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ニンジャスレイヤーフロムアニメイシヨン ネズミは二度噛めばライオンをも倒す。すなわちアナフィラキシー・ショックなり

ドーモ。ミナ=サン。サブウェイデス。🙏
ニンジャスレイヤーなるアニメを観賞しました。
ある程度どのようなアニメかは有識者の方々から伺っていたので存じておりました。
ずっと観る機会を逃していたのですがU-NEXTが31日無料期間ということで観賞することに…
※ニンジャスレイヤー(原作)に関しては小生未読のため、それを踏まえた感想であることをご容赦いただきたい。一応物語の核やネタバレは回避します。

其ノ壱
低予算感がすごい!!
2000年代初頭からインターネットに触れていた層は馴染みのある”FLASH”なる文化。
戦闘シーンは一部のアニメーションを除きこれで完結している。切り絵さながらのキャラクターオブジェクトが上下左右にカタカタ動くことで戦闘シーンを表現する。背景も一目瞭然のコピペ!!モブキャラも不規則にコピペ!!爆破等のモーションはあからさまな”フリー素材”感!!
尺を長々と使った謎の間!!作画も反転させれば実質2枚!!

従来の低予算ゆえに低評価を受けているであろう作品は…作画崩壊、イマイチなキャラクターデザイン、不安定なシナリオ。視聴者に与えるフラストレーションがスタートから…或いは話数を重ねる毎に溜まっていき爆発→誹謗と炎上につながるという流れ。

しかしニンジャスレイヤーは「このアニメはこういう世界観でいく」というスタイルを冒頭から提唱していく。(一般的なニンジャスレイヤーフロムアニメイシヨンの評価?知らんそんなもの
このニンジャスレイヤーという作品…導入部分から「低予算」を全面に押し出すことでいきなり視聴者をふるいにかけているのである。
一見すると”逃げ”とも捉えられるかもしれないこの手抜き戦略だが、話数を進めるごとに”攻め”の表現であるという印象に変わる。※後述 其ノ四

其ノ弍
海外の日本に対する偏見イメージの逆輸入!!

この作品に登場する"ニンジャ"は"忍者"にあらず…
ネオサイタマという明らかに日本を意識した舞台を軸に個性的なキャラクターが暴れ回る本作。ニンジャ、カラテ、ヤクザ、イアイ、マッポ……
そう。この作品で表現されるこれらの単語は日本文化にして日本文化にあらず…
「海外からみたジャパニーズカルチャー」そのものなのである。
海外のアーティストがコミックや楽曲、PVにしばしば取り入れる”多少の曲解を経たジャパニーズカルチャー”が描かれている。
一切忍ばないハイカラなニンジャ達(もはやクリーチャー)
角刈りサングラスに銃火器連射のヤクザ(いるのか?こんなヤクザ)
カ・ラ・テ(何段になれば使えるんですか?その技)
マッポ(久しぶりに聞きました。その単語)

うーんこれぞチャドー!!奥ゆかしい

認識の差はあれどリスペクトがあれば新しい文化誕生の礎となりえる

これこそが海外版ジャパニーズニンジャなのである!!
日本人からしたらコレジャナイ感がすごい…
だがしかしどうだろう?

コレジャナイ≠想定されたモノに劣っている

暖簾分けしたラーメン屋が本家とは別ベクトルの味付けを開拓し、独立したオリジナルを作り出すこと!!
この妙味こそジャパニーズニンジャ!!ニンジャカッコイイ!!

其ノ三
作風のバラつきがすごい!!

ニンジャスレイヤーフロムアニメイシヨンは、ときにFLASHめいた…ときにレトロなスクロールアクションゲームめいた…ときにダイナミックなアメコミのような…ときに美少女…?!

