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床革作家を志した理由

お久しぶりです。床革作家のすちです。
床革作家という肩書を名乗り始めて、まだ1か月程度
(noteで床革作家と名乗るのはなんと初)
今日は、床革とは何か?を説明しながら、自分のモノづくりに対しての想いと床革作家を名乗り始めた理由を語ります。

そもそも床革ってなんなんだ?

床革とは、ひと言でいうと ”革の裏面” です。
普段あまり目にすることのない つるつるしていない面のことをいいます。
みなさんが見たことのある つるつるの光沢感のある面は、銀面とよばれる革の表面です。一般的には、この銀面のみを製品に使います。
ひと口に革製品と言っても、カバンを作る場合と財布などの小物を作る場合では、最適な革の厚みは異なります。(分厚い革で財布を作ると武骨で重くなる)
なので、革は製品に加工するために、必要な厚みに調整されます。
当然、製品につかう革は銀面から〇mm という削り方をしますので、
残った部分はつるつる面がない革になります
この残りものが ”床革” です。
はじめに ”革の裏面” と言いましたが、厳密には革の銀面を取り除いた革を床革といいます。

床革って何に使われるの?

床革は、良いとこどりをされた”残りもの” なので、
一般的にそのまま製品には使われません。
大部分が廃棄されているのだと思います。
調べたところ、
 ・床革をやすりがけして起毛させて利用(いわゆるスウェード)
 ・床革にエナメル系の塗装をして、人口革として利用
 ・カバンや靴などの形状を維持するための芯材として利用
 ・製品の試作用に利用
などが主な用途です。
スウェードは有効な活用法の一つですが、市場全体のごく一部で利用されているにすぎません。

せっかくいただいた動物の命を、最後まで活かせていないどうにも申し訳ない・・・。

こんな想いもあり、床革を活かした製品づくりができないか?と考えるようになりました

なぜ床革作家を志したのか?

根にあるのは、「動物からいただいた命を無駄なく活かしたい」 「限りある資源を余すところなく活かしたい」 という想いです

でも、はじめからそんな想いを持って、床革作家を名乗っていたわけではありません。むしろ、革「自分で稼げるようになりたい」 という極めて利己的な考えから革製品の販売をスタートしています

趣味で10年以上やっている革細工で、自分の製品を作って販売してみることからはじめ、スマホケースに、財布、カバンなど、経年変化が楽しめる革で、ナチュラルなデザインの作品を作りました。

でもまぁ、全然売れないわけですね。

クオリティにはそこそこ自信はあったんですが、売れない・・・よくよく販売サイトを見てみると、似たようなコンセプトで、同じようなデザインの作品があふれかえっているんです。
まともに差別化する要素もないので仕方なく値段を下げて、安売りする。
安売りしても稼ぎを増やすためには、たくさん作って、たくさん売るしかありません。
こんな商売をしばらくやってみて、ふと頭によぎった疑問・・・

「これって自然破壊じゃないか?」

たとえ手間暇かけて作った手づくりの商品であっても、大量生産大量消費を促してしまっている
継続的な消費行動を促す商売、これは紛れもない環境破壊だなと
こんなに自分の時間を投下しているのに、もたらす結果は環境破壊
そんな解釈が自分の中で腑に落ちたとき、結構ショックでした

そこから、ものづくりの価値を考え直しました
モノがあふれる時代において、価値のあるものづくりってなんだろう・・・
自分が行き着いた答えは、
 ”有効に活用できていないもの、捨てられてしまっているものに価値を与えること”
そんな思考の旅を経て、「限りある資源を余すところなく活かしたい」 という想いを持つようになり、床革作家を名乗るようになりました。


「床革の良さを活かした製品を生み出すことで、捨てられてしまっている床革の付加価値を高める」
そんなビジョンを実現できるブランドを目指して、これから床革作家としていろんな作品に挑戦していきます。


最後まで読んでいただきありがとうございました。
今日はこんなところで。

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