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(社会人基礎力)規律性

「社会人基礎力」と言う言葉をご存知でしょうか。

平成18年2月、経済産業省では"産学の有識者による委員会"にて「職場や地域社会で多様な人々と仕事をしていくために必要な基礎的な力」を下記3つの能力(12の能力要素)から成る「社会人基礎力」として定義づけたものです。

図23

以降、大学や一部の塾などでも、学生に対して新社会人となるために育成を進め、また企業なども動向調査に協力し、毎年

「どのような新社会人を求めているか?」

と言った情報を公開するようになりました。

いわば、新卒採用の基準策定に一役買っている概念です。

採用者をただの「金稼ぎの駒」とするだけならば、技術力だけあればよいのでしょうが、「人材」として見るならば、そうはいきません。

将来、当社にを担うリーダーシップを発揮してもらうためには、その土台となる基礎力が構築されていなければなりません。教育などもそうですが、そもそも基礎力豊かな先輩や上司に恵まれなければ、その部下たちも豊かには育ちません。


そのような基礎力群の中、「チームワーク力(組織力)」の能力要素の1つに『規律性』というものがあります。これは基礎力というよりも社会人としては持っていて当たり前のこと、つまり一般常識やマナーといえます。

一人の人間として社会のルールや約束を守って生きるのは当然のことで、これができないと職場や地域社会の一員として受け入れられない可能性もあります。

単に約束事を守るだけなら誰でもできますが、情況に応じて自分の行動を律することが社会人としては求められます。他人が見ていない場所では、仕事をサボる…と言ったようでは、規律性があるとは口が裂けても言えません。

社会人基礎力では、規律性を「社会のルールや人との約束を守る力」と定義し、行動例を「状況に応じて、社会のルールにのっとって自らの発言や行動を適切に律する」としています。

子どもの頃から言われ続けているような内容ですからいまさら言うことでもないでしょうが、

 ・社会のルールを認識し
 ・そこから外れた行動は取らない
 ・他人との約束は守る
 ・さらには他人に迷惑を掛けない

などを心がけたいものです。

これらは社会で生きていく上では最低限必要なことで、そもそもこの程度のことができなければ人からの信用をなくし、社会から受け入れられなくなるでしょう。

特にビジネスの現場で約束を守らなければ、それ以降は仕事がなくなるといった事態にもなりかねません。ルールや約束を守ると同時に、仕事に対して真摯に取り組むことも規律性といえると思います。

社会人として仕事をすることは顧客に対して商品やサービスを提供することですから、手抜きは許されません。

さらにこうした仕事に対する姿勢や取り組み方のほかに、挨拶をするといったことも含まれます。当たり前のことを当たり前のようにできることは最低限必要です。

 「水は低きに流れ、人は易きに流れる」

の言葉にあるように、ついつい人は楽な方へと流されがちで、その過程でルールを破ったり、手を抜いたりしてしまいます。

しかし、そうなりそうな時にこそ、自分を律する気持ちを強く持たなければなりません。これが社会人基礎力で求められる規律性なのです。少なくとも、社会でリーダーシップを発揮する人間、発揮すべき人間にはこれがなければ始まりません。

「規律性」では一般に、職場規律の遵守の程度を評価しますが、最近では公務員倫理の遵守を含めるところも多く、またコンプライアンス(法令やルールの遵守)の視点を取り入れている組織もあります。

たとえばインサイダー取引などで社会的に罰せられるのは、まさしく規律性を守らなかった末路です。

それは個人だけではなく、企業としても同じことが言えます。社会に認知される会社であろうとする以上、これからはコンプライアンスの遵守と言う当たり前のことくらいできなければ、先がありません。
 
「規律性」は気持ち次第です。

甘えが強い人ほど、規律性を重んじません。
まずは普段の考え方や行動を振り返ってみて、

 ・社会のルールや人との約束を守っているか
 ・やるべきことに真剣に取り組んでいるかどうか

などを確認してみましょう。そして、もし社会のルールに反した、いい加減なことをしていたらすぐにやめることです。自分の気持ちをしっかりと管理することさえできれば、他には何もすることはありません。また、自分だけが規律を守るのではなく、周囲の人たちに対しても守るように促すことも必要になります。

ただし、何でもかんでもルールに縛られ過ぎるのも困ったものです。

ルールは守るべきものではありますが、所詮は人が作ったものですからルール側が間違っていることもよくあります。それに時間が経過すれば、現実とルールが乖離することもあるでしょう。

ルールは「作っておしまい」ではなく、作って運用し始めてからの運用・保守こそが最も重要になってきます。だからこそ、縛られ過ぎるのは危険なんですよね。明らかにルール側を正す必要があると思ったら、盲目的にルールに縛られるのではなく、ルールを改める方向で努力しなければなりません。

基本は「状況に応じて」柔軟に対応することが望まれるんです。

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