アラフォー上海留学日記【32日目】

3/29 金

あほみたいに天気がよい。今日は気温も27度まで上がるそうな。昨日WeChatを交換した大卫から、寝坊したので今日はいっしょにタバコを吸えない、と連絡がきていた。べつにいっしょに吸おうと頼んだおぼえはないのだが。
香港から旅行に来ている大学OBの先輩と合流し、第2食堂の2階で昼ごはん。こんなとこあったんだ、はじめてきた。お茶があるのがうれしい。ウイグル料理のフロアなのでラグマンを頼む。めちゃくちゃ麺の量が多い。

先輩が、学校のどこかに高級めの中華料理屋があったはず、というので探すと、第1食堂の3階にひっそりとそれはあった。提灯が吊るされている小さな入口からエレベーターでしか入れない。個室もあり、かなりしっかりとしたしつらえ。なのにけっこう安い。これは使える。

3号宿舎の自習室も見学した。受付のおばちゃんたちがけっこう厳しくて、先輩はいっしょに入れなかった。あとから聞いたら、おばちゃんたち上海語でサバニが云々言ってたでしょ、あれ日本人って意味だよとのこと。日本人がまためんどくさいこと言ってるよ、とかしゃべってたんだろうか。自習室は、リビングみたいなやつと、THE自習室なやつがあった。

先輩がならっていた中国茶の先生のところに向かうため、タクシーを呼んでみる。顺风车で近くの車を配車したはずがこない。取り消して滴滴で再度呼ぶと、5分ほどで来てくれた。車の色とナンバーを教えてくれるので、スムーズに乗ることができた。

上海图书馆を少し北にいった老房子に先生のアトリエはあった。トイレ兼シャワー含め水回りはぜんぶ各階共同。キッチンは1階にある。外では、ハエ取り装置がいい味出してた。

先生のアトリエはここに移転したばかりだそう。アトリエには、先生のほかに、上海在住十何年のベテラン日本人女性と日本人の中国茶の先生がいた。みんなでお茶を飲みながらおしゃべり。

ほおずきやラズベリーなどを食べながら聞いた話。
以前は東方美人といえば台湾だったけど、台湾では年に何回も収穫するから風味が薄れてしまった、いまは福建省の東方美人が風味が濃縮されていておいしい。
一時期は上海に12万人いた日本人がいまや3万人、今年は本帰国も多く、世代交代を感じる。
短い留学期間のあいだ、月2回くらいのペースで国内旅行に出かけておいたほうがいい。
自画自賛は王婆卖瓜自卖自夸という。
中国茶は中国の水で淹れないとパンチのある風味が出ないので、先生が日本に中国茶を教えにいくときはスーツケースいっぱいに水を詰め込んでいく。逆に日本茶を中国の水で淹れると、やわらかな風味が出ない。
上海以外の都市から来た人が上海人と結婚しても、10年経たないと上海人にはなれない。北京はさらにすごくて、45年かかるそう。そのころには離婚してるよ〜と先生。

鳥のさえずりと外壁工事の音をBGMに、貴重なお茶を何杯もいただいた。老茶の発酵の香りがかなり好みだったので、あまり高くない茶葉からスタートしてみようかな。

帰りに、永福路のおしゃれなフレグランス屋や茶器のお店に寄る。茶器、べらぼうに高い。中国茶用ではないが、銀でできた珈琲のドリッパーがかわいかったので値段を聞くと、2700元だという。ひええ。一分钱一分货だよ、と先輩がいう。高いものには理由と価値がある、みたいな意味だそうな。ちなみに、茶器のお店の名前は㽬承。読み方わからん。

おもしろいパン屋があったので、香菜の惣菜パンを。甘めのマヨネーズがおいしい。先ほどアトリエで教えてもらった図書館近くの伊麗包子もチェック。ここの肉丁烧卖、ほんとうにおいしかった。夕方なので皮が硬くなってしまっていたが、それでもおいしい。今度は午前中に来よう。

地下鉄を乗り継ぎ、いっちゃんの家へ向かう途中、税関からショートメッセージで連絡がくる。いわく、日本からの荷物で手続きが必要なものがあるから、予約して窓口まで来いとのこと。なにか引っかかってしまったか。めんどくさい。

いっちゃん家がある小区のなかはとても広く、小川まであり、ひとつの村のよう。お家にお邪魔すると、姚さんがたくさん料理を準備してくれていた。すごいごちそう!と感激していると、いつもこれくらいつくりますよ、糖醋以外は炒めるだけの時間がかからない料理ばかりよ、と姚さん。なんちゅうスキル。
春野菜のおかずが多く、旬を感じられるのもうれしい。独特の香りと苦みのある香椿を卵と炒めたもの、菜の花や紅菜苔の炒めもの、そらまめ。姚さんの故郷でよく食べられているという大腸の炒めものもおいしかった。こういう家常菜、好きだなあ。雲南旅行のお土産までもらってしまった。

新鮮だったのは、テーブルクロスの上に使い捨てのビニールクロスが敷かれており、殻や骨などはそのままテーブルの上に置いておくスタイルだったこと。なるほど、各自の殻入れを用意するより合理的。
息子のシャオツー君、最初は恥ずかしがってあまり話してくれなかったが、学校の話と鉄道の話になるとイキイキとしゃべりだした。然后,然后,然后…と、日本語でいうところの、でね、でね、でね…というしゃべり方がかわいい。鉄道が大好きだそうで、家族旅行では鉄道に乗ることをメインに旅程を立てるそうだ。鉄道にあまり興味がない姚さん、苦笑い。

お酒はたくさんありますよ、といっちゃんがいろいろ出してくれる。ビール、黄酒、レモンサワー、はてはシャンパンまで。中年の集まりなので、嘌呤(プリン体)、鱼子(魚卵)、偏高・偏低(数値などが高い・低い)など、教科書には出てこない単語を知った。

途中で追加してくれた小籠包がとても甘くて独特の味。蘇州のものだそうな。おかわりを蒸してくれたのだが、蒸し上がり時間を知らせるアラームが鳴ったにもかかわらず、ふたを開けたら中身がカラだったので、みんなで爆笑した。アラームまでかけたのに、中身を入れ忘れたらしい。みんないい感じに酔っ払ってる。
みんなの共通の友達で、最近子供が生まれたばかりの小李さんが、今日誕生日だというので動画通話で祝う。はじめましての人に赤子を見せてもらい、さらに誕生日を祝うというおもしろい経験をさせてもらった。

中国語メインの会話になると私はついていけないので、シャオツー君とピアノを弾いた。ソフトペダルこそ踏んではいたが、10時過ぎに集合住宅でピアノを弾いても大丈夫というのは、なんともおおらか。日本では遅くとも8時までが基本。

終電がなくなるまで楽しく飲み、そろそろシャオツー君も寝たほうがいいのではというころにおいとました。しっかり酔うまで楽しく飲めてうれしい。これまででいちばんにぎやかな一日だった。

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