アラフォー上海留学日記【149日目】

7/24 水

中国の若者を表す言葉に45度というものがあるそうである。垂直方向(Y軸)をがんばって努力する上昇志向の人、平行方向(X軸)を諦めて横になる人としたとき、45度の人というのは頑張りすぎず、かといって諦めきってもおらず、理性的な選択ができる人という意味で使うらしい。

情绪价值という単語の解説時に先生が、僕は内向的だから情緒的共感を呼ぶの苦手だけど、授業中は生徒の情緒を動かせるように話す必要がある、じつは授業が終わるとどっと疲れるんですよね、みたいなことを言っていておどろいた。明るいキャラクターだと思っていたのだが、そうだったのか。それを学生にぶっちゃけてしまうところも日本人の感覚としてはけっこう衝撃。

授業も終わりかけのころ、房子を房间と言い間違えた学生がいたことから、中国の部屋事情についての解説が始まった。結婚するとこういう間取りの部屋に住みますね、と画像を見せて説明していた先生が、僕は現在こういう部屋に住む予定はありませんと笑ったあと、11年付き合っていた彼女と別れてね…と語りだした。カナダ留学中に出会った彼女はカナダに残り、先生は中国に戻って遠距離恋愛をしていたんだそうだ。今日は先生の内面がぽろぽろ出てくる日。

授業後、阿姨のやっている果物屋にフレッシュジュースを買いに行く。买一送一(ひとつ買うともうひとつもらえる)だよと言われたが、ひとつで十分ですと言って断った。2つもらって誰かにあげればよかったかな。ここでもドデカマスカットが売っていたので、このぶどう大きいですねと阿姨に言うと、半分に切ってあげるよ! どれがいい?と買わざるを得ない雰囲気に。33元。けっこう高いじゃないか。

19時ちょい前に大卫から空がきれいだから見てみなよと連絡が。このあいだ見つけた屋上にでも行って眺めてみようと歩いているうちに日が沈んでしまった。そして屋上のある建物は施錠されていて入れなかった。台風前ということもあり雲の動きは早い。ほんのり紅く染まった雲がモネの絵みたいだった。

倡议书(提案書)を書くという宿題が出た。例文はもらったが、倡议书という文化自体がよくわからないので、どうやって書けばいいのかピンとこず。朱美から、今日の宿題って何すればいいの?と連絡が来たが、私もよくわからない…と答えるしかなかった。

夕飯は凉皮とプチトマト。気づけば冷蔵庫のなかにはフルーツ(とトマト)しか入っていない状態になっていた。あとお茶。

洗面所で歯を磨こうとした瞬間、黒い塊がサササーッと動くのが見えて血の気が引く。ゴキブリだ。排水溝から出てきたんだろう。あわててトイレ洗剤や食器洗い洗剤をかけまくり、部屋のほうまで逃げるのを追ってさらに洗剤をかける。部屋中が洗剤まみれになったところでようやく息絶えた。
どうしよう…としばらくボーゼンとしたのち部屋をうろうろし、死体をティッシュでくるんでトイレに流した。あとはひたすら洗剤を拭き取る作業。泣きそう。こんなとき、ルームメイトがいたらぎゃーぎゃー騒ぎつつもいい思い出になったりしたんだろうか。

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