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【音量以外でメロディを浮き立たせるには?】 〜メロディを浮き立たせる原理〜

メロディが浮き立たない…

ごちゃごちゃする…

特に吹奏楽ではたびたび
問題となるテーマですよね。

いろいろな原因があると思いますが
伴奏を抑えてメロディも出してるのに

今ひとつ浮き立たない…

というケースもありがちだと思います。

今回音量バランスの調節だけでなく
メロディを浮き立たせる方法について
考えみたいと思います!

そもそも音楽だけに限らず
浮き立たせたいものが浮き立たない状態とは
どんなものでしょうか?

一つ言えるのは

【周りのものと似ていて区別がつきにくい】

状態です。

当たり前といえば当たり前なのですが
少し具体的に例を挙げると

周りと似ていると区別がつきにくくなる
要素は…


・色が似ている

・形が似ている

・大きさが似ている

・距離感が似ている

・質感が似ている

・キャラクターが似ている

これらが似ていたら
見つけるのが困難になりますよね?

これを例えば

・絵や写真 、デザイン

・舞台や映画

で考えてみても

登場人物や絵の主題が
脇役や背景と
似通っていたら当然
埋もれて浮き立ちませんよね?

これを音楽に当てはめて考えてみると

・色が似ている→音色が似ている

・形が似ている→フレーズの歌い方の形、音型

・大きさが似ている→音量

・距離感が似ている→音色、音量

・質感が似ている→音色、発音・タンギングの種類、質感

・キャラクターが似ている→それぞれの声部ごとの表現しているキャラクター

こんな感じに
置き換える事が出来ると思います。


こうして考えてみると
音量以外でメロディを浮き立たせる
方法がいくつか見えてきますね。

音量以外でメロディを浮き立たせるという
テーマでしたので
音量をすでに調整したとすると

他の要素で1番
影響力が大きいのは

【音色の種類】

です。

音量バランスをとっても
浮き立たないのは

【メロディと伴奏の音色が似てるから】

【メロディと伴奏の音色に差がないから】

が大きな原因です!


例えばメロディが華やかな音色で
演奏していたとして
その他のパートが
メロディと同じ華やかさや
音色で演奏していたら

やはりメロディは
いわゆる保護色的な感じになり
目立たなくなってしまいます。


メロディがしっとりとした音色で
演奏しているのに
伴奏が硬い音色や変に明るい音色で
演奏していたら
伴奏が音量を抑えていたとしても
そちらの方が悪目立ちして
メロディの音色が埋もれてしまいます。

