アラフォー上海留学日記【45日目】

4/11 木

帰国後に書籍にまとめるために毎月著者さんから原稿をもらっているのだが、5日の〆切を10日に延ばした原稿がまだ来ていない。こちとら仕事もほとんどしていない身なので、催促するのも気が引ける。とりあえず、明日まで待ってみるか。

ここ最近は、休憩時間に給湯器でちまちまと日本から送ってもらった珈琲をドリップして飲んでいる。給湯器は校舎のはずれの人気のない場所にあり、使用しているのは自分だけかと思ったが、今日は小妆,朱天,海菜が続々と現れた。OLの給湯室よろしく、お湯があるところは一種の社交場なのかもしれない。

帰りに海菜におすすめの焼鳥屋を教えてもらいがてら、一緒にお昼ごはんを食べた。夫が中国駐在になったときに自分も仕事をやめてついていくかどうかの選択に死ぬほど迷ったという話を聞き、いまはよい選択だったと思えているといいなと願う。
こっちで仕事をしようかとも考えたが、ビザを切り替える必要があるし、中国人と仕事をしている夫からその大変さを説かれ、さらに稼いだお金がほぼ税金で持ってかれることを知ってやめたという。駐在員のパートナーは、やりたくても仕事と引き離される宿命にあるようだ。また、籍を入れていない状態では配偶者ビザが下りないため、夫婦別姓の事実婚をやむなく解消して入籍してから中国にきたそうだ。選択肢をどんどん狭めていく駐在帯同というしくみの理不尽さ。すべての駐妻に幸あれと思った。

午後は、明日のスピーキングの試験のために予定稿をつくる作業に徹する。即興で話すなんて土台無理な話なので、グループワークで出てきたお題ひとつひとつに合わせて発話時間1分ほどの文章を作り、ひたすら覚えた。この勉強法、けっこういいかもしれない。勉強のコツをひとつつかんだようで、目の前が開けた感じがする。
あとはひたすらリスニング。私の敬愛する探検作家の高野秀行さんは、あらゆる土地に踏み込み現地の言葉を覚えるところから探検をスタートしており、その経緯をまとめた『語学の天才まで一億光年』の一部で、フランス人の会話を1時間ほどテレコで録音して、テープを何度も何度も繰り返し聞いてフランス語を習得した、と書いていた。やっぱり多听なんだよ、必要なのは。同じ音声を何度も何度も覚えるまで聞く。決めた、これからはブレずにリスニング強化。

外卖を頼み、いつものごとく校門前で外卖小哥を待っていると、外卖柜の65番に入れたから受け取ってねとのSMS通知が届いた。やった! 使ってみたかったんだ、外卖柜。SMSに記載されているURLをタップすると、存(入れる)と取(取り出す)の2つの表示が出るので、取をタップ。自動で扉が開くので、中の商品を受け取って扉を閉めて終了。

ぱかっと開いて中の光が広がった瞬間、宝箱を開けたみたいでうれしかったなあ。商品を雑にぶらさげて帰るのがもったいない気がして、両手で手に持ち、肉のっけごはんのあたたかみを感じながら宿舎に向かった。

しかしこの肉、すごいにおいだ。おなかが空いているときはたまらないにおいなんだけど、満腹時にはかなりつらい。部屋中に濃厚な肉の脂のにおいが充満して、とんでもないことになってしまった。ここで寝るのは嫌すぎる。部屋で食事をとるのもほどほどにしたい。でもまあ、こんな缶詰みたいな生活は今日まで。明日の試験後は、Gさん&Uさんと雲南料理を食べに行く約束をしている。パーッと飲んでやろう。そういえば、今週はまだ一滴も酒を飲んでいない。こんなこと、ここ10年であっただろうか。






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