アラフォー上海留学日記【43日目】

4/9 火

昨日は3時過ぎまで眠れず睡眠不足のはずが、なんだか頭が冴えている。早起きのストレスで調子が悪いと思っていたが、夜ふかししていないストレスのせいだったんだろうか。深夜に起きていないと調子が悪くなるなんて、生物としていかがなものかと思う。

今日は天気もよく、キャンパス内には催しものの出店が出ている。昼ごはんは带走して、春のにおいのするキャンパス内の公園で。催しもののブースから聞いたことがある音楽が聞こえてきて、脳内で必死に検索した結果、佐久間さんのANNのオープニング曲だと気づいた。誰の曲かは知らないが、日本の深夜と上海のランチタイムがつながった瞬間。

咲き始めた藤の花を見ながら校内猫を眺める。女学生からおじさんまで、猫に近づく人はみんなニコニコしていて平和だ。藤棚の下で昼寝をしている人も平和。

外はぽかぽか陽気だが、今日も今日とてテストのための復習。テストでいい点をとるために上海に来ているんじゃないし、この時間を、外に出て上海の街を楽しんだりするために充てたほうがいいような気もする。しかし、語学力が伸びている実感がまったくないので、焦りもある。ちゃんと勉強していると自分に言い聞かせるために机に向かっているような気もする。

部屋で勉強をしている最中に、ドアをノックする音が聞こえた。wi-fiをつなぎにきた人以来のノック音に、はてと思うと、手紙よ~と阿姨の声。ドアの隙間から指し込まれた一通の手紙を拾う。父からの手紙だ。1ヵ月前に出したと聞いたが、住所が欧文書きだったため届かないだろうとあきらめていたのに。
慣れない欧文でしたためたこともあるが、宛名の文字がぎこちなすぎて、字がうまいことを自慢していた父親の老いを感じる。年数を追うごとに字が震えていくのを切なく思った、祖父の年賀状にそっくりだ。三月八日未明に雪が降ったよ!と書いてあって、今日の陽気との対比に笑ってしまう。タイムラグがありすぎる。私が上海に来たときは極寒だったよな、と思い出して、今日の陽気がいとおしくなった。

水曜日にJINさんとごはんに行く約束をしているので、そのやりとりをするが、ちょっとなれなれしいのが気になる。ただの親切心、または中国人男性の特性であるならべつに気にすることはないが、異文化ゆえにそこらへんのさじかげんがわからない。一応、語学交流が目的であることを今一度強調しておくか。シンさん相手ならこんな心配をすることはないけど、やっぱり相手が同年代の男性だと、アラフォーといえども用心深くなるものだ。

2日間学校から出ていなかったので、夕飯は近くに食べに出かけた。虹桥南丰城まで行けば、21時くらいまではぼちぼち店が開いている。淮城面馆という魚の麺の店で、黑鱼面を。汁あり/なし、辛さの具合など、ぜんぶアプリから注文できるので、中国語をしゃべる機会がぜんぜんない。料理を運んできてくれたときに店員さんがなにか言っていたが、聞き返す暇もなくスッと去ってしまった。たぶん、お箸はテーブルの下の引き出しに入ってます、みたいなことを言っていた。胡椒たっぷりの謎魚麺に舌鼓を打つ。麺自体が今まで食べたなかでいちばんおいしかった。

虹桥南丰城のまわりを少し散歩する。セブンイレブン、初めて見たかも。社会主義核心価値観とセブンの看板のコントラストがよい感じ。店内にはしゃれたドリンクが並んでいて、ブランド力を感じた。

セルフレジでミスをしたため店員さんが来てくれたのだが、なにを言っているのかわからず気持ちが落ち込んだ。最初の1ヵ月は、現地の人の言葉は聞き取れなくて当然、と平然としていたのだが、1ヵ月経っても聞き取れないのはやばいんじゃないかと不安側にシフトし始めているのがわかる。いかんいかん、できること、できたことに目を向けねば。按自己的节奏来进步就行。

広東系と思しき店のメニューに、麻雀牌がポップな感じでデザインされていてかわいかった。女の子たちが好看~!と動画を撮っていたヨーグルト屋さんもかわいい。写真を撮り忘れたけど、おしゃれなお茶屋さんもあった。上海にはグッドルッキングな食べ物があふれている。

CHINA JUSTICEと書かれた看板におかしみを感じながら、近くのスーパーへ。お惣菜が値引きされている時間帯だった。ここのスーパー、ちょっと遅めの時間に向いているかも。こういうちょっとした発見で、けっこう気持ちは上昇するもんだ。今日はへんに頭が冴えていたから余計なことを考えすぎたかもしれない。早起きのストレスで調子が悪くてぼーっとしているのも、じつは悪くないのかも、と思った。これもある種のジャスティス。





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