ということで
メロディを浮き立たせるためには


【メロディと伴奏の音色の違いをはっきりとつける】

事が必要になります。

いろんなケースがありますが
基本的には


・メロディは伴奏より明るい音色で


・伴奏はメロディより落ち着いた音色で


こうする事でメロディと伴奏に
音色による差が生まれ
区別がつきやすくなり
浮き立ちます。


これは

・メロディは伴奏より明るい音色で

→メロディは伴奏より息のスピードを速く


・伴奏はメロディより落ち着いた音色で

→伴奏はメロディよりゆったりとした息のスピードで

とも言い換えられます。


そして
曲想によっては
当然メロディに暗めの音色
落ち着いた深い音色、淡い音色など
必要になってくるので

その場合
伴奏はメロディの
落ち着いた音色を基準に
メロディよりさらに落ち着いた
音色を見つけることが
大切です。


これは究極的には

【各パートが役割に応じた音色で演奏する】

ということに行き着きます。


その曲想に合った

・メロディらしい音色

・内声のハーモニーらしい音色

・ベースラインらしい音色

・オブリガードらしい音色

・リズムパートらしい音色


それぞれのパート、声部が
それぞれの役割に相応しい
音色で演奏することができれば

結果的に音色の違い、差が生まれ
保護色のように
同化してしまうことなく
それぞれが
差別化されて浮き立つことになります。


そしてさらに
これに音量、音色以外の残りの要素
を加えることによって
より一層差別化され
浮き立つようになります。

先ほど挙げた

・形が似ている→フレーズの歌い方の形、音型

これはメロディが主張を持って
豊かにフレーズを表現していれば

周りの伴奏の動きなどに対して
変化のある音の動きになるので
立体的に浮き上がるようになります。

逆にメロディが平坦に演奏していると
伴奏の伸ばしや動きと
差がないため
やはり同化して
目立たなくなってしまいます。


次に

・キャラクターが似ている→それぞれの声部ごとの表現しているキャラクター


これは先程の


【各パートが役割に応じた音色で演奏する】


と近い話しになりますが


今度は


【各パートが役割に応じたキャラクターで表現する】


ということになります。


その曲想に合った

・メロディらしいキャラクターの表現

・内声のハーモニーらしいキャラクターの表現

・ベースラインらしいキャラクターの表現

・オブリガードらしいキャラクターの表現

・リズムパートらしいキャラクターの表現

こうすることで
それぞれのキャラクターが立って
同化することなく
調和するようになります。


映画やドラマで
個性豊かな登場人物が
それぞれのキャラクターを
色濃く演じることで
それぞれが印象深く
魅力的に
それでいて主役が引き立ってる
のと同じイメージですね。

もし特徴が薄い
似たようなキャラしか
登場しないドラマだったら
見分けもつかないし
覚えられないし
魅力もないし
全く面白くありませんね笑


次に

・距離感が似ている→音色、音量

これは
絵画などで使われている
いわゆる

【遠近法】

のイメージです。

上の葛飾北斎の絵のように


・手前にあるもの

・少し遠くに、奥にあるもの

・遠くにあるもの


みたいな感じで配置される事で
奥行きがでて
手前のものは強調されて
見えますよね。

そしてこの距離感は
大きさによってだけではなく

色も手前のものは濃かったり
鮮やかだったり

遠くのものほど薄かったり
淡い色で描かれる
事で遠近感が強調されます。

音楽に置き換えると

距離ごとに
音量、音色を変えて
演奏することで
遠近感が出てきます。


・メロディは手前に→音量を伴奏より大きく、音色と濃く、鮮やかに


・伴奏の動きは少し奥に→メロディより少し抑えて音色も少し落ち着いたタッチで


・ハーモニーの伸ばしは
色のある背景のように遠くに→他の動きより抑えて音色も淡いタッチで

こんな感じで音楽でも
絵画のように遠近感をつけることができます。


そして最後に

・質感が似ている→音色、発音・タンギングの種類、質感


これは例えば

・柔らかい質感のものの中に硬い質感のものがある場合

・つるつるとした滑らかな質感の物の
中にザラザラしたものやゴツゴツしたもの
がある場合

異質なものがあると
目立ちますよね?

これを音楽に置き換えると

発音、タンギングの種類を
硬いものや、鋭い尖ったものにしたり

音色をあえて硬めにして
少しきめの粗い音色にしたり

特徴的な音にすることで浮き立たせる
ことも方法の一つです。

(ミュートをつけることやホルンのゲシュトップなど金属的な音や異質な音にすることで
際立たせるのも原理は同じですね)

曲想の種類によっては
このような表現が必要になる場面
があると思います。

あと今回含めなかったのですが

【音程を明るめに少し高めにとる】
という方法も存在します。

特に曲の中でソロを演奏する時
コンチェルトを演奏する時
はあえて僅かに
明るめに高めに音程を取ることで
オーケストラ、バンドから
浮き立たせる
ということもソロの人は
使ったりします。

逆に音程を暗く、低く取ってしまうと
バンドに対して
埋もれてしまう上に
ぶら下がって聴こえてしまうので
これは最も避けたほうが
いいことでもあります。

ソロではなく
パートとしてのメロディの時も
上ずって聴こえるのも
問題はありますが
自然なら範囲なら
その方が効果的な場合も
ありえます。
それよりも低くなる事だけは
避けた方がいいとは言えます。

少し高度な技ですが
予備知識として頭の片隅にあると
役立つことが
あるかもしれません。

ちょっと話題がそれましたが

以上

まとめとしては

音量以外でメロディを浮き立たせるためには


【メロディと伴奏の音色の違いをはっきりとつける】


【メロディと伴奏のキャラクターの違いを
それぞれはっきりと表現仕分ける】


この2つが大切です!


そしてさらに究極的には

【各パートが役割に応じた音色とキャラクターで演奏する】

こうする事で
それぞれがバランスよく
役割を果たして聴こえ
すっきりと聴こえると同時に

音楽的にも
とても魅力的なものになります!

練習、次第するときに
今回挙げた
それぞれの要素を
意識しながら
いろいろと試してみると
新たな発見があると思います。

そして
奏者にもこの考えや意識を
浸透させると

自然に奏者側で
できる調整も増え
相乗効果で
自発的な演奏と
時間の短縮に繋がると思います!


以上少しでも何かのお役にたてば
幸いです(^^)

最後まで読んでいただき
ありがとうございました!


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