アラフォー上海留学日記【152日目】

7/27 土

今日はTと昆山市まで遠征飲みの予定である。15時待ち合わせなので、その前にしっかり昼食をとらねばということで、魚ののったサラダを外卖した。これ当たり。やっぱり肉より魚だよ、魚のありがたみにむせびなきたくなる。

11号線の曹杨路のホームで待ち合わせて、終点の华侨站まで約1時間の旅。11号線は上海ディズニーに行くための路線として有名だが、ディズニーのある東側ではなく西側は完全に校外の住宅街。前にシンさんと来た南翔古镇や嘉定をも通り過ぎ、電車はさらに未知の郊外へ。华侨站につくと、支付宝の交通システムがすでに苏州仕様に変わっていた。昆山は上海の隣の市ではあるが、これくらいの距離なら上海の中心地までも通勤圏内である。11号線の郊外には一戸建てもあるし自然も豊かだし、東京で言うと立川くらいの感じでこれから人口がどんどん増えていきそう。
苏州の地下鉄に乗り換える。真新しいホーム、真新しい改札で、力を入れて開発していることがうかがえた。「Metro大都会」か「苏e行」というアプリを入れておくと、そのままスムーズに乗り換えができるようである。
苏州の地下鉄の長さにおののく。始発から終着駅まで乗ったらどれくらい時間がかかるんだろう。1駅だけ乗車し、花溪公园站で下車。掲示してあった地図が立体的でひじょうにわかりやすい。一発で街の雰囲気をつかめてありがたかった。

花溪公园をぶらぶらする途中で上野公園みたいな光景に出くわした。ただ、ハスのでかさは中国らしいというか。そして、池があると魚を釣りたくなるのはどこの世界も同じ。おじさんたちや少年たちが棒を水に漬けて獲物がかかるのを待っていた。

ここらへんは農村開発のモデル地域だったらしく、その展示館があったのだが、展示を見ている途中でいきなり消灯されて笑う。時計を見ると16:50だ。17時閉館だとしてもまだ早いうえに、中に人がいるというのにサクッと消灯してしまうのが、ザ・中国スタイル。
そろそろ目的の市場のほうへ行くか、ということで公園を後にする。こっちの警察は市民とよくだべっている気がする。のんき。昆山市特有のシェアバイクを見つけ、違う市に来たんだと実感して興奮した。前輪にロックがあって、それを自転車置き場にがちゃんとはめる仕組みになっていた。

华侨集贸市场着。続々と屋台を引いた人が敷地内に入ってきてワクワクする。まずは市場内をぐるっと見学。酒屋があったので、いくつか試飲させてもらい、白酒に桑の実をつけた酒を購入した。果実酒みたいな風味を想像していたら、100%白酒のパンチのある味でおどろいた。いちばん小さな容器に入れてもらって30元。看板ネコはすやすやお昼寝中である。

それにしてもこの市場、犬猫が多い。道のまんなかでうんこをしている犬がいて笑った。その横で路上にまな板を置いて肉の仕込みをしている人がいてさらにおもしろい。かわいいかわいいと犬をなでさせてもらうと、飼い主と思しきおじさんたちもご満悦のようすだった。

肩や首を「調理」してくれる按摩の店がちらほら。あと、日用品がそろう市場なのに成人用品の店があったのは意外だった。中はアダルトグッズの自販機。こんなところで買ったら、近所の人にバレバレだろうに。

市場の2階は住居スペースと、かつては店舗があったと思しき廃墟。外で調理している人あり、休憩している人あり。2階から見えた果物屋の桃がおいしそうだったので、ひとつ購入。中国の平らな桃がとてもおいしいと聞いていたのだが、どうもこの桃は違うみたい。路上でネギを洗っているおばさんにお願いして桃を洗って食べる。りんごと桃のあいだみたいな爽やかさで、暑さにほてった体にちょうどいい。中国人のなかで定評のある无锡産の桃も山盛りで売られていた。

服の修理屋があったり、さっき酒を買った店よりローカル度の高い酒屋があったりと、市場のなかは見ていて飽きない。肉や魚が売られていないので、においが苦手な人にもおすすめできる市場である。

18時すぎ、そろそろ屋台も増えてきた頃合いだ。ビールとおつまみを買って、宴スタート。蝉の串やホビロンなども売っていたが、イカ焼き、海鮮の花椒汁漬けなど無難なものをチョイスした。あと、新疆で食べられなかった、胃袋みたいなものに何かを詰めた食べものも。
イカゲソが一本一本串に刺さっているのがおもしろかった。とうもろこしが一粒一粒串に刺さっているのを見たときも思ったが、なぜこんな面倒なことをしてまで串に刺したがるんだ。

広場みたいなところに陣取り、舌鼓を打つ。タコやイカ、貝などの海鮮を花椒の効いた汁に漬けたものが尋常じゃなくうまい。ぴりっと辛いが、私の苦手な唐辛子の辛さじゃない。イカ焼きはバーベキュー味のスナック菓子みたいなジャンクな味でビールが進みまくる。胃袋に詰められていたのは粗びきの豚肉。ソーセージ感覚で、中華みのあるタレといっしょに食べるとたいへんおいしい。ここの夜市、レベル高いじゃないか。
この夜市でいちばん映えるのは上半身裸のおじさんだ。ビールはダース買いか、でかい容器に入れてもらうのがデフォルト。みなものすごい勢いでビールを流し込んでいる。

500ml缶3本と、Tが買った紹興酒を空けるとけっこう酔っぱらってきた。10時前には電車に乗ろうということで、後ろ髪をひかれる思いで市場を後にする。
上海の中心地までまた1時間の電車の旅。ストロングゼロみたいな500ml缶と豆を買い、車内で飲酒を続ける。地下鉄は飲食禁止なのでちょっと心配だったが、ガラガラでよかった。ダメな日本人である。
交通大学で下車し、衡山路のほうまでよさそうなバーを探して歩く。このエリア、夜にくるとこんな感じなのか。あまり店がやっておらず静か。衡山路あたりでようやく店を見つけた。シングルモルトウイスキーの高いこと高いこと。安めのラムのソーダ割りをがんがんあおり、蚊に刺されまくりながら深夜まで痛飲。
Tは、きのう会ったGさんと同じ33歳。結婚や子供のことはまだ考えておらず、いまはとにかく仕事に集中ですねという話を聞いて、同じ33歳なのにこんなに男女間で差があるとは…とめまいがした。ある程度力もついてきて体力も気力もまだまだある状態で仕事に集中できるって、ほんとうに恵まれている。女性はほかのことも考えなきゃいけないのにね…

ここでも後ろの客がドデカビールサーバーでビールを飲んでいる。夜はまだまだ終わらない。結局、何杯飲んだのか、会計はどうしたのか、どうやって帰ったのか記憶がない。ただ、足には蚊に刺されまくった跡が無数に残っており、かなり長い時間あの店にいたことだけは理解した。酔いがさめた今、かゆさだけが残っている。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?