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どうも、ゆるラクゴプロデューサーのイエモトです。

先日、「ラッパーみたいなキャラクターの声優が見取り図の盛山さんかと思ったらぜんぜん違ったので観たほうがいい」とオススメされて、アニメ『オッドタクシー』を観ました。

平凡な毎日を送るタクシー運転手・小戸川。
身寄りはなく、他人とあまり関わらない、少し偏屈で無口な変わり者。
趣味は寝る前に聞く落語と仕事中に聞くラジオ。
一応、友人と呼べるのはかかりつけでもある医者の剛力と、高校からの同級生、柿花ぐらい。
彼が運ぶのは、どこかクセのある客ばかり。
バズりたくてしょうがない大学生・樺沢、何かを隠す看護師・白川、いまいち売れない芸人コンビ・ホモサピエンス、街のゴロツキ・ドブ、売出し中のアイドル・ミステリーキッス…
何でも無いはずの人々の会話は、やがて失踪した1人の少女へと繋がっていく。

あらすじ(オッドタクシー公式より)

Netflixで観たんですけど、Netflixってエンディング見せてくれないじゃないですか?だからあのラッパーみたいなやつの声優誰なんだろう?って確認しようと思ったらもう次の話に飛ばされちゃうみたいなことを繰り返しまして。しかも冒頭の文言でオススメをされたのもちょっと前だったので、「ラッパー役が見取り図の盛山さんに似てるけど違う」のか「ラッパー役が見取り図の盛山さんだけど異様にラップが上手い」のか、だんだんどっちか分からなくなる事態に。結果、最終話の2話前くらいにやっとエンディングを確認し、「いや見取り図に似過ぎだろ!」と新鮮な驚きを味わうことができました。ありがとうございました。

すみません、それはどうでもいいのですが、とにかく徹夜で一気見するくらいには面白かったです。ストーリーが引き込まれる引き込まれる。


オッドタクシーを観て、改めて確信したのは、私は群像劇が好きなんだなぁということ。

主人公にスポットを当て、それを取り巻く人々という見方で脇役を描くスタイルの劇ではなく、登場人物一人一人にスポットを当てて集団が巻き起こすドラマを描くスタイルの劇のこと。グランド・ホテル「Grand Hotel」という1932年のアメリカ映画で特徴的な演出であったため、「グランド・ホテル方式」と呼ばれることもある。

群像劇とは

特にこう、複数のストーリーラインが並行して展開されて、しかもこれが上手いこと交わったり交わらなかったりを繰り返す感じが好きで、しかもそれが最後の最後にオシャレな感じで交わったりされちゃったらもう脳汁ドバドバ出て最高なんです。

それがまたオッドタクシーが上手いことやるんですわ。痺れたのは最後の方に車が海かなんかに落ちるシーン。この落ちる車を、これまで出てきた主要キャラ達がいろんなシチュエーションにいながらもそれぞれ目撃するわけです。なんやかんやあって全員バラバラだしなんなら劇中で交わってないキャラもいる中で、その瞬間だけは同じものを見る。たまらんですね。たまらんです。そういうの好き。ホント好き。
個人的には、そこに至るまでは極力ぜんぜん関係ないストーリーラインで、たまーにホントたまーに交わるくらいのスレスレな感じの方が好みです。オッドタクシーは、途中でまぁまぁ交わってはいましたが許容範囲でした。


「群像劇」と一口に言っても、いろんな種類があるんですね。それこそ、冒頭の群像劇の説明に出てくる「グランド・ホテル」のように、ひとつの空間を舞台にさまざまなストーリーが交わるというようなものが代表的とされているようです。
ただ、私としてはその方式はあんまりピンと来なくて。「グランド・ホテル」は観たことないですけど、三谷幸喜の「THE有頂天ホテル」みたいなことですよね?ピンと来ないんですよね。面白かったですけど、「面白いなぁ」くらいで

Wikipediaを漁っていたら、どうやら分類として「メリ・ゴオ・ラウンド方式」というものもあるようで。

ある関わり合いを持った複数の同格の登場人物が、それぞれあまり絡み合うことなく、交互に並行的に物語が進んでいく構成を、これと同じ試みをしたサマセット・モームの小説『The Merry-go-round』にちなんで、「メリ・ゴオ・ラウンド方式」と呼んでいる。

アンサンブル・キャストとは

一瞬、これだ!と思ったんですけど、なんかちょっとは交わって欲しいんですよね。メリ・ゴオ・ラウンドだと、ただ並行して進んで最後まで等間隔で終わってしまうような。その小説が分からないので、もしかしたらめちゃくちゃ好みな感じかもしれないですが。どっちというと、メリ・ゴオ・ラウンドとりもコーヒーカップとかの方がイメージとして近いかもしれません。あとディズニーランドのベイマックスとか。多少の不規則性も好みです。メリ・ゴオ・ラウンドよりも。

おんなじような感じで、『ラブ・アクチュアリー』なんかも好きです。毎年クリスマスシーズンとかに思い立ったように見返します。あれも最後の方の、各々が学芸会を観に行くシーンが好きです。みんないろんな経緯があった中で同じ学芸会を観に行く。最高です。
同じリチャード・カーティス作の『パイレーツ・ロック』も観ましたが、あれはあんまり好みな感じではありませんでした。群像劇は群像劇ですが、同じ船の中が舞台ということで、いわゆる「グラウンド・ホテル方式」だからだと考えると合点がいきます。やっぱりメリ・ゴオ・ラウンドじゃなきゃ!

ぜんぜん映画から離れますが、もしかしたらと思って書くと、結婚式の二人の馴れ初めみたいなムービーあるじゃないですか。アレもけっこう好きです。誰よりも食い入るように観てます。
ストーリーラインが二つなので物足りなさはあるものの、それぞれの人生を割とちゃんと紹介してもらえるタイプだとありがたいです。「え、この?このぜんぜん関係無い二人が?え?どこで?え?どこで交わるの?!」的なテンションで観てます。
何かしらのインタビューなんかもすぐ馴れ初めを訊きたがる人がいますが、アレはやめてほしいですね。まずそれぞれの人生をしっかりじっくり街録チャンネルばりに深ぼった上で、満を持して出会いを訊いて欲しいものです。そこ大事だと思いますマジで。

そういえば、この群像劇的な方式は古典落語には無いのかな?と思って探したのですが、どうもピタっとくるものが無く。たぶん知らないだけであるにはあるのでしょうが、有名どころでは無いんじゃないでしょうか。落語というのは、パッと分かりやすい映像が無いですから、それをやろうとすると説明臭くなってしまうのかもしれません。やはりあの最後の、これまで交わってこなかったキャラクター達が同じものを観るとか、同じ空間に出くわすとさ、仲間になるとか、そういうシーンは映像じゃないとなかなか伝わりにくいですよね。
とはいえ、新作で作られている作品の中にはきっと上手いこと表現出来ているものがあると思いますので、どなたか私好みの群像劇新作落語をご存知の方はコメントで教えてください。

私もそのうち作りたいものです。メリ・ゴオ・ラウンドゆるラクゴを。もといプーさんのハニーハントゆるラクゴを。

では、また。

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