アラフォー上海留学日記【158日目】

8/2 金

授業をさぼって昼までぐっすり。 今日の気温は40度超えだが、博物館の予約を入れてしまったので行かねばならぬ。

最寄り駅に着くまでに早くもふらふらである。ぼーっとしていて4号線に乗るはずが3号線に乗ってしまい、暑い中、宜山路で乗り換えするはめに。思考力がかなり低下している。隣に座ったお姉さんの腕に大きなアザというかほくろがあり、そこから無数の毛が生えていた。ちゃんと切りそろえているところにこだわりを感じる。
途中でサンダル履きの足臭ボーイが乗車してきて、車内は静かな混乱に陥った。せき込む人あり、席を立つ人あり。幸いにして一駅で降りてくれて助かったが、残り香も相当なものだった。

上海博物館(東館)は浦東の金融街の近くにある。博物館前のだたっぴろい道に、よくわらかないドデカオブジェが鎮座していた。

博物館着。人山人海。入場時間帯を区切っての完全予約制なのにこの混雑。やっぱり夏休みは舐めちゃいけないね。ウザキッズもたくさんいて辟易。

無料で音声案内イヤホンを借りることができるが、中国語だとわからないのでパス。時間もないので陶瓷馆へ直行だ。

よかったものだけメモ。まずは新石器時代。上から、灰陶三口器、黑陶阔把壶黑と陶鸟形盖盉、青釉弦纹把杯。

秦汉時代にその後の基礎となる焼き物技術が確立され、东汉時代には青磁が誕生。三国・晋・南北朝時代は北方で戦乱が多かったため、手工業はおもに南方で発展したそうである。上から西晋の青釉簋(神に供物をささげるためのうつわ)、东晋の青釉褐彩蛙形罐。

長江らへんで葬式に使われていた堆塑罐。早期仏教と道教信仰と密接な関係がある。鳥、犬、羊、熊、鶏、魚、猿、人、獣にのった仙人、麒麟、鳳凰などがモリモリ乗っかっていておもしろい。
上から东汉の褐釉堆塑动物五联罐、三国(吴)の青釉堆塑人物罐。

隋唐時代には彩色釉が最高峰を迎え、その後は”南青北白”(南方は青磁器、北方は白磁器)へ。この時期のカラーリングはなかなか味わい深い。上から、唐の彩色釉陶镇墓兽、唐の彩色釉陶印花宝想花三足盘。やっぱり足がついているとかわいい。

唐の五代時期に重要な窯だった长沙では、絵付けの新時代に突入。絵画の技術だけでなく、文学や書道も陶器の装飾に用いられたとか。上から、唐の绿釉模印花卉纹花口盘、唐の绿釉模印飞鸟纹叶形盘。

薄緑のまろっとしたうつわでおなじみ、宋の時代は陶芸の全盛期。北方の辽や西夏では北方民族の文化が色濃く現れた。私の好きな磁州窑と钧窑もこの時期に頭角を現してきたっぽい。
上から南宋-元の青釉贴花双鱼纹洗、宋の黑釉划花罐、元の白地黑彩云雁纹罐(磁州窑)、金天蓝釉玫瑰斑盘(钧窑)。

元以降は景徳鎮の時代。明、清時代は言わずもがな。景徳鎮っぽくないけどかわいかったものを写真に収めた。花瓶の内側に水色の釉薬かけるの、めちゃくちゃいい。真似してみたい。
上から、元の青花莲池杂宝纹菱口盘、明の成化期の孔雀绿釉青花莲鱼纹盘、明の嘉靖期の青花红彩海水龙纹碗、清の乾隆期の绿地金彩云龙纹瓶、清の道光期の红地描金“慎德堂”款缠枝莲纹双耳瓶。

おまけ。明時代にも磁州窑は独自路線を貫いていて推せる。白地黑彩花鸟纹罐。

いっちゃんとの約束の時間が迫っているので早々に退館し、電車で祁连山南路の「客缘 初见」へ。いっちゃんだけでなく、姚さんとシャオツーくんも来てくれた。
いっちゃんが、ちょっと買い物に行ってくる、と出て行って、バッグのなかに酒と割りものをどっさり入れて帰ってきた。持ち込みOKとはよく聞くが、こんなちゃんとした店でも大丈夫なの? 姚さんが大丈夫大丈夫、注意されたら店にクレーム入れますよ!と笑っていた。なるほど、そういうものなのか。飲みものも揃ったところで、わいわいと宴スタート。

今日上海博物館に行ってきたけど、人がめちゃくちゃ多かった、とくに子供が多くて…中国の子供は…と形容詞が思いつかずに言いよどんだら、姚さんが日本語で「元気まんまん?」と補助してくれた。そうそう、元気まんまん。シャオツーくんはとても礼儀正しいしいつも安静ですねと言うと、ふだんは元気まんまんですよ、静かなのはスマホを見ているときだけ!と笑っていた。
そして、私はシャオツーひとりの子育てでもうヘトヘトだけど、日本のママたちは2人も3人も子供がいるでしょう? ひとりで3人の子供を連れているママを見たときはほんとうに驚いたと言っていた。
中国ではおじいちゃんおばあちゃんがいっしょに住んで子育てを手伝ってくれるけど、日本はそういう文化もないし、ママたちはおじいちゃんおばあちゃんといっしょに住みたくないと思っていると言うと、姚さんが、私も、と言う。もし上海の今の家に父と母が来たら、狭くて耐えられないと思うとのこと。
いっちゃんが子供のころは、18平米の家に祖父母と両親、いっちゃんの5人で住んでいたという。すごい。「改造梦想家」そのものである。

青春の話になり、姚さんが、私は大学に入るまで恋愛は一切禁止だったと教えてくれた。もし恋愛関係が学校にバレたら説教&罰金。妹さんは彼氏がいたけど、親にバレてしこたま怒られたあげく別れさせられたという。いっちゃんは上海っ子なので、そこまで厳しくはなかったそうである。初恋は中学生のころかな?と言い、秋から中学生になるシャオツーくんに、好きな子はいるのか~?と絡んでウザがられていた。ウケる。
日本では初恋が5歳と言う人がいて驚いたと姚さんが言うので、日本でいうところの初恋は、彼氏彼女の関係ではなくて、ちょっと好きみたいな感覚だと伝えた。
姚さんが青春時代に好きだった歌手を教えてくれと頼み、张信哲,张学友,李荣浩,孙燕姿の4人を教えてもらった。帰ったら聞いてみよう。

22時すぎ、そろそろシャオツーくんも限界だ。別れを惜しみつつ、また日本か上海で会いましょう!と約束。結局、お金は払わせてもらえなかった。そのうえ、お茶までいただいてしまい、やっぱり何か買ってもってくればよかった…!と大後悔。東京で会えたら、お店の主人とおしゃべりしながら食べる小さなお寿司屋さんでおごります、と伝えた。
次に会うとき、シャオツーくんは何歳になっているかな。そう遠くない未来に会えそうな気もするし、そうでない気もする。

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