アラフォー上海留学日記【81日目】

5/17 金

金曜日がくると、週末の喜びとともに、あと何回か週末を過ごしたらこの生活も終わるのだなという寂寞感がわいてくる。朝9時に起きる生活にはいまだに慣れない。今日も今日とて遅刻。
黎明が6月に日本に行く予定だという。東京と箱根に行くとのことで、今、日本はなんでも安いからおすすめだよ!と言ったら、でもホテルはすごく高いよ、こんなに小さい部屋なのに…と嘆いていた。たしかに、都心部のホテル価格の高騰っぷりには目を見張るものがある。電気やガス水道を止めてなければ、私の部屋使っていいよと言えたのだが。

授業後、先生から最近遅刻する学生が多いですよと注意喚起のメッセージが来ていてぎくりとする。この一週間、ほとんど5~10分遅刻していたからだ。ちゃんと注意してくれてありがたい。来週からは気を引き締めてちゃんとしよう。

せっかくの金曜日なので、どこかへ出かけたい。レコード屋にでも行ってみるかと調べてみて、4軒ほどみつくろう。

そういえば、高円寺にある上海人がやっているレコードショップ、uptown recordsの上海店に行ってみようと思っていたんだった。
現地に行ったことのある友人からは、「入口がものすごくわかりにくくて、目印がA4ぐらいの張り紙一枚。で、地下に行ったら、掃除のおじさんとか近所のおばちゃんとかがタバコ吸いながらだべってるところがあって、それを通り越してその先にある階段をさらに降りた地下二階」と聞いている。

平武路の、住所的にここらへんかな?という建物の入口に若い欧米人が座っていたので、きっとここだろうと入ってみたら、奥にトイレがあるだけ。おばちゃんとおじさんがなに探してるの?と声をかけてくれたので音楽の店を探していると住所を伝えると、ああ、ここは117号だから115号は隣だよと教えてくれた。115号のエリアをぐるりと回ってみる。それっぽいのはないけどなあ。

もう一度117号のほうに戻ろうとした途中で、地下に降りる暗い道がある建物を見つけた。張り紙はないけど、たぶんこれだ。グラフィティを見つけて確信。

降りたところでおじさんに声をかけられ、勝手に入ったことをとがめられると思ったが、なにか探しているのか、それとも写真を撮っているのかという。こういう店を探していると写真を見せたら、ああ~知ってる、でも一年前に引っ越したよ、静安区に行ったと思う、電話して聞いてみなとのこと。電話番号はわからないのでお手上げ。

近くに系列の飲み屋(uptown record n' beer)があるとの情報を得ていたので永福路に向かう。が、飲み屋があるはずの住所には、別のウイスキーバーが入っていた。残念、やはりなかったか。ほかのレコ屋に行ってみようか踵を返しかけたところで、中から80年代の日本アイドルの音楽が聞こえてくることに気づいた。暑いしハイボールもいいなと考えを改めて入店。

ハイボールを頼み、店長さんに話を聞く。なんで日本の80年代アイドルのレコードをかけているのかと質問したら、レコードショップでたくさん売ってたからとの答え。そのレコードショップこそがuptown recordsだった。ここも、少なからずuptown recordsと関係ある店だったんだ。レコ屋はすでに東京に移転しちゃったよと店長。その東京から来ました!と前のめりに伝えた。

ハイボールは60元。うまい、喉にしみわたる。炭酸が強いからタイの炭酸水を使っているんだそうで、暑い日にとても合う上海仕様。店長は店が休みの日は长乐路や静安寺で飲んでいるそうで、休みの日にも飲みにいくほどの酒好きとお見受けした。大学時代に少しだけ日本語を勉強したが、今は「おさけ」しか覚えていないというので笑った。
ほかのお客さんがいなかったこともあり、いろいろおしゃべりしてくれたうえに、おすすめのレコ屋と古本屋を教えてくれた。炭酸水がまだ余っていたのでハイボールをもう一杯。今度は50元だった。

残念ながらuptown recordsはもうなかったが、結果、よいお店に出会えて良かった。また来よう。ほろ酔いで店を出てもまだ外は明るい。昼飲み、最高だ。

前にお茶の先生に教えてもらって一度だけ行った、おいしい焼売屋さんに立ち寄り、肉丁烧卖をひとつ買い食い。2元と安すぎるうえに、やっぱりおいしい。バス停でバスを待っていたら目の前を秋田犬が通った。かわいい。おいしい、かわいい、しあわせ。

安顺路の鸭脖店で山椒ききまくりの鴨手羽と豆腐を、近くのコンビニで初めて見たビールを買って帰る。ここのコンビニ、酒の品揃えが妙にいい。二锅头より安い白酒(アルコール52%)、初めて見た。

今日は酒も入れてしまったし、ノー勉強デーに決めた。日課の作文はやるけど、それ以外の中国語はシャットアウト。
こっちに来てから80日を過ぎ、日々ストレスのないように暮らしているつもりではあるが、100%なにもせずに無為に過ごす一日というものがないので、リセットできずに蓄積した疲労があるように感じる。鴨とビールを楽しんだあと、今日は日本のお笑いしか見ないぞ、とベッドでごろごろ。だが、不思議なもので、なにか物足りなさを感じてなんとなく中国語の動画を見始めてしまった。
中国各地のグルメストリートをめぐっている阿行さんの動画がおもしろいんだよな。おっとりしたしゃべり方なので聞き取りやすいし。勉強のためではなく、単なる娯楽として中国コンテンツを楽しむという原点に戻ってきた感がある。娯楽、重要。

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