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こんなもんで良い本 - アメリカで見つけた手に取りたい本たち

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アメリカで見つけた手に取りたい本たち、主に西海岸で見つけた本について紹介していきます。電子では表現できない、手に取った時に嬉しくなるような本が中心。
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掲示板の中の届かない愛の詩集 / Missed Connection / 人麻呂も人の子

たまたま街や駅で見かけた人に少しの恋心を抱く、 なーんてことは、古今東西問わず起こりうること。 そんな恋心を頂いてみても、結局声をかけることも出来ず、ラブストーリーはいつもでたってもはじまらなくて、せっかくの出会いを活かしきれなかった自分のシャイさを嘆く。 今日はそんな気持ちがいっぱい詰まった、一風変わった詩集を紹介しよう。 クレイグス・リストはサンフランシスコ発祥のアメリカで最も有名な掲示板サイト(クラシファイド・サービス)の一つだ。 例えば、不要な家具や小物、車、

夫の生態入門

ステレオタイプというものはパロディにとっては欠かせない。 パロディで起こる笑いや、ベタな笑いが成立する為には「多くの人がそう思っているだろう典型的なイメージ」が人々に共有されていることが前提となる。ステレオタイプは時に差別や無理解の原因にもなるけれども、笑いとユーモアの源泉にもなりうる。 イギリスの老舗出版社であるLadybirdからの出ている大人向けのイラスト本『The Husband』は子供向けの教育絵本の体裁(パロディ)で、「夫」というものはどういったものかを、あたか

離島選びにお困りのアナタの為の地図帳

その昔、音楽雑誌『レコードコレクターズ』にて「無人島レコード」なる企画があった。 内容は「無人島に一枚だけ持っていくとしたらどのレコードを選ぶ?」というのを色んな方に質問し答えてもらう、といったもので、音楽好きの人たちは頭をひねらせて、自分のお気に入りのレコードを考える。 しかし、いざそれを実践すべく、本当に無人島行こうと思っても、 いや、無人島はハードル高いし、人が住んでる離島ぐらいにしておこう、と思っても、よく考えたらそもそも無人島や離島がどこにあるのかわからない。レコー

指紋だってシャレてるよ

LAの好きな本屋さんの一つであるSKYLIGHT BOOKSで見つけた本。 絵本なのか、マンガなのかというジャンルはともかく、こうした特にめたいして凝っているわけでもないけど、手作り感あふるるインディー系の本を見るたびに、何故か嬉しい気持ちになる。 「こんなもんでいいの?」(質的に、量的に。なんだかすぐにでも作れそうな気持ちになる)という気持ちもあるのだけれども「それでいいのだ」と即座にバカボンのパパみたい言いたい気持ちもあって、 そんなことからこのような本を「こんなもん

不思議と読めてしまう絵文字のみの物語

ロサンゼルス現代美術館(MOCA =Museum of Contemporary Art, Los Angeles)で随分前に買った本。 全編絵文字だけを使ってストーリーを叙述されているこの本『The Second Book』の作者はアーティストの徐 冰(シュー・ビン、XU Bing)。 絵文字だけなのに、これが不思議と読めてしまう。 どうして絵だけで僕らは読めてしまうのだろう? 読書体験を振り返ってみて、特につまらない本だと途中めんどくさくなって、ひらがなを飛ばして漢字