要は作画と表現方法が安定しないのである。本来潤沢な予算が得られていれば一律のクオリティでヌルヌル動く作画アニメーションが可能であったであろう。(なんせ制作会社はTRIGGERなのだから)低予算ゆえの苦肉の策ともいえる。
この低予算内での作品世界の構築とミームめいたノリをTRIGGERが演出することで奇跡の化学反応が起きている。
あくまで小生の印象ではあるが”TRIGGER”の魅力のひとつに独特な色使いが挙げられる。※うまく説明ができないので気になった方はググって。
TRIGGER特有の彩色センスが遺憾なく発揮された本作の作画パートは80、90年代のアメリカアニメを彷彿とさせる。タート◯ズやスパ◯ダーマンのソレである。(今でこそ世界マーケッツをシェアするマー◯ル。しかし80年代後半に放映していたアニメ作品のデザインや作画は”イナタさ”の真髄である。小生はイタナかった頃のマ◯ベルのが好み…)
このイナタさが前述したFLASHやレトロスクロールゲームの表現と抜群の相性なのである。
ここで置いてけぼりになりそうなのが”女性キャラ”。従来のアメコミ、スクロールゲームに登場する女性はター◯ルズのエイプリルを筆頭にバター臭さが漂う。どうにも”萌え”とはかけ離れたテイストになりがちなのだが、そこはTRIGGER……しっかり”女性キャラのみ”現代のジャパニメーションに寄せつつも世界観を壊さない絶妙なラインで描ききっている。
ナンシー=サン。カワイイ。アムニジア=サン。カワイイ。

其の四
アメリカンカルチャーとジャパンミームの融合

ニンジャというモチーフの題材。
低予算ながらのFLASHアニメやレトロゲーム風の演出(手抜き)。
TRIGGERの彩色と作画のセンスからくる80、90代アメコミ感。
これらが融合しなければ確立できなかったであろう作品の世界観。
アメリカンカルチャーのみからも摂取できない…ジャパニーズミームカルチャーのみからも摂取できない…ニンジャスレイヤーフロムアニメイシヨンからしか得られない楽しみが間違いなくあるのだ!!
※けものフレンズを鑑賞した際も感じたが、リアルタイムで本作を追っていたらさぞ楽しかったことだろう…

少々話が脱線するが小生はHIPHOPカルチャーが好きである。
それも昨今のある種洗練されたHIPHOPカルチャーではなく、90年代の手探りとアメリカの見様見真似感に日本のチームカルチャーやら渋谷系テイストが織り混ざった、ハードコアと間の抜けたセンスの狭間のようなカッコよさ。
※ハードコアと間の抜けた狭間のかっこよさは90年代の洋HIPHOPにも通じると思う
未成熟ゆえのクールでジャンクな空気が間違いなくあると思う。

ニンジャスレイヤーに話を戻すと
未成熟なカルチャーのごった煮から感じるカッコよさ。触れた時の危なっかしくもワクワクするあの感じ…
なんともいえない高揚感の追体験ができたのである。
低予算の策として”ノスタルジー”を細かくチョップして再構築したかのような演出こそが其の壱で述べた”逃げ”ではなく”攻め”と感じる要因だと思う。
作品をパッケージするという技術に絶対的な自信を持っていないと実現できなかったアンブッシュな試み。
2015年にもなって16:9ではなく4:3という謎のこだわりも好印象。


要するに…
ツラツラと講釈を垂れたところでニンジャスレイヤーフロムアニメイシヨンは低予算の手抜きアニメであることには変わりない。
事実1話15分という短尺に詰め込まれた内容では、組織図やキャラクター相関図の詳細把握は不可能である。
明らかに説明不足なストーリー展開は否めない…にも関わらず楽しく観れてしまう。
OPのタイトルバックの絶妙なタイミング。OPの中盤でデカデカと表示されるニンジャスレイヤーフロムアニメイシヨンのタイトルロゴ(懐かしいフィギュアのブリスターパッケージライクな雰囲気が世界感にマッチして非常に美しくスタイリッシュ)
(TRIGGER関連作品のタイトルバックは毎度脱帽のカッコ良さ。恐らく今石氏がセンスの塊)
EDにも毎回異なる楽曲が使用され(どれもカッコイイ楽曲ばかり)低予算ながらも視聴者を楽しませようとする創意工夫が嬉しい。
敵ニンジャのデザインもアメコミに登場する脇役ヴィランのような味わいを放っている。
ニンジャスレイヤーフロムアニメイシヨンという作品が平成末期の日本に(公式)で放たれたという功績がもう魅力的ですらある。
イチ感想として間違いなく楽しめたし、ニンジャカッコイイ!!ってなれる素晴らしい作品だった。是非ともインストラクションを受けてニンジャアトモスフィアを感じて欲しい。

まだまだダラダラと綴りたいことはたくさんあるが、今日はこの辺にしときます

長々と拙い文章を最後まで読んでくださった方、ドーモ🙏

それではミナ=サン…
オタッシャデー!!

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