見出し画像

「何かを始める」ときのコツ

どんなことであっても、「まず、始めてみる」ことが大切です。

ですよね?

動き出さなければ、絶対に結果は出ませんし、結果を積み上げなければ「できる」か「できない」かを論じること自体が"嘘の塊"にしかならないからです。やったこともないくせに、なんで「できる」とか「できない」とか言えるんだ?って話です。

そんなときに、「何から始めるか」を決められずつまずいてしまう人が多いようです。そう、実は重要なポイントは、

 「何から始めるのか?」

です。何かを始める時、躓くポイントはいくつか存在します。

 ①「やる or やらない」で決めあぐねている
 ②「やる」と決めたけど、何からやればいいかわからない
 ③「やり方」がわからない

この3つです。多くの人は①で躓きます。「やりたくない」から、やらなくていい理由ばかり探します。これがいわゆる『言い訳』です。

今回は①についてはいったん置いておきましょう。①において「やる」と決めた後の課題に対する解決のコツについて触れたいと思います。

疑似体験で心のハードルを下げる

何か新しいことをやれば楽しいような気がするし、「やるべきだ」「やった方が良い」と思っているけれど、具体的に何をしたらいいのか見当が付かない、という人もいると思います。

しかし、あまり難しく考える必要はありません。
考えすぎると、余計にこじれます。

もしそれでも難しく考えてしまいそうなら、「やりたいこと、やらなくてはいけないことがあって困っている誰か」を、何でもいいので手伝うところから始めてみるといいと思います。

「ちょっとこれ、手伝ってくれない?」などと誰かに言われたら、それは小さく始める(スモール・スタートをする)ビッグチャンスです。

 他人を手伝う

と言うことに面倒くささや億劫さを感じて、基本的にはそういうことに手を出さない…と言う人も多いかとは思いますが、それは、未知の領域に対する「お試し」チャンスを放棄していることに他なりません。

けれども、他人を「手伝うだけ」と言うのは、それだけで気が楽です。

不誠実でいい…と言うわけにはいきませんが、自分に達成責任が直接無いと思うだけでも、ものすごく気が楽になるはずです。一度も経験がないものであればあるほど、将来、いざ同じようなことを求められたときに、右往左往しなくて済みます。

「手伝い」と言う疑似体験は大事にしましょう。機会があれば、相手に迷惑の掛からない範囲で貢献しておくのがベターです。私なら

 「午後から…2~3時間ほどしか時間が取れないかもしれませんが、
  それで良ければお手伝いしましょうか?」

と言って、あえて時間制約を設けて提案します。
なぜかって?それは

 飽きたら、苦痛になりそうだから(笑)

もし単純作業とかなら、2時間持てばいい方かなー?休憩間に挟んで…3時間くらいにしとこっかなー?2時間もやってれば、慣れるよなー、みたいな感じで考えています。それでいて、経験値だけちゃっかり得てしまおう、ついでに相手にほんの少しだけ貸しを作っておこう、と。

オンラインゲームなら、パーティ組む際に寄生させてもらってるイメージです。でも、ゲームと違って、相手の重荷になるわけではなく、多かれ少なかれ貢献もしますし、こちらにとっては経験値が積めて、お互いにとってwin-winとなるはずです。

うん、やっぱり手伝いって、いざ自分が助けを頼まなくてはならなくなった時に相手に頼みやすくなりますし、あらかじめ疑似体験することで『いざ、何かを始める』ときの不安も拭い去れるなら、一石二鳥ですよね。


口にすべきは「No」ではなく「条件付きYES」

言い訳というのは、殆どの人が

 「ある条件が満たせていないから、実施できない」

という論調になっていると思います。

 「わからないからできない」
 「今忙しいからできない」

じゃあ、その「できない」条件を取り除けばできるってことですよね。新人教育などでも今までよく口にしてきましたが、基本的にビジネスにおいて依頼された側に「No」と言う選択肢はありません。

 「Yes」と言うためにはどうすればいいか?
 「Yes」と言える条件を満たすためには何が必要か?

以外に考えることを許されません。相手が企業であれ、一般消費者であれ、『売買』を行う時、相手のニーズを満たす…言い換えれば、相手が今求めている(困っている、欲しがっている、悩んでいる、etc.)ものを提供するのことで成立します。

 ・お腹が空いたから、食事を買う
 ・可愛い服が欲しいから、服を買う
 ・ミッキーに会いたいから、TDLにいく
 ・ストレスを発散したいから、カラオケにいく
 ・ひったくりにあって盗まれたから、警察にいく
 ・生活が貧窮しているから、役所にいく

ポジティブな理由のもの、ネガティブな理由のもの、なんであれニーズってのは、現状の問題または課題を解決するために存在しています。そしてニーズがあるから、売買が成立します。売買が成立するから、ビジネスとして存在することができます。

である以上、「No」と言ってしまうということは、ビジネスを放棄するということになります。安易に「No」と言ってしまうのは、商売を、あるいはビジネスを阻害するということなので、基本的にビジネスマンには許されないんですね。でも、「No」と言いたくなることもあります。これが結構なジレンマなのですが、そこで重要なのが、

 「Yes」と言ってもいいようにするためには、どうすればいいか?
 「Yes」と言いつつ「No」と同じ効果を得るためにはどうすればいいか?

