パーツを組み込んで完成

パーツの組み込みも初めてで、ジャックの付け方を間違えてノイズが出たままになるというトラブルはあったものの、何とか完成したのがこちら。

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この色は既製品だとサーフグリーンと呼ばれている色に近い。定番の色からは少し外れるため、特徴的な見た目に出来た。

塗装:アサヒペン 木部用プライマー→アサヒペン サンディングシーラー→アサヒペン アスペンラッカースプレー エメラルド
ピックアップ:千石電商で購入(テレキャスター用国産ピックアップ)
ブリッジ:千石電商(6点裏通し・トップロード共に対応)
ピックガード:ミントグリーン 3プライ
コントロールプレート:ALLPARTS JAPAN Original TL Plate #1 Chrome
ネックプレート:Freedom Custom Guitar Research
ストリングガイド:千石電商で購入(円筒状)
ノブ:Bridge guitarsで購入(ビザールギターに付いていたもの)
ストラップピン:SCHALLER ロックピン
ジャックプレート:千石電商で購入(長方形)
ステッカー:山口県出身マスロック・ポストロック・オルタナティブロック・バンドelephantのステッカー

テレキャスターはエレキギターの中では比較的パーツが少ないギターというのもあるが、元のパーツから半分近く入れ替わっている。他に変えるとすれば動かすとぐらつくスイッチャーくらいだが、使えるうちはそのままにしている。

まとめ

1年の年月を経て初めて改造したギターは、自主練習やバンド練習に使っている。元は高価ではないギターだが、「音が良い」とメンバーからも褒めてもらった。
また、その見た目の良さから写真撮影にも持ち込んだ。noteのアイコンに使っている写真にも、その一部が見える。

既製品の再塗装は、作業に使う場所の確保や作業した後の片付けが非常に大変ではあるが、その分見た目も劇的に変えられるし、手間がかかった分だけ愛着も湧いた気がする。
また、パーツ交換は変えることはもちろん、探して選ぶ時間も楽しい。既製品にはない組み合わせを楽しむことも出来る。

もし、手元に使っていないギターがあったら、ついヤフオクやメルカリで買ってしまったギターがあったら、改造に挑んでみてはいかがだろうか。
ちなみに私は、数年前にヤフオクで落札したまま放置していた、塗装が剥がされたGibson フライングVをひたすらヤスリで削っている所だ。

参考にした動画・書籍・サイト

恐らく、ギター改造の動画をアップしている人では日本で一番有名であろうすみす氏のチャンネル。モチベーションアップや作業手順の参考にしている。

ギター改造についての記事が多いサイト。作業手順や必要な道具を一通り紹介しているため、何をすれば良いか分からなくなった時によく読んだ。

自身のバンドGEEKSやクリエイターチーム月蝕會議でも活躍し、完全自作したギターを実際に利用しているエンドウ氏の著書。図解付きで、作業手順で失敗した所とそのフォロー方法も書かれており、「失敗してもある程度はなんとかなるんだ」と励ましてくれる。

効果効能として、欲しい機材を買ってはしゃぐ私か好きな服を着てはしゃぐ私が見られます。買ったものは記事にします。よろしくお願いします。