アラフォー上海留学日記【31日目】

3/28 木

アラームを止め、ベッドのなかでTwitterを眺めていたら、真空ジェシカ川北結婚の報が飛び込んできた。おどろいて飛び起き、心を鎮める。推しが結婚か…売れたら即結婚というのが、今どきの芸人っぽいな。おめでとうなんだけど、なんかこう、おいていかれた感じがしてさびしいファン心理。外は冷たい雨がじゃんじゃん降っていた。

授業で、あなたが知っている上海以外の不夜城はどこ?という課題が出たので、東京と答える。タクシー代がとても高いから、終電に乗れなかった場合は飲食店で始発まで過ごすんです、だから深夜営業しているお店が多い、と言ったら、みんなにおどろかれた。家に帰るより、朝まで飲むほうを選ぶの!? 次の日の仕事はどうするの!?と。始発で帰って少し寝てから仕事に行く、と答えたが、日本のへんなイメージを植え付けてしまったかもしれない。

〇〇に✕✕を重ねる(見出す)という意味の構文(把✕✕的感情投射到〇〇/对〇〇有✕✕的感情投射)を習い、例文をつくるグループワークがあった。たとえば、自転車に幼い頃の記憶を重ねる、みたいな。なんかあったかな…と考えあぐねたが、ぜんぜん出てこない。語学の側面ではない難しさがある。このあいだの「成功とは?」という質問もそうだったけど、日本語でも答えられない課題が頻出するのが困る。
ちびまる子ちゃんのぐちゃぐちゃうどんのエピソードを拝借して一部改変し、小学生のころ、土曜日の授業が午前中で終わり家に帰ると、仕事が休みのお父さんが焼きそばを作ってくれた。焼きそばにお父さんとの思い出と愛情を重ねてしまう、みたいな話をした。嘘だけど。

休憩時間に外でタバコを吸っていると、白人男性から声をかけられた。僕を覚えている? ヒゲを剃ったからわからないかもしれない、と言われたが、まじで誰。よくよく聞いてみたら、以前ここでタバコを吸っていたときに英語で話しかけてきた人だった。ロシアからきた大卫。微信を交換しようという。私が日本人だと告げると、村上春樹を何冊も読んだよと言われたが、こちらはノルウェイの森くらいしか読んだことないうえに、内容もほぼ覚えていない。村上春樹の小説に出てくる男が好きじゃないので、一冊しか読んでないんだ、ごめんね、としか言えなかった。やっぱり海外に行く前に村上春樹は読んでおくべきだな。

授業後、仙一が清明节のおかしである青团をくれた。つやつやしていておいしそう。帰りがけに日本人の海菜といっしょになったので、真空ジェシカの話をし、推しの結婚の衝撃を分かち合ってもらった。日本人のクラスメイトがいてよかった。日本にいる友人ともやりとりをし、励ましの意味で虹の写真をもらう。気づけば雨もやんでいた。

昼食後は図書館で予習と宿題。授業中は思いつかなかった、对〇〇有✕✕的感情投射、にふさわしいトピックがふと浮かんだ。私が生まれたときに両親が買った藤の花がある。ともに成長し、三度の引っ越しで花が咲かなくなったこともあったが、毎年4月になると花を咲かせているこの藤の花に、春の家族の記憶を重ねてしまう、という文章にした。今年もまた4月がやってくる、母が藤の花の写真を送ってくれるだろうことを楽しみにしている、と結んだ。書いている途中、ちょっと涙腺が緩んだ。歳を取ると涙もろくなっていけない。

勉強中に哈罗から、3/25に乗った自転車の支払いが済んでないよ、早く払ってねとのショートメッセージがきてビビる。払ったはずだけど。もしかしてロックできてなかったとか? だとしたら延長料金がけっこうな額になるのでは。こわごわ支払い画面に移動したところ、1.5元だった。なんだ、心配させるなよ。

部屋に戻って仕事のメールを返していると、郵便局から、荷物が中国に入ったよとの連絡がきていた。はるばる旅をしている荷物のことを想像すると愛おしくなる。何も没収されませんように。

食堂の営業時間も終わり、部屋を出るのもめんどうなので、鸡毛菜と麺をゆでて食べる。同じようなものを食べ続けられる人間でよかった。野菜また買いにいかなくちゃ。ほかの春野菜を試すのが楽しみだ。

シンさんと来週お花見に行く約束をした。承泫も桜を見たがってたから誘ってみようかな。と思ったら、张老师からみんなでお花見に行きましょう!と桜の写真がアップされたインスタのリンクつきでメッセージがきていた。あたりまえのようにインスタのリンクを貼っているのが意外。留学生相手だから、みんなVPN使ってる前提なのか。ともあれ、桜は来週満開の予定。楽しみだ。


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