という考え方です。前者は「ありとあらゆる手を尽くして、YESにするための必要条件を満たす」という考え方です。私は常日頃、そうしてます。

世の中のすべての人間が不可能なら、誰がやっても不可能です。ですが、誰かができるのであれば、今の自分に何かが不足しているだけで、それを満たせばできるはずなのです。

ですので、「何が足りていないのか?」「その不足分をどう満たすのか?」という課題から、解決方法を模索します。たとえば、知識が足りていないなら、

 ・自ら知識を身につける
 ・知識を持った要員をアサインする

といった手段がありますよね。時間が足りないなら

 ・対象スケジュールの日程を調整する
 ・対象以外のスケジュール日程を調整し、対象を滑り込ませる

という方法もあるでしょう。どれだけ対策方法をストックしておけるか?というリスクマネジメントを意識しておけば、色々方法は見つかると思います。いざとなってから慌てるのではなく、いざとなっていないときに色々と想定しておくのです。

後者は、具体的には「No」というための言い訳を逆転して読む方法になります。

 言い訳「〇〇だから、できません」
        ↓
 逆転 「〇〇の条件さえ満たせば、できます」

ということです。そのうえで私は、新人教育の中でいつも

 「ビジネスに無条件の「No」はない。「No」は絶対に言うな。
  いかなる理由(条件)があったとしてもやっぱり「No」は言うな。
  どんなにハードルが高くてもいいから「条件付きYes」と言え。
  言い方を変えるだけだ。
  もし、「No」と同じ結果に誘導したいなら「条件」を吊り上げろ。
  相手に諦めてもらえ。」

と言っています。

なぜか?

相手が納得するからです。納得を引き出せなければ、必ず不満(ストレス)が残ります。不満やストレスはいずれ不信感に変わり、次からのチャンスが激減します。取引先との間であれば「機会損失」に発展しかねません。

とは言え、結果的に提示する『条件』を満たせないのであれば相手に諦めてもらうしかありませんが、「Yes」と言うための最大限の努力を怠った時点で、社会人としては三流になってしまいます。

ですから、私は基本的に「手伝ってくれない?」に「いいよ」と即答でこたえるようにしています(そのうえで「あ、でも〇〇終わってからでいい?」「あ、〇〇わからないんだけど、教えてくれる?」といった条件の検討と、提示は絶対しますが)。

こうやって依頼等されることは、私にとって大きな自信になります。「なるほど、この人は私のことを"できる"と見込んでいるんだな」と認識するからです。その背景に「楽するために利用してやろう」と言う思いがあったとしても、関係ありません。少なくとも「できそうにない」人には依頼するはずもないからです。

そして、「条件付きYes」の言い方次第で「No」と同じ効果を得られる方法です。これが意外にも重要です。

たとえば、

 「今日、空いてる?今日中にこれ終わらせないとならなくて…
  〇〇手伝ってほしいんだけど」

と言われたとしましょう。そんな時、

 「今、手が離せないんでできません」

というのではなく、

 「ちょっと手が離せなくって…定時後でも良ければできるんですけど…」

と言えば、相手は間に合わないと感じて諦めてくれるかもしれません。とにかく「できる」と言うためにはどんな条件を満たさなければならないのかを説明しましょう。それによって相手は「納得」をして諦めてくれます。どうしても手伝ってほしければ「何とかしろ」ではなく、相手の方からスケジュール調整してくれるでしょう。


口にすべきは「Yes」ではなく「条件付きYES」

同じように「No」だけでなく、「Yes」にも気を付けなければなりません。特にビジネスの現場では、無条件での「Yes」を多用すると、それまでの友好なビジネス関係を壊してしまいかねません。ですから、

 「同様に、無条件の「Yes」もない。「Yes」とは言うな。
  "無条件"と言う名の条件は、全責任を背負う覚悟がある時だけだ。
  どんなにハードルが低くてもいいから「条件付きYes」と言え。
  相手に貸しを作れ。些細なものでもいい。
  貸しが無ければ関係性は維持できない。
  ビジネスにおける無条件Yesには、後悔と弊害しかない。」

とも言っています。

なぜなら、無条件Yesは相手の心に『甘え』を生んでしまうからです。「頼めばやってくれる」「何かあったら、あの人に言えばいい」みたいな認識を持たれると、いつまで経ってもしっかりと自律した大人の関係性が構築できません。

