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広場があったり、なかったり
![](https://assets.st-note.com/img/1657520156364-f1YwdHA0IY.jpg?width=800)
機材:不明、撮影データ:不明
2009年にイギリスのバースという古い街を訪ねた時に迷い込んだ中庭です。フィルムカメラを2台持ち歩いていたのですが、あいにくフィルム切れ。仕事で使っていた機材はすべては安いB&Bに置きっぱなし。ポケットに入っていた小さなデジカメで撮影しました。
イギリス唯一の天然温泉が湧き出る、バース。1世紀には、この地を支配したローマ人が、巨大な温泉施設と神殿を建設しました。スチーム風呂やマッサージ室、水風呂なども備えた豪華な温泉施設には、ヨーロッパ中から人々が訪れ、まさに元祖温泉リゾート地だったといえます。
クリケット場があったり、温泉があったり。世界遺産の観光地ではあるのですが、こぢんまりとしたとてもいい街だった記憶があります。
この写真の場所は、古い中庭をカフェとして利用しているところだと思うのですが、ヨーロッパの古い街は中庭や広場が沢山あっていいですね。
日本には「広場」がないんだよな、と思うことがしばしばあります。最近あまりいいニュースでは話題に挙がらない新宿のトー横(旧コマ劇場前広場)は、ヨーロッパの「広場」を模して設計されたという論文を見かけました。
石川は日本に広場がないことを指摘し、「広場は民主社会の表現であり、文化の進んだ都市が持っている」としたが、広場の社会的機能(市民交歓)においては、西欧の広場と日本の商店街に共通性があることを見出している。また、将来的に日本の市民交歓は広場の形態に移ると考え、コマ劇前広場はその為の布石であったと考えられる。
なぜそんなことを思い出したかというと、ここ半年ぐらいずっと気にして話を聞かせて頂いていた、とある音声SNSのルームが昨日最終回だったのですね。軽妙な語り口でジェンダー問題からカルチャー、アートの話まで取り上げられていて、とても勉強になっていたので、ホストご本人が辛くなってしまったのであれば仕方がない、ご自身の新しい生活が充実されることを願いたいと思いつつ、また1つ広場がなくなってしまったなと勝手に寂しく感じていたりします。
その一方で、新しい広場にも参加させて頂いて希望を見いだしたりもしています。先週末の参院選投開票日は、各自がそれぞれ気になる開票特番を見ながら、朝まで複数の音声SNSで語り合いました。
私は、ホストやモデレーターを買って出て下さった方々がお膳立てしてくれたところに乗っかっていただけですけれど、誰一人として自分の考えを押しつけることなく、声を荒げることもなく、共感し合いながら考えを深めていけるいい広場でした。
この社会の閉塞感を打破できるのはそういう「広場」が1つでも増えることなんじゃないかと思うのです。床屋政談を馬鹿にする人も多いけれど、大切なのではないかと。
テレビの報道番組の定点観測を趣味とする写真好き。酢豚にもピザにもパイナップルを許容します。
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