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成果を上げるには"仕事の手段"としての会議の生産性を上げること

知識労働/頭脳労働における生産性向上の基本は、

  行なう必要のないことは行なわない
 ≒ 無駄を省く

ことです。言い換えれば、必要十分+最小限の仕事のみに注力することを指します。

常に「それをしなければ、目的は果たせないのか」を考えなければなりません。そのなかでよく題材に使われるのが、そこかしこで頻繁に行われている"会議"です。

会議の多くは、事業の発展とはほとんど関係のないことに費やされていることをご存知でしょうか。「そんなことないっ」と反発したくなる人もいるかもしれませんが、本当にそうですか?

「理想的に設計された組織とは、会議のない組織である。
 誰もが、仕事をするために知るべきことを知っている。
 みなが、仕事をするために必要なものを手にしている。」
(ドラッカー名著集(1)『経営者の条件』)

と言っているのに、真っ向から反論できるだけの根拠なんて、どれだけの人が持っているのでしょう…。

会議は仕事。だから生産性を求められる

ドラッカーに言われるまでもなく、私も会議を開かなくてはならないような仕事の仕方自体が間違っていると思っています。もちろん、どうしても会議を開かなければ業務や事業に支障が出てしまう場合は、やむを得ず開くのも仕方ないでしょう。

ですが、その「やむを得ない」状況をなぜ作っているのでしょう?

「やむを得なくならない」ような業務の仕方にすれば、そもそも「やむを得ず」会議を開く必要性すらないはずです。…なんかトンチのようですね。しかし、事実です。

それもそのはず、会議とは本来

 1人では解決できない課題や問題に対して、
 複数人の知恵を絞って一定の結論や決定を促す

ためのものです。会議を開けば開くほど、開く人にとって「会議」でなければ仕事が解決しない状況に陥っているということですから、それだけ今のポジションが実力とアンマッチを起こしているわけです。

個人で解決できるのであれば、わざわざ他人と協議する必要もありませんし、自分一人で検討し、決定すればいいだけなのですから。

それにただ、情報を共有することが目的となっている会議なんてのも、OIが相当低く、その実施効果としてはあまり期待ができません。

たとえば、ただの情報の共有などはメールのやり取りでも報告書などを用いても実現可能なはずです("ただの"…ではない場合は、対象外なのでしょうけども)。しかし、「定例会」と称して、

 「何かありませんか?」
…シーン…

なんて光景を見ると、移動時間や会議の時間に奪われた人生の欠けらの無駄なこと無駄なこと…。多くの会議はこうしたよくわからない目的のために用いられ、生産性とは程遠いところに位置付けられているのが実状です。


他人を巻き込んで生産性を落とすだけの価値ある目的

「会議は、懇親の場ではなく仕事の場としなければならない。
 生産性をあげるには事前に目的を明らかにしておかなければならない。
 目的が違えば、準備も成果も違うはずである」

(ドラッカー名著集(1)『経営者の条件』)

そもそも会議の多い組織は、構造の間違った組織です。

1人で解決できない懸案が多すぎて会議を開くと言うのであれば、そもそも能力不足による人選ミス、あるいは組織構成の立案ミスということになりますし、個人の努力不足を容認する組織であるとも言えます。あるいは顧客が価値とするものが明らかとなっていないような自信のない組織である可能性が高い場合も、このようなケースとなることが考えられます。

いちいち会議を開かないと、業務が回らないような組織になっているのです。つまり、会議を必要としない人選ができていない(または育成ができていない)ということでもあります。

組織における他のあらゆる活動と同じように、多くの人を巻き込み、生産的活動を停止させてしまう会議にも「目的」がなければなりません。原則として、目的もなしに会議を開いてはならないのです。

目的とは、それを実施するための理由であり根拠です。

実際のところ、会議には、

 ・連絡のためのもの
 ・周知させるためのもの
 ・意見を出させるためのもの
 ・決定するためのもの
 ・マネージャーがうんちくを傾けるためのもの

等色々なものがあります。
いずれも必要なものなのでしょう。

しかし、目的はさっさと果たして、一刻も早く閉会しなければなりません。会議に出ているあいだは成果をあげるための仕事が一切できない…と言うそのROI…言い換えるなら費用対効果を何よりもまず考慮すべきなのです。

特に怖いのは、会議体というものは、計画やスケジュールに反映されない点にあります。計画にないため、1人日で完了するはずの仕事が2時間の会議に取られることで、0.25人日の遅延を招き、残業過多や進捗遅延を発生させることは珍しい話ではありません。

プロジェクトにおける会議体は、コミュニケーションマネジメントの一環で、PMBOKでも定義することが求められていますが、そこでもやはり、目的や参加者、頻度、所要時間などを計画段階から定義します。なぜなら、それらの工数・コストがスケジュールにどのような影響を与えるかを、PMBOKは知っているからです。

しかし、実際にはあまり考慮されず、個々人で好き勝手に会議や打ち合わせを行います。その結果、会議体に巻き込まれる人たちの実務作業が進まず、進捗がどんどん遅延していったとしても、会議体を開こうとする人たちは後を絶ちません。


会議のルール

会議の生産性を上げるにはいくつかのルールがあります。

第一のルールは、「目的の明らかでない会議は開かない」ことです。そのためには、会議の数を強制的、自動的に半減させてみましょう。結果的に、時間の無駄遣いが減って会議の質が向上することでしょう。特に一部の個人の思いで開くような会議は絶対にしてはいけません。その目的が果たされなければ、業務に支障が出るかどうかを客観的に判断して開催すべきです。

第二のルールは、「出席者の数を減らすこと」です。あるクライアント企業では、会議の趣旨と出席すべき者の名を回覧するだけにしたといいます。他の者は、出席しようがしまいがまったくの自由としていました。

第三のルールは、「あらゆる手立てを講じて、会議の時間を短くすること」です。たとえば、キャノン電子では座らずに会議を開いていると言われていますが、疲れても座れないため、会議の目的を達したらただちに閉会する癖がついたそうです。

「会議の生産性をあげるには、セルフコントロールを必要とする。
 会議の目的を決め、それを守らなければならない。
 目的を達したら直ちに閉会する。総括して閉会とする」

(ドラッカー 『経営者の条件』)

会議も『仕事』であり、仕事である以上、何らかの結果を生み出す活動でなければならないことを強く意識するようにしましょう。

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