どんどん多忙になり、疲弊していき、どうしても難しくなって断った瞬間、疎遠にされたりします。そのくせ、相手は甘えるだけの存在と思ってしまって、こちらが助けを求めても、助けてくれたりはしないようになります。学生時代のパシリと同じような軽い関係になってしまうのです。

些細な貸しでよければ

 「今度一杯おごれよー」
 「貸し1だからな?」

で充分です。相手にそう感じてもらうことが目的で、本当におごってもらおうとか、貸しを返してもらおうなんて律儀に要求する必要もありません。「いつも甘えられるだけの存在ではない」「いつかは自分も返さないといけない」と思ってもらうことが重要です。

自分の役割、役責に他人を巻き込んでいるのは本来異常事態で、通常ならば他人に頼ることなく完遂させなければならないものだ、という責任意識をしっかりと相手にも持ってもらう『教育』も兼ねておかないと、どんどん組織の風土がゆるくなってしまいかねません。

「無条件Yes」を多用する人は、言い換えれば「人をダメにするソファ」と同じです。相手を甘やかすだけ甘やかして、どんどんダメにしていくのです。


経験値が豊富なものこそフットワークが軽い

私はある時期まで、自分の強みは「どんな時でも客観的に判断や決断ができること」だと思っていました。抽象的に言えば、

 情報を収集し、
 その情報を整理・加工し、
 再利用する

ことに集中し、適切な決定をおこなうことに長けていると思っていたのです。ところが、これは純粋なエンジニアを卒業する前後には顕著になったのですが、任される仕事は、"客観的な分析・評価"よりも"何かを構築する"方が上回っていました。構築と言うのは、なにもソフトウェアやシステムだけの話ではありません。新しい手順、新しいルール、仕組み等、色々なことです。

その理由は、ゼロから考える仕事が面倒だと思う人が多いからかもしれませんが、私がわりとそれを苦にせず、やってしまうということもあるのかもしれません。それすらも、昔から断らずに実施し、培ってきた様々なノウハウがあってできていることなので、決して才能なんていうものではありません。苦労と失敗の経験値が他の人よりちょっと多いだけなんです。

ですが、世の中の多くの人は「したい/したくない」「できる/できない」の選択肢が自分の中にあると勘違いして「No」を使い続け、チャンスを棒に振っているような気がします。

その結果、色々な経験をする機会に恵まれず(というか機会を捨ててしまっていて)できなくなってしまっているだけなのではないでしょうか。

つまり私は、周りの人から見た私は「ゼロからなにかを構築ができる奴」というのではなく、断らずに色々「条件付きYES」と言って培ってきたがゆえに「経験値が豊富で、器用に立ち回れる奴」だと思われているのではないかと思うんです(そして器用貧乏になったわけですが)。

もちろん、そういったことに関係なく、"押し付けるだけ押し付けて、自分が楽をしたいだけ"の人も後を絶ちませんから、必ずしも毎回経験値が活きるわけでもありませんし、時に失敗もあれば、相手の期待する及第点を採れないこともあります。

しかし、それすらも押し付けられたがゆえに得られた貴重な経験値ですので、フタを開けてビックリ、経験を積んだ自分だけが唯一成長していた…なんてこともよくあります。

ですから、未知/未経験の依頼は、よほど条件が厳しくない限り、大抵のことを率先して(ほんのり条件をつけながら)受けるようにしています。決して相手のためではなく、自分の経験値を増やすため、その経験値がいずれ来たる「何か」を始める際にほんの少しだけ背中を押してくれるきっかけにするためです。

もしも、最初の頃にそういった仕事を任せてもらわなければ、それを評価され、手伝いであれ何であれ依頼され、そして「ありがとう」と誰かに言ってもらわなければ、私は自分の中にある別の側面に気付けなかったでしょう。

そして、さほどイケてないような、他にあると勘違いしていた能力にこだわって、仕事を広げられずにいたかもしれません。

もしも「自分、〇〇得意なんでやります」と言葉だけでアピールしていたら、「あいつは〇〇!〇〇!って言ってばかりだから、他の仕事を頼むのはやめておくか」と思われてしまっていたかもしれません。

ですので今の私は、相手に話すときは

 「何ができます」というアピールではなく、
 「何をしました」という事実報告のみするようにしています。

それを知った人は

 「あいつ、あんなこと経験しているなら、
  これもできるだろうし、頼んでみようかな」

と考えてくれると思うからです。きっとあちこちで新たな仕事を打診されるのも、こんなきっかけで起こることが多いのではないでしょうか。そうした頼まれごとをこなしていくうちに、得意なことが増えていくはずで、そういう経験を率先して積んでいくことで、いざ「新しい何か」を始める時にも、フットワークが軽い状態で行動を開始できるのではないでしょうか。

いただいたサポートは、全額本noteへの執筆…記載活動、およびそのための情報収集活動に使わせていただきます。